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【横浜DeNA 指名総括】球界のエース候補・小園健太の交渉権を獲得!大きなリターンが期待できるドラフトに

2021.10.13

【横浜DeNA 指名総括】球界のエース候補・小園健太の交渉権を獲得!大きなリターンが期待できるドラフトに | 高校野球ドットコム
三浦銀二(法政大)、徳山壮磨(早稲田大)、小園健太(市立和歌山)、粟飯原龍之介(東京学館)、深沢鳳介(専大松戸)

 ドラフト会議は前、本番中、後も楽しめるイベントだ。今回はドラフト総括を行っていきたい。こうした総括は指名順番、戦力外リスト、リターンが大きいか、否かを考えて行うべきと考える。今回指名された選手たちのポテンシャルを考えながら検証をしていきたい。まずは横浜DeNAベイスターズだ。

小園は球界のエースに育てなければならない素材

 今回、横浜DeNAは8人の投手(うち1人は野手転向)を戦力外。結果として4人の投手を指名した。横浜DeNAは投手の支配下登録が37名、首位の東京ヤクルトの35名と比較するとやや多い。8名を切った以上、それ以上になる可能性のある人材を指名して、強い投手陣にしないといけない。

 今回指名された4名は、うまく育成すれば、強力な投手陣になるのは間違いない。競合覚悟で指名にいった小園 健太の交渉権を獲得。球界のエース候補を育てられる千載一遇のチャンスを手にしたと言っていい。

  カットボールなど小さい変化を多用した右の好投手。好調時は150キロを計測する。若くして、高卒ローテーション入りしている阪口 皓亮北海出身)京山 将弥近江出身)より投球の基礎が出来上がった投手。近年の高校生右腕では限りなく完成度と将来性を併せ持っている。

 高卒2年目から先発ローテーション入りするための育成をしてほしい。この投手を「そこそこ」ではなく、「世代トップ」の成績を挙げられることが求められる。

 2位の徳山 壮磨前田 健太のようなフォームから繰り出す140キロ前半〜後半の速球と、スライダーで勝負する快速球右腕。元千葉ロッテの投手として活躍した早大・小宮山悟監督は「腹が据わっているので、ジタバタしない。腹の据わり方は抜群で、何も言うことはない」と評していたことがあった。つまりメンタルは申し分ないと。

 その後、不調はあったが、高回転のストレートでねじ伏せる姿は爽快。波はありそうだが、最終的に先発なら勝利、中継ぎでは多くのホールドを記録しそうだ。

 4位の三浦 銀二も完成度が高く、回転数の高いストレートで三振を奪える好投手。先発でも、リリーフでもいける投手で、この完成度の高さで、全く外れはなさそう。今のベイスターズ投手陣を刺激する存在となりそうだ。

 5位の深沢 鳳介は強気に内角勝負、スライダー、シンカー、カーブの投げ分けができるサイドハンドで、右サイド・平良 拳太郎(北山出身)という良い手本がいる。マインド、考え方、投球術からしても外れる投手ではなく高卒2年目には一軍デビューし、5年目には投手陣の軸になりたい。

 戦力外リストを見てからの今回の投手指名はかなり合理的といえる。


リターンが大きい俊足アスリート型野手を次々と指名!

 一方、野手は内野手、外野手ともに俊足揃いのアスリートを指名した。

 3位の栗飯原 龍之介は走攻守揃ったガタイのいいアスリート型遊撃手。まだ粗さがあり、さらに森 敬斗もいるため、ショートではなく、別のポジションでイースタンの守備機会を積むことになりそう。将来的には二桁本塁打&二桁盗塁も狙えるポテンシャルを持った野手になるのではないだろうか。「梶谷 隆幸級」に育つ声もあるが、中学時代、控えだった男がそうなるのはとても夢のある話なのでぜひ育成してほしい。

 6位の梶原 昂希も神奈川リーグで100安打目前のアスリート型外野手。打撃、走塁、守備すべてにおいて華があり、ポテンシャルの高さを感じる。外野手1人が戦力外となったが、リターンが大きいのではないだろうか。

 育成1位の村川 凪は40盗塁を記録した俊足外野手。今年のドラフト候補でもトップクラスの脚力、盗塁技術もあり、広角に打ち分ける打撃技術も光るものがある。

 育成2位の東出 直也はまさに鉄砲肩というべき捕手。打撃もコンパクトながら強い。総合力については、本指名された捕手と大きな実力差はないだけにかなり期待できる。今の高卒若手捕手の競争に加わっていきたい。

 育成3位の大橋 武尊は、28盗塁をマークした俊足外野手。さらに守備力も高い。来年の二軍戦、育成試合ではこの2人の競争となりそう。この2人の活躍に、現外野手が刺激されると面白い。いずれにしても、今季のベイスターズは一軍総盗塁はリーグ最少30、一方、二軍は2位の96。蝦名 達夫は二軍ではチーム最多の18盗塁、森も16盗塁と、走れて打てる野手の育成を進めている最中なので、そこに村川、大橋、梶原、粟飯原の4名が打撃、走塁でアピールできると、面白い。

 まとめると、戦力外となったポジションを強化した目的だった。3年〜5年後を見据えると、間違いなくリターンが大きい指名といえ、理にかなっている。

 指摘を受けていた捕手の獲得。今年の最多出場は伊藤 光の53試合だった。さらに競争を促すために完成度の高い大学生以上の捕手を取る選択肢もあったと思うが、現有戦力の成長に期待ということなのだろう。ここはトレードなりの補強もあるか注目したい。

80点 3年〜5年後のリターンがかなり期待できる指名

(記事:河嶋 宗一


横浜DeNAベイスターズ
過去指名者一覧

  • 常時140キロ中盤の速球、カットボール、フォークと多彩な変化球を操り、翻弄する投球は高校生レベルを超えている。

    2位
    早稲田大
    投手

    選抜優勝経験ある本格派右腕

    高校通算33本塁打の長打力、抜群の強肩、俊足を武器にする大型遊撃手

    4位
    法政大
    投手

    好調時は試合を支配するピッチングを披露する大学生屈指の右腕。伸びのある快速球と切れのある変化球で試合を組み立て、大舞台に強いのが魅力。

    右の速球派が多い中、明確に差別化できる逸材。公式戦8完封記録。140キロ前半のストレートを左打者相手にも強気に内角攻めができて、スライダー、シンカー。そしてこの投げ方でカーブで三振が取れる。

    • 6位
      神奈川大
      外野手

      神奈川大リーグを代表する強打の外野手。リーグ通算100安打も目前。長打力、脚力、肩力は全国レベルの大型外野手。

    • 育成1位
      徳島インディゴソックス
      外野手

      50m走5秒5で今季40盗塁

      育成2位
      捕手

      1年生夏から経験を積んでおり、攻守ともに高いレベルのプレーを見せる。

      育成3位
      茨城アストロプラネッツ
      外野手

      今季BCで28盗塁を記録した俊足外野手

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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