離島の多さもハードルの一つに 長崎県高野連・黒江理事長が語る独自大会への構想
長崎高等学校野球連盟は第102回全国高等学校野球選手権長崎大会に代替する大会を開催することを表明した。
大会の運営にあたって、感染症への対策や障壁となっている点、また「甲子園」という目標が消えた選手への思いとは。
今回は長崎高野連の黒江英樹理事長にお話を伺った。
「とにかくきちんと大会を」
昨夏の第101回選手権大会に出場した海星(写真は茨城国体)
今年は何もできなかったので、とにかくきちんと大会を開催したいという思いでただいま計画をしています。
幸運なことに長崎県はコロナの状況がよかったもので、球場確保等の準備については多少の変更はありますが、ほぼそのままの日程で調整できそうです。どうにか大丈夫だということになっています。
感染症の対策について
現段階での感染対策ですが、政府やスポーツ庁から出ている「三密」を避けることや、第二試合以降に控える選手の待機場所をスタンドにするなどです。
6月5日に正式発表しますが、控え部員も固まらず、記者やTVクルーなどもスタンドで間隔を開けて配置していただくように予定しています。
保護者に関しても今後の状況次第で、3年生部員の保護者のみなど、制約を設けて入れる方向で行きたいと思っています。
特に高校スポーツは保護者も一体となって作られているものなので、状況次第ですが、どうにかして観てもらいたいと思っています。
そのために、例えば、消毒液、マスク、フェイスシールド、除菌シートなどを(開催が予定されている)3球場分手配している段階です。
あくまでも有料試合は行わず関係者のみ来場できるという形を取りたいと考えています。
保護者の来場と離島からの移動
2014年に行われた長崎がんばらんば国体の様子(写真は海星)
懸念すべき点は保護者の方々の対応と離島チームの移動です。
今のところ、長崎県が予定している会場は球場ですので、動線ははっきりしていますので、会場準備での難しい部分はないのですが、一番難しいのは保護者の方々への対応です。保護者会などを行って代表者を集めて協議したいのですが、難しい状況です。
また、長崎県は72の有人島があるように、離島が多く、壱岐・対馬地域は福岡や佐賀を経由するフェリーしか運行されていないので、移動での感染リスクが伴います。
飛行機での移動となるとこちらから追加の運賃の補助を行わなければなりません。無観客で観客収入が見込めないので、(日本高野連などからの支援金などを含む)限られた予算の中でやっていくことが厳しい状況です。
進路を考慮し「公式戦」で
大学やプロ野球関係者の方々のスカウティングについては、現在日本高野連とプロ側が協議しており、その結果も見ながら対応していきたいと考えています。
また当大会は「公式戦」という扱いにして、執り行うので、選手たちの進路希望先への経歴書にも「県大会ベスト4進出」など記載できるように、交流試合ではなく公式大会にしたいと思っています。
その点からも、スカウトの方々も十分に距離が確保できる広い球場で大会を開催したいという思いで調整を行っています。
(取材=編集部)
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