Column

豊野(愛知) 「基礎・土台を積み重ね、持ち前の攻撃力で球国愛知に旋風を巻き起こす!」

2020.02.23

夏の甲子園で校歌を歌うことが目標!


トレーニングに取り組む豊野の選手たち

■野球部専用のホームページ、Twitterアカウントで活動が見られる!

 豊田市渡刈町に学校を構え、『真心』という校訓を掲げている豊野。野球部はマネージャーを含めて23名で活動中。野球部専用のホームページやTwitterの専用アカウントなど、SNSなども上手く活用しながら日々練習をしている。

 この取り組みは監督である松井優氏の発案で始まったが、きっかけは大きく2つあった。
 「中学生に向けての活動を発信することで、1人でも多くの部員に来てほしかった。それと同時に独自の取り組みを見せることで、選手たちの自信を付けさせたくて始めました」

 実際に、SNSを通じて豊野の活動を多くの方から評価してもらい、選手たちも自信を深めることができていることを松井監督は実感している。

■質の高い練習を求めて

 そんな豊野は他の部活動との兼ね合いで、正面から投げられるボールを打つことがなかなか出来ない。そのため、テニスボールやトランポリンといったのを使い、狭い範囲でも効果的な練習をしている。

 この練習の効果について学生コーチの岡田竜生さんは「トランポリンに乗ることでブレやすい状況でも、トップを作ったままボールの内側を捉えて流し打ちをする。これをすることでインサイドアウトの出し方を覚えようとしています」と話す。

 また松本航平選手は「ボールの速さやトランポリンの角度を変えることで、変化球を想定しています」とより実践を想定した取り組むことで、限られた環境の中でも質の高い練習を行っている。

 その一方で守備では基礎に時間を使う。特に大事にしているのが捕球態勢。主将の奥村魁斗選手は「イレギュラーがあっても即座に反応できるように、右足から左足への重心を移すことを徹底しています」とチームの徹底事項を語った。

■足を絡めた攻撃で聖地を目指す

 新チームスタート時から、繋ぐ打線を駆使したバッティングを強みに『夏の甲子園で校歌を歌うこと』を目標に練習を重ねる豊野。その武器を磨くために意識しているのが点数の取り方だ。この攻め方について松本選手が具体的に語った。

 「一死三塁とかではスクイズなどで1点を取って終わるのではなく、強攻で1点を取りつつも次へチャンスを繋ぐこともできるように意識をしています」

 また「走塁に対しても、次の塁を狙えるように高い意識を置いてやっています」と学生コーチの岡田さん。打つだけではなく足でも相手を攻め立てて、1点を狙えるように豊野が持ち前の攻撃力を磨いている。

 そして守備に関しては、選手それぞれが自主練の時間も使ってノックを数多く受けるようにすることで、基本を叩きこんでいる。

[page_break:リーグ戦を突破して県大会へ]

リーグ戦を突破して県大会へ


ストレッチをする豊野の選手たち

■印象深いゲーム、そしてチーム引っ張ったキーマン

 そんな豊野は西三河地区に所属しリーグ戦に挑んだが、2勝3敗に終わり県大会への切符を掴むことが出来なかった。春もリーグ戦から県大会を目指すが、選手たちにとって忘れられない一戦がある。それは昨秋のリーグ戦の2戦目・鶴城丘との一戦だ。

 試合は序盤に5点リードを奪ったが、中盤から徐々に反撃にあい、9回には追いつかれる展開。しかし4番に座る井口稔久がサヨナラ打を放ち、6対5の勝利。岡田学生コーチは「井口の逆転打を放ったのも印象的ですが、打って打線を繋ぐことが出来たことも印象深いです」とこの一戦を振り返る。

 主将の奥村も同じ試合を挙げたが、「井口が一本打ってくれたので印象深いですが、あの試合の最終回にミスをしてしまい、自分の中では引きずってしまっていました」と反省も口にした。

 しかし、主将としてチームをまとめてきた奥村選手が「ここまでチームを引っ張ってくれた」と松本選手は語る。
 「いつも自分がエラーした時、奥村はすぐに声をかけてくれます。また、奥村自身がミスをしてもすぐに周りへ声をかけて、次をどうするのかを考えてチームを引っ張ってくれていました」

 また投手の石田爽人選手も「自分が崩れかけたら、奥村はタイムをかけてマウンドに来てくれます」と奥村主将の目配り気配りに感謝の言葉を並べた。

■春以降の活躍期待の選手2人

 このオフシーズンのトレーニングでは、中殿筋という股関節周りにある筋肉をアップの中に片足スクワットを取り入れることで重点的に鍛えてきた。

 さらに月1回測定をすることで、バッティングの中で割れ、そして変化球への対応力向上させることで、バッティングをレベルアップさせてきた。また守備ではもう一度基本を徹底することを意識付けて練習。

 選手の話す能力を鍛えるために、練習終わりに選手同士でのミーティングを通じて鍛え上げた主体性。そして他校にも負けていないと選手たちが自負する声でチーム全体の雰囲気を高めて、厳しい練習も乗り越えている豊野。そんな豊野の春先のキーマンとなりうる選手は、4番の井口選手だ。

 「ケガの影響でなかなか大会の時に結果を残せていないのですが、攻守ともに井口には高い能力があります。このオフは順調に練習をこなせているので、春先の大会でチームの勝利に貢献してくれると信じています」(岡田コーチ)

 またマネージャーとしてチームを支える近藤綾さんは1年生の三浦清之助選手を挙げる。
 「課題克服に向けて進んでノックを受けていて、練習を頑張っています。すぐに試合に出られるかわからないのですが、期待をしたいです」

■春以降の意気込み!

 春はリーグ戦からのスターとなる豊野。選手たちから最後に意気込みを伺った。
 「選手それぞれが課題に合わせてトレーニングをしています。そこにマネージャーも声でサポートをしていければと思います」(近藤マネージャー)
 「きつい練習で声がなくなってしまうと雰囲気が悪くなります。ですので、客観的な視点で量だけではなく質の高い練習ができるようにしていきたいです」(岡田コーチ)
 「外野リーダーでもありますので、自分だけではなく他の外野手の守備向上にも忘れずに冬を駆け抜けたいです!」(松本選手)
 「最後の夏に悔いを残したくないので、トレーニングを最後まで全力でやり切って悔いのない夏にしたいです!」(石田選手)

 そして最後に奥村主将が春への意気込みを語った。
 「春先にはホームランを打てるような打者になりたいので、土台をきっちり作って打撃技術を向上させたいです。そして春はリーグ戦4勝して県大会へ、そして県大会2勝を勝ち取れるように周りに声をかけながら、自分が中心になって練習をやれればと思います」

[page_break:主体性と責任をもって練習に取り組んでほしい!]

主体性と責任をもって練習に取り組んでほしい!


お話を聞かせてくれた豊野の選手、マネージャー

  ここからは松井優監督に話を伺いました

Q.今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。

 「最低でも県大会に行ける実力を持っているチームだ」と思いました。ただリーグ戦は1週間に5試合やりますので、試合を戦い抜く体力が必要でした。ですので、夏の間は試合を多くこなして実戦を通じて体力と技術を高めてきましたが、それでも最後は体力不足でした。

 またリーグ戦で戦った三好高校との試合では1点差で敗れましたが、バントで遅れなければチャンスで1本が出せない。守備ではエラーといろんな面で足りないことが多かったです。

 それで僕を含めてチーム全員が目を覚ましましたし、「夏の負けから何を学んだんだ」とコーチに言われました。いろんなことがあった秋でした。

Q.現在はどういったテーマを掲げて練習されていますか。

 スクイズだと1点しか取れないですが、上のレベルと戦うためにも打って点数を取りながらチャンスを続けるか。スクイズを使わずとも得点が取れるような打線になるために、トレーニングで土台作り、体力づくりをやってきました。

 体力が足りないと形が崩れてしまい、覚えて欲しい技術が身につかないので、体力強化で片足スクワットなどで鍛えてきました。今はかなり体力がついてきましたので、その体力を野球にプレーに落とし込んでいる段階に移っています。

Q.春以降、チームになる選手がいましたら、教えてください

 まず2年生の勝上大資です。彼は全体での朝練より1時間くらい早くから自主練をやるような選手で、背中でチームを引っ張ってくれています。また石田も夏の大会で投げていますが、結果を残すことが出来ず、秋のエースナンバーも後輩がつけました。けど練習はしっかりやってくれる選手ですので、最後の夏はエースとして活躍して欲しいと思っています。

Q.最後に、これから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。

 万が一、僕が転勤をしてしまっても「俺たちが野球をやるんだから」と主体性をもって欲しいですね。そのためにも練習の意図をきっちり理解して、これからも主体性をもちつつ責任をもってやり遂げて欲しいと思います。

 松井監督、そして豊野高校の皆さん、ありがとうございました!

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今年も大好評!
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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