第4回 時代の流れの中でも未だ衰えることなく健在の富山商vs高岡商2020年01月06日

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富山商(左)、高岡商(右)

 2019年の今年、大相撲の朝乃山の優勝とバスケットボールの八村塁のNBA入りしての活躍で、スポーツ界では一躍脚光を浴びた富山県。人口は約105万人で北信越地区では福井県の77万人に次いで少ない。石川県と新潟県に挟まれて日本海側に面している富山県だが、高校(中等)野球では福井県勢、石川県勢の後塵を拝していたという現実は否めない。

 そんな富山県で台頭してきたのは高岡商富山商という二つの伝統商業校だった。そして、この2校の対抗構図は久しく続いていたが、間に魚津新湊のエポック的な活躍もあり、近年では私学の富山第一高岡第一も台頭してきている。しかし、そんな中でもここ3年連続で夏の富山大会は高岡商が制し、2018(平成30)年春は富山商がセンバツ出場を果たすなど、やはり高岡商と富山商が県内高校野球をリードする存在として健在だ。

 高岡商は1897(明治30)年に高岡市立簡易商業として創立し、1922(大正11)年に県立に移管し、一時的に統合で高岡第二工という時代もあったが、その後高岡商に復帰。学制改革後には高岡西部と称した時代もあったが、1957(昭和32)年に再び高岡商となり今日に至っている。
 富山商も創立は高岡商と同じで富山市立簡易商業という同じように経過をたどりながら、同じ年に県立校に移管。一時的に富山南部となった時代もあったが、1953(昭和28)年に現校名に戻り今日に至っている。つまり、両校は学校の成り立ちからその経緯も含めて同じような位置にあり、そういう意味では創立当初からのライバル関係とも言えよう。

 野球部の創部は富山商が先で1918(大正7)年、高岡商はその5年後となっている。
 富山県で最初に甲子園出場を果たしたのは高岡商で1937(昭和12)年夏だった。さらに、39年夏も高岡商が二度目の出場を果たしている。そして富山商は翌40年夏に初出場を果たす。しかし、県勢としても甲子園初勝利は果たせないままだった。

 富山県勢の全国初勝利も高岡商で、三度目の出場となった47年夏に9対8で福岡中(岩手県、現福岡)を下している。その後は、62年夏に甲府工に勝利、68年春に沖縄(現沖縄尚学)に勝利。しかし、甲子園では1勝止まりだった。
 富山商の初勝利は春夏通算6回目の甲子園となった67年夏で滋賀の守山に3対1で勝利した。しかし、2回戦ではこの大会で優勝する習志野に2対16と大敗している。

 その後の富山県勢としては、78~81年には石動桜井新湊高岡第一などが出場し、86年の春は新湊旋風などもあったが、それ以外は昭和の時代、ほぼ交互の様にして高岡商富山商が出場していった。
 それは平成になっても継続されていくが、甲子園出の勝ち上がりということで言えば、なかなか苦戦が続いていた。

 それでも2014(平成26)年夏の富山商は二つ勝ってのベスト16。ここ3年連続で甲子園出場を果たしている高岡商も、18年は佐賀商、慶應義塾を下してのベスト16。19年も石見智翠館神村学園を下して3回戦では優勝する履正社には敗退するものの終盤に粘りと意地を示した。

 2019(令和元)年末現在、富山商は春6回、夏16回出場。高岡商は春5回、夏20回という出場記録がある。 ところで、両校を語る上でもう一つ特徴的なのはユニフォームのコントラストである。富山商は長い間、高松商に似たゴシック体で「TOMISHO」と書かれて肩から袖口に濃紺のラインのあるものを使用していた。実は、これは高松商同様に、創部当事に野球指導したのが慶應義塾大だったということに起因していると言われている。現在は白地に立て襟付きでブロック体の「TOMISHO」というスタイルで紺地に3本線のストッキングとなっている。これに対して高岡商はアイボリーに臙脂でいわゆるワセダ文字で「TAKASHO」でストッキングも臙脂と白のツートン。これは、言うまでもなく創部当事の最初の指導甲賀早稲田大だったことに起因しているとされている。

 こうした歴史と伝統を感じさせるのも、富山県の伝統校の両雄ならではと言ってもいいであろう。

文=手束 仁

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富山第一 【高校別データ】

プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
  • ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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