記念すべき年となった2019年愛知の高校野球!1年を総括する漢字は『誉』しかない!
ズバリ『誉』 その理由は?
明治神宮大会で初優勝を飾った中京大中京
これは、この夏甲子園初出場を果たした尾関学園誉高校の「誉」だけれども、「栄誉」「名誉」の「誉」の字でもある。
理由は、前述の通り愛知大会で優勝し初代表校となったのが誉高校だったということもあるが、それだけではない。
平成最後となった第91回選抜高校野球大会では、東邦が30年ぶり5度目の優勝を果たしている。
これはセンバツ優勝回数最多であるとともに、この優勝でセンバツの通算勝利数も56勝となり最多勝利校となった。
こうした「栄誉」があったということである。その、栄誉を称えてということもある。
さらには、この秋の明治神宮野球大会では、甲子園通算最多勝利数と最多優勝回数を誇る中京大中京が、ついに明治神宮大会も制して初の秋の日本一に輝いた。
全国有数の名門校といってもいい中京大中京だけに、半世紀に及ぶ歴史となった明治神宮大会で優勝がなかったことがもどかしかったのだが、昭和~平成を通じて達成しきれなかったことを令和となってすぐに達成。これは、素晴らしく名誉なことである。
そういう意味でも「誉」の文字は極めて意味かある。
さらに付け加えれば、その中京大中京の校歌、二番の最後の節では「いで 継がんかな その名誉(ほまれ)」と謳われている。
今年の愛知県高校野球は、新旧の名門新鋭が活躍したということも含めて、しかもその名を冠した誉高校が初出場を果たしたということもあって、漢字一字は「誉」で決まりということで異存あるまい。
[page_break: 新時代に爆発した新鋭校]新時代に爆発した新鋭校
夏の躍進を見せた誉
ところで、その誉と称する学校だが、愛知県北西部に当たる小牧市本庄郷浦というところに位置する私立校だ。
尾関学園として開校したのが1983(昭和58)年というから、比較的歴史は浅い。
正直、高校としてはこれといった強い特徴があるという存在ではなかったのだが、2009(平成21)年に「何度も口ずさみたくなるような音の響きと名前のインパクトがある」ということで「誉」という現在の校名となった。
生徒数は360人前後。
当初は、野球部の実績としてもさほど目立ったものがあるというのでもなかった。
そんな中で、2006(平成18)年に現在の矢幡真也監督が就任して徐々にチームが強化されてきた。
矢幡監督は、現在も家業の家電会社を営んでいるのだが、電気設備工事などでたまたま尾関学園に出入りしていたところ、担当者と野球の話で盛り上がるなどしているうちに、白羽の矢が立った。
自身は犬山市出身だが岐阜県の美濃加茂に進学し、90年にエースとして甲子園に導いている。その後、朝日大に進み社会人野球の河上薬品(関市)や阿部企業(神戸市)でもプレーした実績がある。
夏にインパクトを残した誉
誉となってからは、2012(平成24)年の愛知大会で初のベスト8に進出。さらに翌年の秋季県大会でベスト4。そして、2014(平成26)年秋季県大会で初優勝。東海大会にも進出。高橋純平投手を擁する県岐阜商に0対1と完封負けはしたものの、その存在は十分に認められた。
翌年夏の愛知大会もベスト8。こうして徐々に県内でも中堅から上位を狙える存在となっていった。
そして2018(平成30)年の春季県大会でも優勝するなど、安定して上位に顔を出していく有力校の一つとなっていたが、甲子園というのは、現実にはやや遠かった。
そんな誉だったのだが、令和新時代になって、一気に爆発。4回戦で前年優勝校の愛工大名電を下し、さらにセンバツ優勝の東邦を下した星城に勝利。準決勝では中京大中京に逆転勝ちして初出場を果たしたのである。
しかも、林山侑樹主将は選手宣誓も行ったかと思うと、直後の開幕戦で敗退。あっという間の檜舞台だったが、それなりのモノは残したのではないだろうか。
まさに、今年の愛知県は歴史と伝統のある学校が実績を残しつつ、新鋭校も躍進したという愛知県の象徴としての「誉」ということである。
(文=手束 仁)
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