紅林、宮城の台頭は想定外…若返り中のオリックスの強化ポイントは捕手
古賀悠斗(福岡大大濠出身)と福永奨(横浜出身)
いよいよ、10月11日のドラフト会議が迫ってきました。今回はドラフト会議の解説でお馴染みのスポーツライター・小関順二さんをお招きし、今年の高校生や、各球団の若手メンバー構成、補強ポイント、おすすめの1位候補などに迫ります。今回はパ・リーグの第2回オリックスをお届けします。
――なぜ、最下位にいるのかが分からないほど、魅力的な選手が多いと言っていましたオリックスが、ついに来ました
小関:ついにきたなあ。中嶋監督が思い切って若手を使いましたね。紅林弘太郎(駿河総合出身)のレギュラー、スタメンなんて、ちょっと考えられない。「問題だらけの12球団」でも、そう書いたんですよ。太田椋(天理出身)セカンド、ショート紅林と書きましたけど、まあ、ないだろうなんて思っていた。こういう立場の人間だから書けるわけですよ。
ただ実際にチームを運営する監督さんがショート紅林を実践する。そして来田涼斗を、明石商の新人を使って結果を出してるのは、驚き以外、何物でもない。かたや、ベテランにさしかかっている未完の大器、杉本裕太郎(徳島商出身)を使って。ホームラン王取るかもしれないからね。紅林弘太郎、宗佑磨(横浜隼人出身)、来田涼斗、杉本裕太郎、この辺の選手起用には、ほんとにひらすら驚かされます。
19年ドラフト2位入団の紅林は今季西武との開幕戦で、球団初の「10代開幕遊撃手スタメン」で出場した。中嶋監督はこの抜擢をそれ以後も続けて、個人的な数字こそないが、チームを優勝争いにまで導いている。
小関:開幕スタメンにはびっくりしましたね。時間かかりそうだなと思ったけど、2年目から多くの安打を打っているでしょう。びっくりですよね。ちょっとこれは想像できなかった。太田の二塁定着はまだ、ドラフト1位だし、想像しやすかったけど。今、打率は低いけど、本塁打も7本。最近、よく打ってますよね。守りも悪くないし、動きもいい。チームを優勝争いに導いているのは大きい。成績はたしたことはないけど、紅林のショート定着は大きい。
――なんといっても投手陣がすごいです
小関:すごいですね。山岡泰輔(瀬戸内出身)はちょっとね。今シーズンは出られなくなるみたいだが、山本由伸(都城出身)と宮城大弥(興南出身)のこの二枚がね。「問題だらけの12球団」では、結構冒険的に、こんなんないだろうっていう選手をもってくるんですよ。
ライターが書くものだから許されるんですけど、宮城は「その他の戦力」に入れましたからね。先発、中継ぎ、抑えの中に組み入れなかった。そんな大冒険は考えられない。高校出て、外れ1位で、それが10勝以上するなんて、負けが1つか、2つかなんて、想像できなかった。やっぱり見事なんですね。コントロールが素晴らしい。球も非常に切れる球があって、内外角、低めに安定しているし、そりゃ打たれないなという球を投げますからね。
――来田は打撃はいいです
小関:もともと打撃は即戦力だと思っていた。唯一、守備は特徴がなかったんで、悪くはないけど良くもない。プロになると守備面でもう少し、出遅れるんじゃないかと思っていた。
小関氏も想定外のことが起きている。紅林と宮城。19年ドラフト1位と2位。高校生投手と高校生野手。それが10勝投手とショートのレギュラー。最下位争いをしているチームではなく、優勝争いを演じているさなかに、この大抜擢を続けている。そして、今年のルーキーもスタメン出場をさせている。若い力の底知れないパワーを感じる同時に、中島監督の「眼力」と「勇気」には感服する。
――オリックスはどんなドラフトをするべきでしょうか
小関:捕手ですね。若月健矢(花咲徳栄出身)が守ってますけど、伏見寅威(東海大四出身)が時々守ったり、頓宮裕真(岡山理大付出身)は一塁守ったりしますけど、捕手がいないですね。少し弱い。若月も安定していない。
今年は素材のいい投手を指名して、ダメだったら捕手。古賀 悠斗(福岡大大濠-中央大)がいますけど、国学院大に福永奨(横浜出身)という選手がいる。肩が見事にいい。二塁送球が1・8秒台。いいと思いますけどね。投手より捕手です。
投手は山下舜平大(福岡大大濠出身)を取ってます。田嶋大樹(佐野日大出身)もまだ若いし、今年ダメだったけど、榊原翼(浦和学院出身)もいるし、本田仁海(星槎国際湘南出身)がエンジンかかっているし、漆原大晟(新潟明訓出身)も実戦でているし、悪くない。ここでまた、投手ばっかりということをやらないで、どこが弱いかといえば、捕手。そこを強化すべきだと思う。
弱点を挙げるとすれば、小関氏は捕手を選択した。捕手は特殊で、そう簡単に育つポジションではない。完成された捕手をはめるか、素材の高い捕手を育て上げるか。球団による戦略はあるだろうが、オリックスがさらなる高みにいくためには、今後、苦労しない捕手を獲得することが急務だという分析だ。
(記事:編集部)