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尽誠学園(香川・18年ぶり7回目の出場)2016年夏以来の聖地で 「18年ぶり聖地1勝」のその先へ

2020.01.29

 伊良部 秀樹投手(故人・元MLBニューヨーク・ヤンキースなど)を筆頭に数多くのプロ野球選手を輩出している四国の名門私学・尽誠学園。これまで甲子園には1983年センバツを皮切りに春6回・夏11回出場。春の最高成績は2001年・2002年(春夏連続)のベスト8。夏は1989年・1992年にベスト4へ進出。他にも明治神宮大会には4度の出場経験があり1982年は初出場準優勝、国体には6度出場し1992年に準優勝、1999年と2002年にもベスト4入りしている。

 2016年夏には同年センバツ準優勝の高松商を香川大会決勝戦で破り9年ぶりに夏の甲子園に足を踏み入れるも優勝した作新学院今井 達也(埼玉西武ライオンズ)の前に0対3・5安打初戦完封負け。2002年夏以来、18年ぶり聖地1勝を目指す今大会は彼らにとっても真の「名門復活」をかけた大事な機会だ。

(尽誠学園の練習の様子を動画で見る)

キーワードは「反応」

尽誠学園(香川・18年ぶり7回目の出場)2016年夏以来の聖地で 「18年ぶり聖地1勝」のその先へ | 高校野球ドットコム
尽誠学園の選手たち

 そんなチームの根幹を支えるキーワードは「反応」である。1年夏からレギュラーを張る4番の仲村 光陽(2年・遊撃手兼投手・178センチ75キロ・右投右打・名古屋アスリートクラブヤング<愛知>出身)や、指揮官・チームメイトから絶対的な信頼感を得る主将・菊地 柚(2年・二塁手・170センチ66キロ・右投右打・ヤング神戸須磨クラブ<兵庫>出身)をはじめ、レギュラー9人中6人が旧チームからのレギュラー格。昨秋はその6人がいずれも打率3割以上の活躍を見せた。

 そこに夏の練習試合を通じ急成長を遂げた最速138キロ左腕・村上 侑希斗(2年・左投左打・174センチ70キロ・南都リトルシニア<和歌山>出身)、橘 孝祐(2年・捕手・右投右打・170センチ70キロ・高松市立香東中出身)バッテリーと、尽誠学園OB・NPB通算1,928安打をマークした谷 佳知氏の甥で50メートル走5秒9の俊足を誇る福島 武颯士(1年・左翼手・右投右打・175センチ75キロ・東大阪布施ボーイズ<大阪>出身)も反応。

 香川県大会では準々決勝・藤井戦、準決勝・英明戦での逆転勝ちで勢いを得て14年ぶり12度目の優勝を果たすと、四国大会でも新田(愛媛)、岡豊(高知)相手にビッグイニン グを作って逆転勝ち。特に「一番いい反応だった」と西村 太監督も認める岡豊戦の集中力は見事だった。

 センバツの打順は1番ないし9番に菊地か福島が入る形が濃厚。その後、ベースランニングはチームNO1の14秒1を叩き出す2番の井脇 将誠(2年・中堅手・左投左打・171センチ61キロ・善通寺市立西中出身)から、福井 駿(ヤング武庫ファイターズ<兵庫>出身)、高校通算13本塁打の仲村、同じく11本塁打の宝来 真己(2年・三塁手・右投右打・182センチ82キロ・小豆島町立小豆島中出身)、バットコントロールにも見るべきものがある村上、高校通算13本塁打の川﨑 風汰(2年・一塁手・右投右打・170センチ88キロ・京都市立勧修中<京都>出身)と続く打線の巡りは、チーム打率.352以上の迫力を感じる。

[page_break:全選手が誓う「甲子園最高成績ベスト4以上」]

全選手が誓う「甲子園最高成績ベスト4以上」

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最速138キロ左腕・村上 侑希斗

 守備面も昨秋8試合4失策と固く、昨年12月には香川県高野連指導者講習会で訪れた田中 浩康氏(現:横浜DeNAベイスターズ二軍守備走塁コーチ)からも基本の守備を習得。「ヒロヤスメソッド」が聖地でいかに発揮されるか楽しみである。

 課題は「立ち上がりがよくない」と当人も認める村上のスロースターターぶり。ただ、村上自身は探究能力も高く、後半には最速139キロ右腕の仲村らも控える。チームとしての配球など意識レベルさえ全国レベルに変えることができれば、センバツでも昨秋のチーム防御率3.41程度に抑える算段が立ちそうだ。

 2月には年末まで取り組んだスイング強化を踏まえての総合練習に加え、外的刺激を受ける行事もある。2日(日)には毎年恒例となっている第74回香川丸亀国際ハーフマラソンの応援ボランティアに参加。東京五輪男子マラソン競技参加が決まっている服部 勇馬(トヨタ自動車)や元日本記録保持者の設楽 悠太(Honda)、2018年ボストンマラソン優勝の川内 優輝(AD損保)ら日本のトップランナーから「勝利のメンタリティ」を吸収する予定。ちなみに西村 太監督の父は2004年アテネ五輪・女子バレー日本代表コーチの西村 良孝氏でもある。

 センバツからは、かつて甲子園で名を馳せた「黒帽子・黒ストッキング」ユニフォームが復活することも決定済。まず絶対ミッションとなるのは「18年ぶりの校歌を歌う」。その先にあるのは主将・菊地、仲村を筆頭に55名全選手が誓う「甲子園最高成績ベスト4以上」である。

(尽誠学園の練習の様子を動画で見る)

(文=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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