第41回 「プロ野球第一」「大学進学のための全国大会」日本とは似て非なる韓国の高校野球事情2019年09月06日

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【目次】
[1]全てはプロ野球に入るために
[2]大学進学のために組み立てられた全国大会/球数制限の成果

 試合の開始前と終了後はホームベースを挟んで整列しあいさつをする。短い頭髪に、似た顔立ち。韓国の高校野球は、どこか日本と似た感じがある。しかしその実情は、かなり異なる。中日の守護神として活躍した宣銅烈(ソン・ドンヨル)をはじめ、日本でプレーする韓国人選手を取材するため、スポーツ朝鮮の記者として1996年から2001年まで日本で取材活動し、日本の事情にも詳しく、現在は大韓野球ソフトボール協会理事で広報特補(特別補佐官)として、韓国の高校野球にも精通している李駿星(イ・ジュンソン)氏の話を中心に、韓国の高校野球事情を紹介する。

全てはプロ野球に入るために



李駿星氏

 韓国の高校のチーム数は80校。減少しているとはいえ、3700校を超える日本と比べると、あまりに少ないが、実はこれでも、ここ10年くらいで30校くらい増えている。

李駿星大韓野球ソフトボール協会理事・広報特補(以下、李氏) 近年は1年で、3、4校ずつ増えています。韓国ではプロ野球の人気が高まったので、野球を志望する若者が増えています。少年野球の支援など、プロ野球のKBO(韓国野球委員会)や我々の協会も、努力をしてきました。

 日本では多くは、本格的な野球は高校までで、プロはもちろん、大学や社会人まで続ける選手は、全体から見ればごく一部だが、韓国では、ほぼ全員がプロ野球を目指している。

李氏: 一番の問題はそこだと思います。韓国の高校の野球は、親の金で運営しているわけです。監督やその下にコーチが5,6人いますが、その給料も親が払っています。学校によっては、同窓会や学校が30~40%くらい負担しているけれども、それ以外は全部親が負担しています。親としては、息子をプロ野球選手にさせたいと思っているわけです。

 プロに入ることを前提にし、かつては授業を受けないのも当たり前だったが、最近は、近隣の地域による週末リーグ制を導入し、試合は週末だけ、平日は授業を受けるようなシステムにはなっている。それについても……

李氏: それは、政府の方針です。でも指導者たちも親たちも、歓迎していないです。野球選手は野球が一番、うちの息子を、必ずプロ野球選手にさせたいので、勉強は必要ないという親が多いです。

 韓国ではプロ野球は10球団。兵役があるため日本より多くの選手を保有し、ドラフトでも、毎年各球団11人、計110人が指名される。日本からみれば広き門だが、みんながプロを目指すとなると、かなり厳しい競争になる。

李氏: プロに入る選手は10%くらいです。残りは大学に行くか、野球を辞めさせる。高校の監督が親に、「この選手はレベルが低いですよ、野球を辞めた方がいいですよ」とアドバイスしたら、怒るんです。「いいや、才能はありますよ。もっと練習すれば良くなります」と言ったりするのですよ。

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