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世代No.1右腕・小園健太擁し注目度抜群の市立和歌山の戦力を徹底分析

2021.03.15

 エース・小園 健太とキャッチャー・松川 虎生のプロ注目バッテリーを軸に、近畿大会ベスト4進出を決めて、2年ぶりの選抜の出場を決めた市立和歌山。強力バッテリーを軸に据えて全国制覇を狙う市立和歌山の戦力を紐解いていきたい。

世代No.1右腕・小園健太擁し注目度抜群の市立和歌山の戦力を徹底分析 | 高校野球ドットコム
江川 凌世、伊藤 晃宏、小園 健太、米田 天翼、小畑 拓磨

【投手陣の中心】
小園 健太(貝塚ヤング)
米田 天翼(貝塚シニア)
伊藤 晃宏(和歌山ボーイズ)
小畑 拓磨(岬町立岬中)
江川 凌世(紀州ボーイズ)

 エース・小園が投手陣の中心を担う。中学時代には日本一を経験し、1年生から公式戦の経験を積んできた小園。昨秋はチーム最多の68回3分の1を投げて、防御率0.79という好成績。さらに詳しく見ていくと奪三振80、与四死球13と高い奪三振能力と安定感のあるピッチングが数字からもわかる。

 最速152キロを計測した真っすぐを軸として、2種類のツーシーム、カットボールなどを操る『ピッチトンネル理論』を使いこなしており、世代NO.1のピッチャーとして選抜での活躍が期待されている。練習試合では好調を維持。まず7日の近大附戦(ニュースはこちら)で、最速148キロをマーク。14日の享栄戦でも7回5失点ながら、最速150キロをマークし、順調な仕上がりを見せている。

 その小園の次に多く登板しているのが米田。昨秋の近畿大会準決勝の智辯学園戦では1.2回を投げ、自責点3と悔しい投球に終わった。しかしこの冬で大きく成長し、6日の向陽との練習試合では最速146キロをマークした速球を武器に、6回被安打1無失点の好投を見せ、半田監督からの評価も高くなっている。県立岐阜商戦では接戦時、また勝ち進めば、米田の登板もあり得るだろう。

 むしろ米田の鍛錬はセンバツ後の可能性が高い。春以降の公式戦では経験を積ませる意味で、米田の登板は増える可能性は高い。

 さらにアンダースローの伊藤に加えて、中学時代に軟式の選抜チームに選ばれた実績を持つ小畑に江川などが控えている。



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杉本 明弘、田中 省吾、松川 虎生、平林 直、吉見 和航

【攻撃陣の中心】
3番 中 平林 直(和歌山ビクトリーズ)
4番 捕 松川 虎生(貝塚ヤング)
5番 左 田中 省吾(紀州ボーイズ)
7番 右 吉見 和航(和歌山ホークス)
9番 二 杉本 明弘(貝塚ヤング)

 小園が注目される市立和歌山だが、チーム打率は.307を記録するように、旧チームからの経験者も多く残っ市立和歌山。打線の中心を担うのが主砲でキャプテンの松川だ。

 小園と同じく1年生から公式戦出場を果たすなど経験豊富な松川。通算50本を目標に掲げながらも、冬場の期間には勝負強い打撃と飛距離アップを求めてきた。解禁明けの練習試合の向陽戦では、高校通算32本塁打となる満塁弾を放つなど、その成果と好調ぶりをアピールした。高校に入って初の全国の舞台での活躍に注目だ。

 その松川の前後を打つ平林、田中も注目のバッターだ。コンパクトな構えからバットにうまくボールを乗せる平林は3番として打率.333をマーク。そして5番・田中は近畿大会初戦・東播磨戦では貴重な同点弾を放つなど、大きな構えから鋭い打球を飛ばす。練習試合を含めれば松川に次ぐ43打点を記録するなど、ポイントゲッターとして選抜でも活躍が期待される。

 7番に座った吉見は公式戦打率.375、打点36という好成績で下位打線を支えると、小園、松川とともに貝塚ヤングで日本一を経験した9番・杉本は練習試合36試合を含めて三振はわずか4つだが、打率.384という結果で上位に繋げた。


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河渕 巧

【走塁の中心】
2番 遊 河渕 巧(岩出ボーイズ)

 50メートル6秒の俊足を活かして、練習試合を合わせてチームトップの25盗塁を成功させた河渕がキーマンとなる。ただ打っても練習試合含めて打率.344と俊足巧打の選手として、市立和歌山打線に勢いを与え、何より注目してほしいのは守備だ。フットワークが軽快で、ヒット性の打球を次々と阻止する。エース・小園がバットの芯を外すピッチトンネル守備でも軽快な動きを見せる。

【春浮上するためには】
 打たせて取ることを念頭に置く小園と松川バッテリーが強力なだけに、まずは守備で崩れないことが前提となる。敗れた智弁学園戦ではエラーから追加点を与えるケースがあったが、そのパターンを甲子園でしないことが大事ではないだろうか。

 とはいえ、小園であっても高めのボールが浮けば痛打される。先日の享栄との練習試合では7回5失点と甘いボールをはじき返された。センバツでも似た状況になることは十分考えられる。その時に継投策が使えるよう、投手陣の安定感も必要になるのではないだろうか。

 また近畿大会では1点差ゲームを制してきたが、ロースコアな展開となることが多かった。日程を見ていくと、初戦の県立岐阜商戦が終わると、中2日で2回戦。準々決勝以降は中1日が続き、疲労が溜まりやすくなる。そうした意味でも打線で少しでも援護してあげたいところだ。

 初戦は名将・鍛治 舍巧監督が指揮する県立岐阜商。初戦から同じ公立校の強豪同士の一戦と厳しい試合となる。まずは目の前の一戦に勝利して勢いに乗って選抜の頂点まで駆け上がりたいところだ。

(文=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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