目次

[1]コーチ就任後、選手たちの意識を改革
[2]今年のチームは竹内のチーム

 昨秋、2年ぶりに秋季関東大会への出場を果たした拓大紅陵。8月に就任した元千葉ロッテマリーンズの和田孝志監督の下、秋季千葉県大会では安定した戦いぶりを見せて準優勝まで駆け上がった。

 関東大会では初戦で花咲徳栄に敗れたが、和田監督は名門復活へ強い意気込みを見せる。
 復活への青写真、そして今年のチームの現在を語っていただいた。

コーチ就任後、選手たちの意識を改革


 和田監督が、母校である拓大紅陵に指導者として戻ってきたのは2016年8月だ。
 千葉ロッテマリーンズの投手として10年間プレーした和田監督は、引退後は球団スタッフとしてスコアラーや2軍投手コーチを務め、2007年には和食ダイニングを開店。飲食業界で奮闘しつつ、指導者としてのキャリアも積んでいた和田監督は、名門復活へのサポート役として母校・拓大紅陵のコーチに就任した。

 和田監督は就任した当初を振り返り、まず選手たちのモチベーションの低さに大きなショックを受けたことを明かす。

 「プロの世界は一人一人が個人経営なので、結果を残せなかったら一年で首を切られることもあります。当然みんな必死で、同じチームでもどこか敵のような雰囲気もあるのですが、僕が高校生の頃は(拓大紅陵にも)似たような雰囲気がありました。
 今の選手は、ちょっと昔と意識が違うんだなと思いましたね」

 和田監督には忘れられないエピソードがある。
 コーチに就任して間もない頃、県内の公立校との練習試合に敗れ、試合後にミーティングを行うことになった。高校時代には考えられなかったような敗戦に、和田監督は危機感を募らせたが、それ以上に衝撃的だったのは選手たちの振る舞いだった。



秋季千葉県大会準決勝で専大松戸を撃破した拓大紅陵

 「選手たちは室内練習場で、指導者が来るのを待っていたのですが、その時にレギュラーで試合に出ていた選手が、“おちゃらけ”て悪ふざけをしていたんです。もう頭にきてしまって。
 その選手は神奈川から来ていたのですが、『お前あの高校に負けて悔しくなかったのか』と聞くと何も答えられなかった。あのチームに負けて悔しくないのなら、わざわざ木更津の山奥で厳しい寮生活をする意味は無いんじゃないかと言ったんです」

 その日を境に、和田監督は選手たちに野球への向き合い方を第一に置く指導を心掛けてきた。中でも特に選手たちへ掛けた言葉が、「ファンを作る」ことだ。

 「プロ野球はファンがいなければ成り立ちませんが、ファンを作るためには一生懸命な姿勢だったり、日頃の行いがすごく大事になってきます。
 高校野球も同じで、良い選手が二人いたとすれば、最後にどちらが選ばれるかというと一生懸命やってガムシャラに頑張る選手です。目に見えるものではないですが、そういったものを重視しないと試合にも使ってもらえないし、社会に出て生きていくのも無理だからなと言ってきました」