目次

【目次】 [1]最後まで戦い抜く気持ちを大切に
[2]副主将が語る今の課題/我慢すべき点と挑むべき点をしっかりと理解する

最後まで戦い抜く気持ちを大切に



御殿場西・磯部太一

■復活を図る静岡の強豪

 御殿場西高校は静岡県御殿場市ぐみ沢に校舎を構える私立高校で、各自の目標に合わせたコース選択ができるよう特進・進学・ITビジネス・未来創造の4つのコースを有する。部活動では運動部、文化部に加え、同好会の活動も活発でメディア同好会はiPad等で生徒の活躍を取材し、制作した映像を本校公式Youtubeに配信している。硬式野球部は、1992年に春の選抜甲子園に初出場を果たすが、その際は1回戦で敗れているため、全国大会での勝利は経験していない。2018年秋には静岡県大会で優勝し東海大会に出場するなど、全国への道を着実に進めつつある。

■目標は甲子園での勝利

 野球部は1年生26名、2年生15名の41名の御殿場西。秋季大会は県大会2回戦で静岡商に2対5で敗れた。

 今年のチームは「コーチと2年生で意見の食い違いを感じ、監督の後押しもあり、選手たちの意見を本音でぶつけたところ、コーチも思っていることを本音で話しました。この事があってこそ、今の御殿場西高校野球部があると思っています」と主将で捕手の磯部太一が振り返る。そこから冬場の間、Aメンバーは自分で課題を考えて練習に取り組み、Bメンバーはグラウンドを全面的に使って基礎の徹底をしてきた。

■慢心が招いた敗北

 グラウンドは冬が降ってしまうと使えないため体育館や室内練習場、さらには市の陸上競技場も使いながらトレーニングを重ねてきた御殿場西。そんな御殿場西は、隙のない走塁、頭を使った野球、力強い野球の3つを武器に最初から最後まで攻め続けられる野球をテーマに秋の大会に臨んだ。

 厳しい試合を戦ってきたチームにとって思い出深い試合は、秋の地区大会の1回戦で戦った沼津東高校との試合だ。
 試合前のシートノックで、勝てると慢心をしてもち、さらに初回に4点を取ったことで気がゆるんでしまったことで、次の回に4点を返されてしまう展開。そこから気を引き締め直したが、なかなか立て直すことができず、8回に何とか1点を取って5対4と御殿場西は勝ち越すも、9回に同点にされ試合はタイブレーク。

 先攻だった御殿場西高校は三者凡退となり、磯部主将は「終わった」と負けを覚悟をした。だが、直後の攻撃で相手がスクイズをピッチャーライナーに抑えることができ、何とか裏の攻撃を0点でしのいだ。「この時のみんなの笑顔は忘れられない」と磯部主将は印象深い瞬間を振り返る。

 その後、試合はそこ勢いに乗った御殿場西は4点を取るも、裏の回にはエラーや連打が重なり、逆転負けをしてしまった。勝利を確信し、浮足立ってしまったことを悔やみ、「どんな相手でも、どんなゲーム展開でも気を緩めることなく、最後まで戦い抜く気持ち」を今は胸に刻み大切にしている。

■ここまでの戦いを支えたキーマン3人

 冬場の名物練習「森下ノック」と呼ばれる、正面と左右それぞれ10本ずつ。ゲッツーでも同じように10本ずつ受けるメニューだが、捕れるか否かギリギリのところを打たれ、捕れなければ最初からやり直さねばならない厳しい練習を選手たちは受ける。

 そんな御殿場西を支えてきたのは「内海壮太、今門汰心、石川俊弥の3人」と磯部 太一主将は言う。内海は新チームが始まってから打率5割以上の成績。今門は公式戦の大事な場面でのホームランを放ち、2度もチームを救った。石川は絶対的な守備の要として、何度も守備でチームを救った。

 その3人を含めで、春以降は2年の西原未来飛、沼上裕城。さらに1年生の高林怜、熊井健一郎、市村倖大。またチームのムードメーカーで「練習から指導者にも負けずにチームを盛り上げる持ち前の明るさで、公式戦でもチームを盛り上げて欲しい」と磯部主将が期待を寄せる鈴木裕貴に注目したい。

 最後に磯部主将は「Aメンバーも力を付けていきながら、BメンバーからAメンバーに上がってこれるような競争の激しいチームになりたいです。その為に、一人一人が更なるレベルアップを目指していきます」と今後の意気込みを語った。

 チーム内で切磋琢磨を続け、さらなる成長を図る御殿場西の今後に注目だ。