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覚醒間近!2020春に推したい四国の4名それぞれの魅力はどこにあるのか

2020.03.22

 新型コロナウイルスの影響は春の高校野球にも暗い影を落としている。センバツばかりでなく、四国地区では四国大会・愛媛県・高知県大会が中止。香川県・徳島県大会では4月下旬をメドに春季県大会の代替大会を計画している状況だ。

 ただ、その中でも2020年の春に光り輝こうとしている四国の高校球児たちは数多くいる。そこで今回は四国地区担当記者の寺下 友徳が冬の各校取材を通じ四国各県から1名ずつを、取材中の逸話も加え「2020春に推す4名」として選出していきたい。

三本松の空高くホームランをかっ飛ばす

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森本 夢叶、多田 聖一郎

<香川県>
多田 聖一郎 ただ・せいいちろう
三本松3年・左翼手・170センチ80キロ・右投左打・東かがわリトルシニア出身
 2015年の明治神宮大会準決勝・大阪桐蔭戦での緊急先発にも動じず好投。高松商大会初制覇の原動力となった多田 宗太郎(環太平洋大4年)を兄に持つ高校通算38発スラッガー。筒香 嘉智(MLBタンパベイ・レイズ)が右脚にためを作るイメージを参考にインパクトの鋭いスイングで大アーチを量産する。

 同県の高校通算42本塁打・田中 大貴(観音寺第一3年・遊撃手)も意識しつつ、見据えるは高校先輩・三好 大輝(現:JR四国)がマークした「高校通算53本塁打」。まずは夏秋県大会初戦敗退の悔しさを晴らすために。そして「どのタイミングでいいからいつかは目指したい」プロ入りへの扉を拓くためにも、今日も左の大砲は三本松の空高くホームランをかっ飛ばす。

「頭脳的野球」で甲子園への夢叶える

<徳島県>
森本 夢叶 もりもと・ゆうと
徳島城東3年・二塁手・173センチ62キロ・右投左打・徳島市徳島中出身
 センバツ四国地区21世紀枠候補校に選出された徳島城東の中心選手。高校通算本塁打は「0」。50メートル走6秒3・遠投90メートル・ベースランニング14秒40とデータ的には「中の上」ながら、「ノックから足の使い方に気を遣っている」など、それをカバーして余りある試合の洞察力、中学時代から個人で「インディゴコンディショニングハウス」に通っていた野球に対する情熱にあふれ、3番打者としてポイントゲッター、走塁を利ししてのチャンスメイク両面をこなす。

 春に叶わなかった夢、甲子園出場を果たすためにはチームコンセプトの熟成と共に彼の成長は不可欠。代替大会開催の暁には背番号「4」の躍動に注目してほしい。

[page_break:「昨年センバツのリベンジ」は最後の夏に/チャイニーズ・タイペイ産のスイッチヒッター、一躍「ドラフト候補」へ]

「昨年センバツのリベンジ」は最後の夏に

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平安山 陽、曾 昱磬

 <愛媛県>
平安山 陽 へんざん・よう
松山聖陵3年・投手・177センチ80キロ・右投右打・名護市立大宮中<沖縄>出身
 故障が完全に癒えず新田の前に無念の県中予地区予選敗退。センバツでの先発、夏の愛媛大会準優勝から一転、悔しい秋を過ごした最速142キロ右腕。その新田戦では腕を無理に振ろうとして痛打を浴びる場面が目立ったが、秋以降にフォーム固めからじっくり取り組んだことで現在は「スリークォーターの位置でスムーズに腕が出ている」(荷川取 秀明監督)状態にまで回復した。

 実際のブルペン投球を見てもいい意味で力感がなく、強いボール軌道が描けている印象。愛媛県は春の公式戦はなくなってしまったが、最後の夏に完全燃焼した先にある「リベンジの舞台」をつかむため、さらなる研鑽に期待したい。

チャイニーズ・タイペイ産のスイッチヒッター、一躍「ドラフト候補」へ

<高知県>
曾 昱磬 そう・ゆうちん
高知中央3年・二塁手・179センチ79キロ・右投両打・高雄市立橋頭中<台湾>出身

 昨年秋「秋の四国で見つけたダイヤの原石たち」(第3回)として和田 育也(3年・投手)らと共に取り上げた時には「175センチ75キロ・右投左打」。ところがこの冬、高知中央を取材した時に彼を見た時には明らかにすべてのサイズが大きくなっていた。

 さらに驚いたのは2つ。1つ目は身体の柔軟性。トレーニングを見ても筋肉がゴムまりのように柔らかく動く。バランスも抜群。もう1つは個人練習で本来の左打でなく右打でスムーズにティーバッティングをこなしていた点。ただ、あまりにも右打が自然なので重兼 知之監督に聞いてみると「彼は中学まで右打です」。本人に確認しても「右で打っていました」。しかも春以降は両打にもチャレンジするという。

 ちなみに橋頭中時代は166センチ53キロの遊撃手兼投手だった曾。ここから現在は遠投100メートル・高校通算15本塁打・50メートル走6秒0にまで成長している伸び率をみると……。夏までにチャイニーズ・タイペイ産のスイッチヒッターが2020年四国地区の高卒ドラフト候補筆頭に躍り出てもまったく不思議ではない。

(文=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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