正木智也(慶應義塾大)と有薗直輝(千葉学芸)

 いよいよ、10月11日のドラフト会議が迫ってきました。今回はドラフト会議の解説でお馴染みのスポーツライター・小関順二さんをお招きし、今年の高校生や、各球団の若手メンバー構成、補強ポイント、おすすめの1位候補などに迫ります。今回はパ・リーグの第4回ソフトバンクをお届けします。


ーー巨大戦力と言われてますが

小関:新旧交代と外国人の入れ替わり時期にきてます。デスパイネも今年までだろう。グラシアルも活躍してないんで、投手はモイネロとマルチネスが非常に安定して、スチュアートJrも出てきて。あとは野手ですね。野手が交代期にきて、松田宣浩(中京出身)がリチャードと代わるという、新旧の入れ替わりです。外国人の入れ替わりもこれからあるでしょうから。その渦中では成績が落ちるのは当たり前だと思います。ずっとは続かない。

 リーグ連覇と日本一5連覇を目標にスタートした常勝軍団、ソフトバンクだったが、ここまでBクラスの4位と、予想外の低迷の結果となっている。しかし、小関氏はある意味「当然」だと分析している。これまで引っ張ってきた選手がある程度の年齢にきて、世代交代となれば、ここは避けて通れない道。今、まさにその真っ只中にいるだけだという。

ーー25歳以下のチームでは評価はどうでしょう

小関:Aランクです。投手の顔ぶれが全然違う。松本 裕樹盛岡大附出身)、彼はまだ25歳以下。甲斐野 央東洋大姫路出身)もいる。津森 宥紀和歌山東出身)、杉山 一樹駿河総合出身)とか、高卒でなくても若い。泉圭輔(金沢西出身)も入るし、高橋 純平県立岐阜商出身)も、古谷 優人江陵出身)とか、笠谷 俊介大分商出身)とか、続々といる。投手は抜群です。

 野手陣も同じだという。

小関:野手も栗原 陵矢春江工出身)とか谷川原 健太豊橋中央出身)とかいるが、捕手ではなく、栗原は一塁、谷川原は外野。セカンドは三森 大貴青森山田出身)とか、サードはリチャードと井上 朋也花咲徳栄出身)がいるし、ショートは川瀬 晃大分商出身)がいる。周東 佑京東農大二出身)がいて、柳町 達慶應義塾出身)がいて、という状態で、見事に新旧交代の時期に入っている。その顔ぶれも、こうなっていくだろうなというのが見えてきているので、悪くはない。大体、巨人の9連覇というのはおかしかった。でも巨人も2位があって、最下位に沈んだわけだから、どっかで新旧交代の落ち込みはある。それが今、きている。

 そんななか、まだAクラス入りの可能性もあり、クライマックスシリーズにさえ、進出すれば、日本一への可能性を感じさせるチームに育て上げている工藤公康監督の指導力、管理能力を高く評価する。

小関:工藤監督はこれでやめることはないと思う。悪い時もベテランに固執しないで、うまく若手に顔ぶれをシフトしてますし、危機にしっかり対応している。こんな見事な監督とは思わなかった。野手への配慮はすごく行き届いている監督だなと思ってます。

ーー今年のドラフトはどうすればいいのでしょう

小関:ショートですね。全般に野手。投手は将来的にもそろっているので、野手を頑張って据えてほしいな。はっきりいって、今宮 健太明豊出身)が戦力的に落ちているので、川瀬も「ポスト今宮」を襲おうという感じもあんまりしない。ただ、今年の候補生でもショートに、これっていうのがいないんでね。有薗 直輝千葉学芸)とか正木 智也慶應義塾-慶応大)とかを1位でいって、外したら、地元の隅田 知一郎波佐見-西日本工大)とか。左はそんなにいないんですよね。嘉弥真新也(八重山農林出身)とモイネロくらいしかいない。あとは和田毅(浜田出身)、大竹 耕太郎済々黌出身)、笠谷がいて、古谷は、まだそんなにはっきり分からない。隅田はリリーフみたいですしね。

 小関氏は今年のソフトバンクなら、「ポスト今宮」の遊撃手、もしくは内野全般ができる野手をおススメした。昨年、ソフトバンクは野手強化を掲げ、5人とも高校生を指名した。現在の世代交代ともう一つ先の世代交代も見据えている部分もある。それだけ、現状の戦力に余力があるからできることでもある。最後に小関氏が、もっとも「ぜいたくな」ドラフトができるソフトバンクならではの言葉を残した。

小関:スカウトからすれば冒険はできる。

 誰を指名してくるのか、一番興味深い球団と言えるだろう。

(記事:編集部)