Column

徳之島(鹿児島県)「闘牛打線」の本領発揮へ

2020.03.01

「島から甲子園」へ


徳之島ナイン

■南国の新設校

 鹿児島から南南西492キロ、奄美群島のほぼ中心に位置する徳之島。この島に鹿児島県立徳之島高校は校舎を構える。島の主な産業は農業で、サトウキビやバレイショ(じゃがいもの一種)の栽培が盛んである。肉用牛の飼育も有名で、闘牛大会も行われている。そんな南の島にある徳之島高校は創立15年目の新設校。「文武両道」をスローガンに部活動が活発な高校である。

■「島から甲子園」

 野球部は1年生15名、2年生10名の25名の徳之島。秋季大会は鹿児島県予選3回戦で大島に4対5で敗れ、秋は4年連続で県ベスト16という成績だった。

 「島から甲子園」を目標に日々野球に打ち込む徳之島ナイン。海を見渡せる野球部専用の自慢の野球場がある。土地柄を生かし、浜トレーニング(7キロ走・下半身や体幹を鍛えるメニュー)を取り入れこの冬のレベルアップを狙う。また、練習前に草刈りやゴミ拾いをおこなっている。地域に密着し、愛されるチームを目指している。

■あと一歩及ばなかった大島戦

 新チームスタート時、「一人一人が絶対に『島から甲子園』を達成させるという覚悟をもって努力を惜しまない」ことを胸に刻んで練習に打ち込んできた。

 その中で思い出深い試合は、秋季鹿児島県予選の3回戦で戦った大島高校との試合だ。
 序盤、1回表に犠牲フライで先制するも、2回裏に自分たちのミスから5失点してしまい、劣勢の中試合が進んでいった。その後もピンチを作るが守備が踏ん張り追加点は与えず迎えた8回表、4番の元田 蓮太の3ランで4対5とし、1点差まで追い詰めた。しかしあと一歩及ばずそのまま試合終了。序盤のミスと打線のつながりに悔いが残る試合となった。「あと1mmの差」を超えることができず、紙一重の敗北であった。

■キーマンは元田蓮太

 苦い敗戦を糧に冬場は「弱い自分に負けない」ことをテーマにして、厳しいトレーニングに打ち込んできた。そんな選手たちを見守り続ける永田心花さん、森田明日香さんの2年生マネージャー2人に徳之島のキーマンを紹介してもらった。

 まずは捕手で4番を務める元田 蓮太選手。長打でチームと試合を変えることができる選手としてチーム内からの信頼は厚い。秋季大会では、1回戦(市来農芸・串木野戦)、3回戦(大島戦)で本塁打を放つなど、試合はもちろんチームの流れを変えられる存在だ。

 県ベスト8、4には彼の存が必要不可欠であるが、1番・ショートでチームを牽引する太良瞭希の奮起にも期待を寄せる。
 「走りこむ冬!」と意気込んで冬の練習を積み重ねてきた徳之島。春以降、鹿児島に新風を巻き起こす躍進を見せられるか、注目だ。

[page_break:「闘牛打線」の本領発揮]

「闘牛打線」の本領発揮


浜でトレーニングをする徳之島ナイン

 ここからは徳之島を牽引する太良 瞭希主将と、高峰 光雅副主将の2人に話を聞きました。

Q.秋季大会など、ここまで試合を通じて見つかった課題を教えてください

太良:まず、出塁したら積極的に次の塁を狙いに行く姿勢です。そして、なにより途切れのない打線(闘牛打線)を発揮できなかったことです。また、接戦を勝つことができず結果的に惜しい試合ばかりでした。
高峰:「惜しい」で終わってしまう接戦や、自分たちが劣勢な試合をモノにできない弱さ。さらに下位打線の弱さや走塁技術、犠打の精度が課題になりました。

Q.このオフシーズンの目標、個人的に強化したところを教えてください。

太良:日本一の打者・日本一のショートになる、ということです!そのために基本を一からやり、誰よりもどこよりもバットを振りたいと思い、取り組んできました。
高峰:少しでも体を大きくしたいと思っていました。今は自分の特徴を活かすために必要な所を中心にトレーニングすることを意識しています。

Q.応援する方々へ自分に自分のここを見て欲しいと言うのを教えてください。

太良:体は小さいけれど大きい選手に負けない走・攻・守そろったプレーを見て欲しいです。また、ピンチやチャンスになるほど盛り上がるチームも注目して欲しいです。
高峰:ベンチの雰囲気や自分たちの明るさと、苦しい場面でも諦めない所を見て欲しいです。

Q.このチームの好きなところ、または他のチームに負けていないところはどこですか。

太良:弱いチームだからこそ、まとまって挑む姿勢です。常に挑戦者の気持ちで戦う仲間が好きです。今年は「チーム力」で勝つために一人一人の意識高く、誰もが気づいたことを発言できるチームです。そして、攻守交代の全力疾走はどこにも負けません。
高峰:このチームの好きなところはもともと力が無いので、そこを補うためにみんなが努力しているところです。力が無い分、主将を中心に昨年よりミーティングを増やし、チームワークを意識しています。また壽山 大陸というムードメーカーを中心に明るい徳高野球部が自分は好きです。

Q.最後に意気込みをお願いします!

太良:自分の特徴をまず知ることです。そして、それを活かせるようにする為の練習をしていきます!
高峰:夏につながる春にします!そして『打倒私立』です!。

 太良選手、高峰選手ありがとうございました!

「しんどいをエンジョイに!!」

  ここからは吉田 公一監督に話を伺いました

Q.今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。秋の大会の振り返りならびに、冬でのテーマも教えていただけたら幸いです。

 普通のチームが普通のことをしていては、普通の結果しか出せません。ですので、勇気を持って「大胆に」野球をすることをテーマにやってきました。秋ベスト16という結果で終えて、核になる選手を増やせるよう、冬のテーマは「自分改革(肉体・心の成長)」にしてきました。

Q.最後に、これから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。

 支えて下さる保護者や島の皆様の笑顔を自分たちの喜びにしよう。歓喜の輪を現実に!!チームスローガンでもある、「険しい道も笑って歩け!」しんどいをエンジョイに!!

 吉田監督、そして徳之島高校の皆さん、ありがとうございました!

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今年も大好評!
【冬が僕らを強くする 特設ページ】
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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