高校野球における「石川モデル」のはじまり

石川モデルを考案した金沢桜丘野球部・井村監督
下記の6項目について具体的な感染予防対策を明示し、プロモーション動画も制作。
1.球場の密を防ぐ
2.移動のリスク
3.熱中症のリスク
4.体力の低下や実戦不足は試合でのケガを招く恐れ
5.役員の人員確保、感染防止
6.部員が教育を受ける権利の妨げ
「大阪の吉村知事が大阪モデルを提示した時のように、スピード感と見える化を大事にしました。感染予防対策を施した上で、私たちは独自大会に向けて検討を開始しますと宣言して、これを『石川モデル』とし、この実現に向けて高野連と共に前に向かって歩き始めました」
また、23日には石川モデル・第二案として、感染予防対策をしながら、独自大会開催に向けてどう試合を行っていくかのさらなる具体案を佐々木理事長と監督の同志と話し合い、高野連の役員会に提案する準備を行った。もちろん、現時点ではあくまで井村さんの案ではあるため、詳細はまだ発表はできないものの、開催に向けて、3つのパターンを検討している。
A案 1週間開幕を遅らせての通常に近い形での開催
B案 1週間開幕を遅らせての土日祝日のみを使っての開催
C案 開幕は予定通りだが、土日祝のみで地区予選を行い、県大会を行う。
ただ、現実的には、学業との両立という課題も重くのしかかる。
夏休みがなくなったことにより、大会は土日だけの開催と考えるとA案は難しくなるだろう。また、石川県の場合は、最北部の能登地区から、金沢地区まで車での移動でも3時間はかかるため、長時間のバス移動のリスクも考慮すると、B案ではなく、C案も検討しなくてはいけない。
とはいえ、一番、球児たちの心情を理解している県の監督たちの思いは、やはり当初の地方大会と同じ形式をとるA案であることは間違いない。
石川県高野連は、石川モデル・第二案の提案も判断材料の一つとし、今月末に臨時役員会を開催し、独自の県大会開催に向けて協議する予定だ。
「私たちが出来ることは、どんな状況でも耐えて、開催が実現できるようにいろんな案を出していくことです。
ただ、やはり、独自大会の開催はそんなに簡単なものではありません。石川県も分散登校が始まりましたが、部活動の再開目処も立っていません。そんな中で、今、動きながらも、私の中では常に9回2アウトだと思っています。色々とアイディア出しをして、連盟事務局に提案していっても、どこかでつまずいた時点で試合終了。いつ、独自大会が出来なくなってもおかしくはないんです。だけど、野球は9回2アウトから逆転できるスポーツです。まだ石川県も独自大会が正式に決定したわけではないので、最後まであきらめず、大逆転を起こしてやろうと思ってやっています」
高校3年生の球児たちの最後の夏。
そして、3年間ともにした仲間たちと野球ができる夢。
そのための大会開催に向けて、連盟の方々も、そして現場の監督たちも今、本気で動いている。
「絶対に、絶対に、開催する」
20日の甲子園と地方大会中止の発表をうけて以降、各地の監督たちの動きが慌ただしくなった。電話口の向こうから聞こえる監督たちの言葉から、開催実現に向けての熱い思いが伝わってくる。
すべては、教え子たちのためだ。
今週末にかけて、独自の地方大会の開催に関する発表を行う地区が増える見込みだ。その裏には、誰よりも球児たちに寄り添い、本気で考え、本気で動いてきた「監督たち」の存在があることも忘れてはならない。
(取材=安田 未由)
【お知らせ】
今回ご紹介した石川モデルの内容が知りたい方は編集部までお問い合わせください。
その際に、学校名・お名前・電話番号もご記入いただけますと幸いです。
問い合わせ先⇒info@hb-nippon.com
※お問い合わせは、連盟又は学校関係者の方に限ります。
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どうぞご了承ください。
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