第52回 新星スラッガー・今井秀輔(星稜)が誕生!今井の覚醒はここから始まる2019年08月18日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

 星稜vs仙台育英の一戦は17対1と思わぬ大差となった。星稜の17得点のうち7打点をたたき出したのが今井 秀輔だ。

 185センチ82キロと恵まれた体格から先制の満塁本塁打含む3安打7打点。シングルヒットが出れば、サイクル安打だった。ちなみにこの夏、石川大会を通じて5安打を放っているがそれはすべて二塁打以上と長打を打っていることになる。

 林和成監督が「新チームではクリーンナップ候補」と期待する大型打者・今井 秀輔のサクセスストーリーを追った。

誰にも負けない長打力と指揮官絶賛のもう一つの武器



今井秀輔(星稜) 写真=共同通信社

 「お立ち台に上がって、インタビューで答える姿はイメージしていました」
と答え、報道陣を沸かせた今井。背番号18ではあるが、長打力は誰にも負けないと自信に持つ今井。金沢シニア時代から長打力には自信があった。その長打力を買われ、東海選抜に選出されるなど、中学では評判の選手だった。

 今井の憧れは同郷の大スター・松井 秀喜。松井の映像を見ながら、打撃技術を参考にしてきた。同時に星稜へあこがれの思いを持っていた。
「まだ石川県は甲子園優勝がないと知りまして、石川県の中で甲子園優勝が一番近いのは、星稜だと思い進学を決めました」

 入学当初から期待は高かった。しかしスタメン獲得はならなかった。その理由について林和成監督はこう語る。
「守備、走塁に課題があったこと。打撃も高校のスピードになかなかついていけていなかった。どうしても体格が大きい選手はそういう傾向があるので、それでも我慢強く使いました」

 また今井は長打力、確実性を両立させるために1メートルの長尺バットを振り続ける練習を自宅で繰り返し行ってきた。その成果を発揮し、石川大会では代打で二打席連続本塁打を放ち、甲子園でもベンチ入りを獲得する。指揮官はその長打力と同時に買っていたところがある。それはファールで粘る能力だ。
「この1年でファールを打って粘れるようになりました。石川大会決勝戦の東海林の満塁本塁打の前ですが、今井がファールで何度も粘って四球で出塁して、それが満塁本塁打につながったんですよね」

 長打力、出塁力。それを全て評価され、甲子園のベンチ入りにつながった。「本当にうれしかったですし、頑張ろうと思いました。いざ出番がきてもいいように準備は怠りませんでした」

 そして準々決勝。突然訪れたスタメンでも動じずに準備ができた。第1打席、左飛に倒れ、第2打席。インコースストレートを振りぬき、打球はレフトスタンドへ消える本塁打となった。

「まさかあんなに伸びるとは思わなかったです。自分はフルスイングと長打力が武器だと思っているので、打てて良かったです」と笑顔で本塁打の場面をそう振り返った。

 第3打席でも、「自分は体が大きいので、緩いボールが弱いと思ってカーブに狙い球を張っていきました」とその読み通り、カーブを狙い打ちして、レフト越えの適時二塁打を放ち、さらに左越えの適時三塁打と計7打点の活躍。

「今日は自分の読みが結構当たっていてよかったです。サイクル安打がかかっていることは8回の第6打席を迎える前に知ったのですが、力んでしまい、空振りをしてしまいました。第7打席はヒットを打つことよりもチームにつなぐことを意識して四球を選びました」
 とチームに徹する姿勢は忘れない。スイングスピード、飛距離はずば抜けており、歴代の星稜のスラッガーと比較してもトップクラスだ。

 林監督も「本当に大きい一発でした。時間がかかりましたが、ようやくここまで来ましたね」と未完の大砲の成長に目を細めた。
 今井は「今まで奥川さんに頼って負担をかけていたので、野手陣が頑張ろうと昨夜のミーティングで話し合ったので打てて良かったです」

 実際にこの試合は奥川の温存に成功して4強入り。非常に大きな試合となったが、今井の今後の成長にもつながる大きな試合となった。

 ひそかにイメージしていたお立ち台が実現した今井だったが「信じられないです」と目を丸くしていたが、今後は試合を決める豪打をさらに打ち、お立ち台に上がる機会はもっと訪れるだろう。

 そう期待を抱かせるほどのスケールの大きさ、伸びしろが今井には備わっている。

(記事=河嶋 宗一

組み合わせ日程はこちら
第101回全国高等学校野球選手権大会

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第246回 二塁送球は山瀬慎之介に匹敵!内山壮真(星稜)は野球センスの塊だ【ドラフト特集コラム】
第985回 第50回記念 神宮大会を沸かせる16名の逸材打者たち!【明治神宮大会】【大会展望・総括コラム】
明徳義塾vs星稜【2019年 第五十回記念 明治神宮野球大会】
第648回 「星稜第3期黄金時代」と悲願の日本一の実現へ。星稜の今後の展望【野球部訪問】
第985回 【明治神宮大会】今年の明治神宮大会は打高投低?それでもポテンシャル、評価は高い14人の投手たち【大会展望・総括コラム】
第4回 星稜高等学校(石川・北信越地区代表)「北信越4連覇と無類の強さを発揮!打線の力は昨年以上」【第50回記念 明治神宮野球大会 チーム紹介】
第1079回 赤坂諒(上野学園) 理想は勝てる投手。次なるステージで再び革命を起こす【後編】 【2019年インタビュー】
第1072回 激戦区・大阪府予選がターニングポイントに 甲子園決勝では緊張より楽しかった 岩崎峻典(履正社)【後編】 【2019年インタビュー】
第1071回 夏の甲子園初優勝へと導いた岩崎峻典投手(履正社)が急成長した理由とは【前編】 【2019年インタビュー】
第1066回 世代トップの巧打者・内山壮真(星稜)が語る秀才的な感覚 そしてラストイヤーへの決意【後編】 【2019年インタビュー】
星稜vs佐久長聖【2019年秋の大会 第141回北信越地区高等学校野球大会】
第1065回 星稜中の経験が自分の基礎を形作った 内山壮真(星稜)【前編】 【2019年インタビュー】
星稜vs敦賀【2019年秋の大会 第141回北信越地区高等学校野球大会】
智辯和歌山vs星稜【2019年 第74回国民体育大会 いきいき茨城ゆめ国体】
履正社vs星稜【第101回全国高等学校野球選手権大会】
今井 秀輔(星稜) 【選手名鑑】
奥川 恭伸(星稜) 【選手名鑑】
星稜 【高校別データ】

プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム