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「報徳の名に泥を塗った」屈辱と逆襲を期した3年夏 金村義明氏【後編】

2019.12.01

 10月18日(金)からスタートした新番組「プロ野球 そこそこ昔ばなし」(Amazon Prime Video)。MCのナイツと進行役の吉田明世アナが、1980年代から1990年代のプロ野球界の裏側にスポットを当て、元プロ野球選手のゲストと共に現役時代の裏話を紹介する人気上昇中のトークバラエティだ。
 番組では、元巨人の槇原寛巳氏が選抜甲子園大会での「報徳学園vs大府」の裏エピソードを紹介するほか、プロ入り後の驚くべき日常のエピソードを笑いを交えて紹介していく。

 また、近鉄バファローズや中日ドラゴンズなどでも活躍した金村義明氏もレギュラーゲストとして毎回出演し、今では考えられないような現役時代の秘話を披露している。

 そして今回は、そんな金村氏に独占インタビューをさせていただいた。後編では全国優勝を果たした高校3年時の思い出から、今なお続く報徳学園の熱い思いについても語っていただいた。まずは番組にもゲストとして出演する、槇原寛巳氏との選抜甲子園での対戦の思い出から辿っていく。

「報徳の名に泥を塗った」屈辱と逆襲を期した3年夏 金村義明氏【後編】 | 高校野球ドットコム前編はこちらから!
報徳学園に恋焦がれた幼少期を回顧 金村義明氏【前編】

「知多半島の公立高校」に完敗で挫折を経験

「報徳の名に泥を塗った」屈辱と逆襲を期した3年夏 金村義明氏【後編】 | 高校野球ドットコム
金村義明氏

 憧れだった報徳学園のエースになって選抜甲子園にも出場できたのですが、ここで大きな挫折を味わうことになりました。

 選抜の1回戦では槙原寛己がいた愛知の大府と対戦しました。知多半島の公立高校になんか負けるわけないと思っていたのですが、それで見事に負けてピーピーに号泣したんです。
 1回、2回で5点も取られて、報徳学園の歴史でも当時1回戦負けは初めてでした。

 監督からはお前のせいで負けた、お前のひとり相撲で負けたと言われて、全国に名を轟かせている報徳の名に泥を塗ったとまで言われました。
 それはもう屈辱でね、春は挫折を経験しました。

 あとはもう夏しかありません。6年間も私学に入れさせてもらいましたが、もう最後の大会になるので、何としても夏の甲子園では勝ち進みたいと思いました。

 夏は予選だけでも7回も勝たなければいけません。1、2回戦くらいは僕がでなくても勝てますが、誰にもマウンドを譲りたくなかったんです。監督は背番号10や11番の選手も使おうとしましたが、僕はそれを拒否して投げ続けてました。
こうして最後の夏は兵庫県大会で優勝して、甲子園に行くことができました。

並みいる強豪を打ち破って全国制覇

 夏の甲子園では見事優勝を果たすことができましたが、あれよあれよで奇跡的な優勝でした。

 1回戦の盛岡工を無事に突破すると、2回戦は前年度優勝の横浜で、次も荒木大輔がいる早稲田実です。そして準決勝でも工藤公康のいた名古屋電気(現:愛工大名電)。優勝候補ばかりと当たったんです。

 選抜は1回戦で大府に敗れましたが、エースの槙原寛己からたまたまホームランを打ったんです。バッティング練習なんてしたこともないのに。

 高校野球の雑誌には隠れたナンバーワン打者だと扱われたんで、夏に向けてもバッティングを鍛えました。その甲斐もあってか夏は打率が5割を超えて、ピッチャーとしても防御率は1点台で。
 投打でチームを引っ張って、奇跡的に甲子園で優勝して人生のピークを迎えましたね。(笑)

[page_break:契約金をすべて両親に渡す]

契約金をすべて両親に渡す

「報徳の名に泥を塗った」屈辱と逆襲を期した3年夏 金村義明氏【後編】 | 高校野球ドットコム
金村義明氏

 甲子園での活躍が認められて、近鉄バファローズと阪急ブレーブスにドラフト1位で指名していただけました。抽選で近鉄バファローズになり、晴れてプロ野球選手になることができましたが、入団時にいただいた契約金はすべて両親に渡しました。

 もう当然でしたよね。貧乏だったのに私学の報徳学園に6年間も行かせてもらって、親の働いてる姿をずっと見てきてるので。

 6年間も私学で野球をやらせてくれた両親には本当に感謝ですね。

報徳学園の名前がもっと栄えていて欲しい

 報徳学園とは、今でも関わりはありますよ。
 先日も秋季兵庫大会で優勝したときに大角健二監督と焼肉に食べに行きました。
 夏の選手権大会は3回戦で加古川西に負けてしまいましたが、現在も全面的に応援していますし来年は甲子園にも出ると思ってます。

 これからも報徳学園を微力ながらバックアップしていきますし、去年にプロ入りした小園海斗報徳学園が始まって以来の名球会入りができる選手だと信じています。

 報徳学園の名前が、これからもっともっと栄えていって欲しいですね。

(取材=栗崎 祐太朗)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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