目次

[1]3人の甲子園出場監督と沖縄の高校野球記者が意見交換座談会
[2]大事なのは知恵を絞ること


秋季沖縄県大会を制した沖縄尚学

 全国的に、新型コロナウイルスがまだ収束していない中、沖縄県では16日連続感染者ゼロの朗報が続く。その中、多くのスポーツ新聞が出した「夏の甲子園中止へ」の見出し。20日正式発表という小見出しをしているものの、全国の球児たちの多くが動揺を覚えたのではないだろうか。

 全国で唯一、春の公式戦を開催したのが沖縄県だ。感染対策を徹底した上で、無観客試合を行った結果、選手はもちろん高校野球関係者がコロナウイルスに感染したという情報は一切出て来ていない。

 各都道府県で、コロナの感染拡大に差があるのは重々承知しているが、中止ありきで議論を進めるのなら、その議論は何の意味もなさないのではないか。6月中旬まで待って、その中でコロナウイルスが暴れているようなら、そこで夏の甲子園中止を決定しても、遅くはない。

 沖縄県の高校野球監督を代表する我喜屋優氏をはじめ、3人の甲子園出場監督に加え、長く沖縄の高校野球を取材してきて精通している2人のメディアが揃い意見交換座談会を開催。後編では具体的な案を出し合っていく。

◆意見交換座談会メンバー
我喜屋優(興南高校野球部監督)
神谷嘉宗(美里工高校野球部監督)
眞玉橋元博(糸満高校野球部部長)
棚原勝也(琉球朝日放送)
我喜屋あかね(沖縄タイムス)
當山雅通(高校野球ドットコム沖縄担当)

せめて入場行進だけでも。せめて8チームだけでも

棚原勝也氏:前回のですが。沖縄県の高野連の発表が『甲子園の開催を前提に県大会をやる』と。県大会の中止もあるという余白を残した発表をしている。

我喜屋優氏:もしもね。外野が『甲子園開催前提でしかやらないって言ったじゃないか』としてもね。県の高野連が撤回すれば良いだけの話じゃないの。

棚原勝也氏:僕らの番組である『目指せ!甲子園』。もし甲子園が無くなったらどうするの?という声があって。いや、気にするのはそこじゃないだろうと。目指せ!甲子園という番組は、もちろん甲子園を目指そうぜという一つの目標もあるのだけど、頑張っている選手一人一人、あるいはチームの姿がまさに甲子園なんだと僕は思う。彼らが戦っている場所は地方大会かも知れないけど、甲子園へという思いは繋がる。

我喜屋優氏:夏の大会、選手権が甲子園に繋がる道。その大会に参加することでね。『オレ、甲子園目指していたんだぜ』と語れる。その思いも全て消そうとしている。

棚原勝也氏:例えば。各都道府県全てが大会を開催して。優勝校を決めて。仮に甲子園が無くなった場合。時期は8月じゃなくても良い。ベンチメンバー全員が参加するのは厳しい状況ならキャプテンだけでも甲子園に集まってね。春のセンバツに出場するはずだった高校も一緒になって、優勝旗を掲げるということは出来るじゃないかと。

我喜屋優氏:そういう意見がね。大会開催を前向きに考えるならどんどん出てくる。それらを踏まえて結論を出せば世間も納得する。