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第9回 球史に名を刻む名将・高嶋仁氏(智辯和歌山 名誉監督)、中村順司氏(PL学園元監督)が考える球数制限2019年12月06日

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 11月5日、日本高野連が設けた「投手の障害予防に関する有識者会議」は、来春の選抜大会から3年間を試行期間として「1週間で1人の投手が投球できる総数を500球以内」とするなどの答申案をまとめ、11月20日に高野連に提出。11月29日の理事会で諮られ、導入される見通しとなった。

 変革を求められる高校野球を名将たちはどう考えるのか。甲子園最多勝利記録となる68勝を挙げた智辯和歌山前監督で現名誉監督の高嶋仁氏、春夏計6度の甲子園優勝を誇るP学L園元監督の中村順司氏に今回は、「球数制限」をテーマに話をきいた。

名将たちの見解は?



左から中村順司氏(PL学園元監督) 高嶋仁氏(智辯和歌山 名誉監督)

―― まず、球数制限についてはどのようにお考えでしょうか。

高嶋 1週間で500球以内というのは、いいところちゃうかなと思います。球数、球数と言うけど、1試合での球数はあまり関係ないように思います。整形外科のお医者さんも、そう言います。

 小学生、中学生ら成長期の子は制限せんと無理させたら壊れるけど、ある程度、出来上がった高校生なら、そんなに負担にはならない、と。卒業生に聞いても、みんな、投げ出したら球数は関係ないと言うんです。なにがしんどいと聞いたら、「やっぱり連投、三連投はしんどい」と言う。だから、高野連も今夏の決勝戦の前に休養日も設けた。あれは正解やと思います。

―― 答申案でも、3連戦を回避する日程の設定も盛り込まれています。

中村 選手たちが故障で苦しまないようにするのは大前提です。でも、少し過保護な感じもしますよね。僕がPL学園で監督をやっていたのはもう20年以上前ですけど、当時は準々決勝、準決勝、決勝は3日連続だった。だから、投手たちには普段の練習でも、1日で何球、投げろじゃなくて、3日間続けて投げるように言って、大会の準備をさせていた。

 松井稼頭央は大阪大会の決勝で負けましたが1人で7試合投げた。でも、彼は潰れてしまったかというと、そうではない。プロに入ってからは野手になりましたが2000本安打を達成する選手になれた。前川勝彦も一人で投げさせて、甲子園にも行って、プロも故障が原因でやめたわけではない。たとえば右肩に負担がかからないように左手の使い方を意識させるとか、下半身を使って投げることの大切さを説いてしっかり走らせるとか、そういうことを言っていましたし、いい投げ方、体の使い方を教えるのも大事だと思います。

高嶋 うちは1人で投げさせるということはほとんどない。1人で完投してバシッと抑えるピッチャーがPLみたいにはいないので(笑)。だから、どうしても多く用意しておかないといけない。あかんかったら代える、でやってきたので。

 でも、球数制限をやり出したら、いろいろな問題が出てくると思いますよ。せこいことをする監督もいる。僕が監督なら相手のエースを3イニングで降ろさせますよ。選手に「ヒットいらん。おまえ、10球、粘れ。おまえも10球」って。そういうことになる可能性もありますよね。

中村 やっぱり私学が強くなってくるんじゃないですか。部員が少ない公立校はほかのポジションをやっている子が投げたり、大変にはなるでしょうね。

高嶋 ただ、子供たちも変わって、指導者も変わらなくてはいけない。時代に合わせていかないとしゃあないですし、簡単には動かない高野連が動き出した。タイブレークも個人的には好きではないですよ。ただルールとしてできた以上、それでやっていくしかない。別に悪いことをせえ、と言っているわけでもないんでね。指導者もそれに慣れていけばどうってことないと思いますし、いい方向に行ってほしいなと思いますね。

(記事=鷲崎 文彦


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球数制限問題
智辯和歌山 【高校別データ】
PL学園 【高校別データ】

プロフィール

鷲崎文彦
鷲崎 文彦
  • 生年月日:1975年
  • 出身地:東京都
  • ■ 小学3年から野球を始め、高校では硬式、大学では準硬式で野球を続ける。大学卒業翌年にはOBが務めるのが慣習だったこともあり、準硬式野球部の監督を経験。以後、フリーライターとして週刊誌、月刊誌、ムック本などでスポーツを中心とした取材、執筆活動を展開。
  • ■ 理系出身であることを生かして「図解雑学 野球の科学」(ナツメ社)の製作に携わるなど、あらゆる角度からスポーツにアプローチし続けている。昨年、小関順二氏、氏原英明氏とともに「検証 甲子園2009」(講談社)を刊行。「高校野球ドットコム」では安福一貴の「塁間マネジメント」の構成を担当。書籍からネットと幅広く活躍。
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