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福井高専(福井)が乗り越えた雪国の課題

2021.03.05

福井高専(福井)が乗り越えた雪国の課題 | 高校野球ドットコム

福井高専(福井)が乗り越えた雪国の課題 | 高校野球ドットコム

福井高専のスタメン・ベンチ入り情報

 めがねのまちとしても世間に広く知られる福井県鯖江市に校舎がある福井高専。周りの高校とは違い、高専高校のため同じ学校内には5学年合わせて1000人近くおり、加えて大学課程の生徒も含めると1000人を超える生徒が在籍する。

 学校には20を超える校舎が敷地内にあるなど、大学のような一面もあるところは福井高専の特徴の1つである。

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 そんな福井高専濱歩空主将を中心に2学年26名で活動をしている。その中でもチームをここまで引っ張ってきたエース・坂井響太が中心に座っている。濱主将は「守備に課題がある中で、エースとして必死に投げてくれた」とエースの奮闘を称賛する。

 そんな濱の武器を指揮官の辻野監督はこのように語る。
 「身体は細く見えるんですが、しっかりとボールに力を伝えられる力投派の投手です。昨秋は120キロ後半でしたが、一冬超えてスピードも上がっているように見えるので、130キロくらいには届いているといいんですが」

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 そんな濱とともに福井高専の投手陣を支えるのが2年・高縄真大朗と1年・増田光佑の2人である。高縄は貴重な左腕であり、制球力の高さと緩急をつけた投球が光る技巧派投手。「入学当初のことを考えると、一番成長した」と辻野監督も評価する左腕だ。

 そして1年生の増田は投打で高い能力を持つ選手。昨秋の1年生大会ではエース兼4番とチームの柱として活躍。粘り強い投球と勝負強いでチームの勝利に貢献し続け、見事3位入賞に導いた。投打の柱として夏は下級生ながら主力としての活躍に期待が膨らむ。

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 野手では4番・藤田空生が鍵を握る。中学時代から硬式を経験しており、指揮官も全幅の信頼を寄せている4番打者。強振をするときもあれば、状況に応じて繋ぐバッティングに流し打ちなど、広角に打ち分ける器用さと状況判断能力を持っている。

 チームメイトにも打撃指導をするなど、プレーでも行動でも信頼される選手として「春以降は活躍してほしい」と濱主将、辻野監督ともに期待を寄せている。



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■雪国ならではの問題点を乗り越えるために

 投打でキーマンがいる福井高専であるが、この冬は危機を乗り越えながら過ごしてきたという。
 「コロナ禍の影響で秋まではトレーニングセンターが使えず、『冬まで続いてしまうと練習に困ってしまう』と言うことで、学校に相談をしました」(辻野監督)

 めがねのまちである鯖江市でも70、80センチほど雪が積もることがあり、今年も雪の影響で高速道路が止まったほど。福井高専も雪の影響で学校が休校になってしまうほどの積雪もあって、冬場になるとグラウンドを使って練習が出来ない。

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 そのため「バックネットを使ってティーバッティングや体育館の一部で体幹。本館の安全な場所で素振りやランニングをやっています」と様々な場所に分かれて練習をするのが冬の過ごし方である。その中の1つにはトレーニングセンターが含まれるが、新型コロナウイルスの影響で、秋までは使えなかったのだ。

 春先以降に結果を残すためにも必要だったため、学校へ相談すると、「ルールを作ってくれれば学校で考えます」という回答をもらった。そこで辻野監督と濱主将は話し合いを行い、6人までの人数制限を作るなど規則を考え、学校側へ提出。それが見事採用され、冬場はルールに従ってトレーニングセンターを使って練習に打ち込むことが出来た。

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 練習場所を確保できたが、福井高専は5学年が同じ校舎内にいることもあり、部活動も5学年で活動することが出来る。野球部も例外ではなく5学年それぞれ所属しており、そのなかで1~3年生と4、5年生の2つのチームに分けて、それぞれが全国大会を目指して練習を重ねている。

 「高校野球を引退した上級生がすぐに指導できるのはメリットですが、しっかりとした雰囲気を作るまでは時間がかかりました」(辻野監督)

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 監督を務めて15年ほど経過している辻野監督だが、高専高校と言うこともあってか長髪の選手もチーム内には少し前まではいたとのこと。また高校野球が終わっても、高専の全国大会に同じメンバーで挑戦できることで、夏にかける想いが弱かったと振り返る。

 しかし「夏の大会に2年連続でベスト8まで勝ち上がってから変わってきました」と、髪型と言った風紀もきっちりとして、高校野球への意識の持ち方も「(意識は)高くなってきた」と語る。

 秋は1回戦で福井工大福井にコールドで敗れ、力負けをしないこととバントなどの精度を高めることが課題に上がってきた。「オフはあまり全体演習が出来ない状況ですが、それでも各自で時間を見つけて練習をしてきた」という濱主将。その成果をグラウンドの上で発揮されることを楽しみにしたい。

(文=田中 裕毅

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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