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名門、公立勢の巻き返しに注目!2020年の鹿児島県高校野球をズバリ占う

2020.01.03

強豪私学、群雄割拠

名門、公立勢の巻き返しに注目!2020年の鹿児島県高校野球をズバリ占う | 高校野球ドットコム
鹿児島城西の二本柱の一角・八方悠介

 2020年、まず大きな注目は鹿児島城西、初のセンバツ出場なるかということだろう。秋の九州大会で4強入りし、春夏を通じて初の甲子園出場に大きく前進した。

 長く鹿児島実樟南鹿児島商の「御三家」で甲子園寡占状態が続き、05年以降は神村学園が新たな常連校として台頭してきた中、13年春の尚志館、14年春の鹿児島大島、同夏の鹿屋中央に続く、鹿児島からの初出場なるかが大いに注目されるところだ。

 八方悠介前野将輝、完投能力のある2年生好右腕2人を擁し、元気な1年生野手が中心になる攻撃力、元プロ野球選手の佐々木誠監督の采配など、県内でも独自のカラーを持つ鹿児島城西の野球が全国の強豪相手にどこまで通用するか、楽しみである。

 鹿児島城西がセンバツに出場すれば、春の県大会は鹿児島実鹿屋中央枕崎加治木工、鹿児島大島、鹿児島池田、樟南の7校がシードになる見込み。

 秋の鹿児島を制しながら、九州大会はまさかの初戦敗退だった鹿児島実は、右腕・加島優太、左腕・森重温季の2年生2本柱に加えて、県大会でベンチに入っていなかった右腕・大村真光が1年生大会を制する原動力になった。
 故障などで夏以降登板機会のなかった髙田隼之介(2年)が戻ってくれば、投手陣の層は更に厚くなる。

 夏のような強力打線のチームとはカラーが変化した鹿屋中央山本聖主将、上宮田壮ら、夏を経験した経験豊富な2年生を中心に、4強入りした1年生大会のメンバーもレギュラー争いに加わって、伸びしろを感じさせるチームだ。

 鹿児島池田はエース三嶽空(2年)をはじめ、前チームからの経験豊富なメンバーがそろっており、強豪私学に食い込んでいきそうな実力を感じさせる。

[page_break: 神村学園の巻き返しは?]

神村学園の巻き返しは?

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神村学園

 この秋の結果は上記の通りだが、この大会はシード神村学園のパートに鹿児島情報鹿児島れいめい鹿児島城西が名を連ね、序盤でつぶし合った。
 この全てが春のシード校に匹敵する力を持っている。

 中でも夏の甲子園出場メンバーを豊富にそろえながら、3回戦で鹿児島城西に惜敗した神村学園は、並々ならぬ覚悟で春以降の大会に臨んでくるだろう。

 鹿児島実樟南の2強に神村学園が台頭して大きな勢力図を占めていた鹿児島の中で、鹿児島城西鹿屋中央れいめい鹿児島情報尚志館と強豪私学による群雄割拠の時代の幕開けを予感する。

「適者生存」の時代へ

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加治木工

 公立勢の中では枕崎、鹿児島大島、加治木工が期待の星だ。枕崎は小薗健一監督、鹿児島大島は塗木哲哉監督、加治木工は田村正和監督、いずれも経験、実績豊富なベテラン監督が率い、明確な指導哲学を持っている。

 「1週間500球以下」の球数制限が決まり、来春以降は野球に対する既成概念が根本から覆る時代になることは容易に予想される。1人のエースが全試合を投げ抜いて勝つことはかなり難しくなる。

 8月、まだ球数制限の具体的な内容が見えなかった頃、串木野の地頭所眞人監督に尋ねたことがある。部員が単独で9人そろわず、常にどこかと合同チームを組んでいる。

 「うちは特に影響ないと思います」と地頭所監督は言う。少人数だから常に継投は意識しており、全選手が複数のポジションを経験することが日常化している。いろんなポジションを経験することで学ぶことも多いという。
 そういう逆転の発想が面白いと思った。

 甲子園云々だけをみれば、豊富な戦力を整えやすい強豪私学優位の傾向が強まるとは誰もが予想することだが、そんな時代だからこそ、なぜこのルールが導入されたか、原理原則を理解し、正しい選手育成をするチームが未来を開くとみる。
 「適者生存」の時代の中で、各チームがどんな選手を育て、チームを作っていくか、注視していきたいと思う。

(取材・政 純一郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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