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脱坊主で選手育成図る部員10名の新鋭・東奥学園(青森)

2021.03.04

 脱坊主で選手育成図る部員10名の新鋭・東奥学園(青森) | 高校野球ドットコム

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東奥学園のスタメン・ベンチ入り情報

 昭和6年に学校ができ、現在は青森県青森市に学校を構える東奥学園。昨年、看護科・看護専攻科ができるなど、普通科をはじめ5つの科が開設している。また東奥学園には男女それぞれの寮が1つずつ建てられているなど施設も充実している。

 そんな東奥学園を支えるのは1年生のWエースだ。滝本日向は躍動感あふれる投球フォームから130キロ中盤を計測する真っすぐが最大の武器。また球速表示以上の伸びがあるボールであることも魅力の1つ。加えてスライダー、チェンジアップと言った変化球のキレ味も鋭く、三振を奪っていく力投派投手として他校からもマークされる存在となっている。

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 もう1人のエース格は八戸蓮だ。こちらは球速や伸びで抑えるのではなく、ボールを低めに集める丁寧な投球で打者を打ち取る。制球力が光る技巧派投手として活躍する。変化球も多く使って真っすぐとのコンビネーションで、相手打線を抑えていく。

 Wエースとして活躍する一方で、バッターとしても実力があり、「打撃タイトルは2人が争っている」と桜庭監督は語っており、滝本は1番、八戸は4番に座る形となっているが、どちらが4番でもおかしくはないという。

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 ともに打率が良く、長打、単打と器用なバッティングができる実力があるが、なかでも滝本は三振をすることが少なく、バッターとも警戒される選手として東奥学園を引っ張っている。

 そんな滝本、八戸とともに春からの活躍が期待されるのが主将の石郷一輝だ。秋は2番・ショートでスタメン出場し、バントやエンドランと言った小技もきちんと決める堅実的なプレーでチームに貢献。また主将としてもチームをまとめ上げてきた。

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 今年の東奥学園は2年生が4名しかしないこともあり、「主将の肩書を背負って活躍できれば本人だけではなく、2年生全員が自信を持てると思います」と桜庭監督は考えており、チームの精神的支柱として春以降の活躍が期待される。

 他にも立田統耶成田光貴竹内陸といった2年生や扇の要・堀内滉大と言った選手たちを中心に、投手力を武器に秋に続く県大会出場。そして県大会ベスト8進出に向かって、現在も活動を続ける



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■自立と自覚。そして責任感のための脱坊主

 現在は2年生4名、1年生6名の計10名と部員数は少ない。「苦労はあったが成長に繋がった」と選手たちは振り返るが、桜庭監督は年々連合チームが増えていることを懸念する。

 「年々単独で出場する学校が減っていて、夏も秋も連合チームで出場しているチームが多いです。ウチも含めて周りの学校も生徒数の確保で苦労をしている感じはありますね」

 野球人口も減り、参加校も減少傾向にあるという青森県。東奥学園では体験入部を2回開催するなど、中学生にアピールしているそうで、そのおかげもあってか4月には10人以上が新たに入学予定とのことだ。

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 ただ依然として厳しい状況には変わりはない。そこで東奥学園では新年から自立と自覚を養う意味でも脱坊主にすることを決めた。

 「選手たちと話し合いまして決めました。高校生は準社会人だと思いますので、大人として接することで、自立と自覚。また責任感を持ってもらおうと思って始めました。なので、学校から注意を受けたら、また坊主に戻します。そうした連帯責任の意識は常に持たせています」

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 まだ坊主を継続する選手も中に入るとのことだが、「楽しくやれていると思います」と桜庭監督は語る。この取り組みが小中学生にも伝わり、部員数の確保に繋がればという願いもある。

 雪が降れば1メートルほど積もるという東奥学園。現在もまだ雪が残っており、室内練習場で出来る範囲で実践に近い形で練習を重ねながら春季大会に向けて準備を進めている。「滝本、八戸の調子はいいので、春は楽しみです」と桜庭監督は2人の活躍に期待を寄せている。再び県大会出場。そして県大会ベスト8進出の目標に向かって、東奥学園は調整を続けていく。

(文=田中 裕毅

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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