昨秋4強入りした偏差値62の公立校・下妻一 茨城有数の進学校が話す文武両道
茨城県内では有数の進学校として知られている下妻一。昨年の秋季大会でベスト4まで勝ち進み、県内でも有数の実力ある公立校として注目を集めている。
今センバツに向けて茨城県の21世紀枠推薦校にも選出されるなど、一気に注目度が高まっている。春季大会での戦いぶりが気になるところだが、学業にも目を向けていくと、偏差値62を記録する。
勉強、そして日々の練習とハードスケジュールを過ごす選手たちを代表して、3年生2人から文武両道のコツを聞いた。
柴亮平:正二塁手。秋季大会も主力選手として活躍しながら、学業での学年順位は270人中70位台にいる理系が得意な内野手。
冨澤拓翔:一塁手兼投手。秋季大会では背番号3ながら好投を見せてベスト4進出に貢献。学年順位は270人中80位台だという文系が得意な選手。
新入生へ送る、先輩球児の考える文武両道の第一歩
冨澤拓翔と柴亮平
――高校生活のここまでを振り返ると、文武両道はできていたでしょうか
柴亮平(以下、柴):できていなかったかなと思います。現在の学年順位こそ70位台にいますけど。もっと上位になれたんじゃないかと感じています。
冨澤拓翔(以下、冨澤):1年生の時はできたという手ごたえはありませんでした。ただ2年生になって体力がついてきたことで余裕が生まれて、授業中の集中力は高まったと思います。
――入学当初について詳しく振り返ってください
柴:練習で精いっぱいでしたので、練習に慣れてきた1年生の冬場、3学期あたりから勉強時間を少しずつ伸ばすことができて、文武両道ができるようになってきました。
冨澤:自分も同じで、1年生の時は練習で疲労してしまって、授業を聞くことができませんでした。2年生になってやっと勉強にも熱を注ぐことができるようになりました。
――そこから、どうやって工夫していきましたか
柴:難しい問題を自分の力だけで解こうとしました。それで、できれば次第に勉強が楽しくなってきて、続けて問題を解き続けていった結果、今の学習法が確立されたと思います。
冨澤:電車での移動時間中も勉強するようにしました。周りがやっていたのがきっかけでしたが、そこから勉強するようになりました。
――新1年生でも実践できるような学習法はありますか
柴:とにかく授業を頑張ることがスタートだと考えています。きっと疲れて寝てしまうこともあるかと思いますが、その時は授業の合間に暗記や問題演習をやって、できるだけ授業前後で暗記をすることができれば、家で勉強することが減ると思いますので、頑張ってほしいと思います。
冨澤:暗記は特に一気に覚えようとするのは大変だと思います。毎日少しずつでも覚えられれば、後で苦しまないので、自分はおすすめです。
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偏差値62、下妻一の野球部員が実践する学習法&ノート作り
柴亮平の数学ノート
――得意科目の学習法について教えてください
柴:テストまでに問題集を何周も解いてから、定期テストに挑みたいと思っています。前提としてテスト期間よりも前に、問題演習を復習の一環で取り組みます。その上でミスをした時に3種類に分けています。
・単なる計算ミス
・やり方自体が違っており、解説を読めばわかる
・解説を読んでも全く分からない
この3つに記号などを使ってわかりやすく振りつけたら、2周目に入ります。ここから先生や友人に聞くようにして、わからないことをクリアにして、全部納得した状態で定期テストに向かうようにしています。
冨澤:長時間かけて暗記を一気にやっても、疲れてしまい覚えられないこともあり得るので、長くやらずに細かく分けてやります。電車での移動や朝早く学校に来て暗記することで、1回の負担を減らすことを大事にしています。
その際は、心の中で声に出すか、赤シートを活用して復習することが多いです。ノートには大事なことは赤ペンで書いていますので、そこを赤シートで隠して暗記できるようにしています。ただ、それだけでは高得点は難しいので、ノートにメモしていることも覚えるように意識しています。
冨澤拓翔の古典のノート
――普段活用するのはどんなノートですか
柴:公式であったり、定理について板書にまとめられていたら、メモをします。あとは習った公式に対する応用などについても必ず書いています。その時に、公式は青ペンで書き、その周りを赤ペンで囲うことで、暗記すべきところをわかりやすくしています。加えて補足説明として、難しい問題や計算ミスがあったときは水色を使っています。
あと最も大事にしているのは、参考書のようなノートにすることです。先生が図などを使って口頭で説明してくれますが、わかりにくいと思ったら自分なりにかみ砕いてまとめます。それで自分なりにしっかり理解できるような参考書を作っています。
冨澤:古典になりますが、本文と現代語訳、説明をノートには書きますので、ある程度の余白を作るために見開きで書きます。
あとは色ペンについては赤、青の2色だけです。赤は尊敬語、青は謙譲語という役割を持たせ、それ以外は黒色です。
その代わりに、記号や波線などをいくつか使って、色ペンを使わずともノートが見えやすいものになるように作っています。
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茨城の進学校・下妻一野球部員が取り組む、文武両道に繋がる授業の聞き方
冨澤拓翔と柴亮平
――授業中の過ごし方についても教えてください
柴:理系については、ノートを取ることはもちろん大事だとわかっていますが、自分は問題を解く方が大事だと思っています。いかに問題演習を解く回数を増やして、問題に慣れていくかがポイントだと感じています。
授業中であれば先生が扱った問題を解いて、それ以外の時間には復習の一環で問題集に挑戦します。
ただ話を聞いているときは、公式をノートにまとめながら、その場で暗記できるようにしています。理系はひらめきだと思われがちですが最低限の暗記は必要ですし、それができるから基本から派生させて、別の暗記もできると感じています。
例えば三角関数は1つ覚えれば、残りの2つもつながりが出てきて覚えられます。こっちの方が暗記し直すことが減らせるので、基本的に最低限の暗記ができたら関連付けて公式を覚える。そのうえで、問題演習などで慣れるのが一連の流れです。
冨澤:世界史の場合なんですが、単語1つ1つを覚えようとするのではなく、その出来事があった順番に授業中に暗記して、年代の流れをつかみます。
授業中からやっておかないと、溜まった状態でテスト前に暗記すると大変ですし、普段の練習が終わってから自宅で勉強する時間もありませんので。
理想は授業中に聞いてメモをしながらも、暗記することです。それで難しければ、自分は1時間早く学校に行くなど、朝早くにやるくらいコツコツやることが大事だと思っています。
――今後の進路などが決まっていたら教えてください
柴:医者になりたいと思っています。大学でもそういったことが勉強できるところに進学して、夢を実現させたいと思っています。
冨澤:大学でも野球を継続したいと思っています。特に東京六大学でやれればと考えていますが、どの大学も勉強は大変なので、しっかりやりたいと思っています。
取材日、練習は夜9時まで行われた。時間的に長めの日だったそうだが、周りの生徒に比べれば確実に勉強に使える時間は少ない。それを理解して、柴、冨澤ともに普段の学校生活から1分1秒も無駄にせず、頭をフル回転させて完結させている。
グラウンドに出れば、主力メンバーで活躍する。まさに文武両道の2人だったが、絶え間ない努力の成果が最大のポイントだといえるだろう。
(記事:田中 裕毅)
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