中京学院大中京は7回から本領発揮!優勝候補も呑み込むツワモノたち
優勝候補・東海大相模を破り、44年ぶりのベスト8進出を決めた中京学院大中京。この2試合、いずれも7回で逆転と、後半に強いチームと印象付けている。しかも岐阜大会から3試合連続逆転勝利が続いているのだ。その強さを身に着けるまでの背景、注目選手を紹介したい。
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後半に強いチームへ転換
不後祐将(中京学院大中京) 写真=共同通信社
2018年10月27日、東海大会準決勝。9回表まで5点リードしていた中京学院大中京は9回裏に同点に追いつかれ、10回表に勝ち越すも、その裏、逆転サヨナラ負けをして、センバツを逃した。中京学院大中京にとってはこの悔しさを忘れず、冬の練習に取り組んできた。
主将で正捕手の藤田健斗はチームのプラスになればと思い、いろいろなものを吸収した。その中で大きなきっかけになったのは藤田の高校日本代表候補の研修合宿だ。トップレベルの選手たちの交流は大きな刺激となった。トップレベルの選手たちの姿勢、野球に対する取り組みを伝えてきた。選手たちはレベルアップを遂げ、さらに後半に強いチームになるために、余裕を持てるメンタリティを貫いた。
「多少、リードされても絶対にいけるぞ、逆転できる心境になりました」と藤田は語る。終盤に強い中京学院大中京と印象付けたのは岐阜大会決勝戦の大垣日大戦。7回裏まで4対6で負けていたが、この回に一挙4点を入れて逆転に成功して3年ぶりの甲子園出場を決めた。7回の逆転劇は甲子園になっても続いた。まず初戦の北照戦では北照の好投手・桃枝 丈の前に苦しんでいたが、7回裏に4点を入れて逆転に成功し初戦突破。東海大相模戦でリードを許す展開になっても選手たちは慌てる様子はなかった。
「自分たちがやることをやれば、逆転できると思っていました」と藤田の言葉通り、打線爆発。なんと打者11人の攻めで、7点を入れて大逆転に成功した。いつしか中京学院大中京は7回に強いチームになっていたのだ。
それは精神面の成長が大きい。一塁と外野を兼任する元謙太は
「自分たちのやることを集中するだけでした。東海大相模さんは足がすごいチームですが、足があるからこれもやらないといけないと思ってしまうと逆に焦ってしまうので、走られてもあまりに動じずに1つのアウトを取ることを決めました」
相手に惑わされず、これまでの積み重ねを試合に出すことを集中した結果、東海大相模相手にもぶれずに戦うことができた。
投打に逸材揃い
中京学院大中京の選手たち
逆境に強いチームとなった中京学院大中京。個々の能力は非常に高い。東海大相模相手に好投を見せたエース・不後祐将は自他ともに認める強気なピッチングが持ち味。武器は回転数の高いストレートで強気に内角に投げ込んでいき、外に逃げるチェンジアップを織り交ぜ、7.1回を投げ、7奪三振、3失点の力投。
2年生右腕の元は186センチの長身から投げ込む本格派右腕で常時130キロ後半の速球を投げ込む右腕。さらに初戦で猛打賞を記録した強打も魅力だ。
また元は不後とは寮が同部屋で、不後の背中を追いながら、エース学を学んできた。
そして193センチの剛腕・赤塚健利はほぼ直球1本で勝負する剛腕。その威力抜群の速球は強打者揃いの東海大相模相手にも圧倒。赤塚は「打たれたヒットも詰まらせたヒットなので、良かったです」と笑顔で振り返っていた。さらに右サイド・村田翔も東海大相模戦で落ち着いたリリーフを見せ、橋本哲也監督も「村田のリリーフは非常に大きかった」と評価する。
野手ではU-18代表候補の強肩巧打の捕手・藤田健斗。球際の強さと強肩を兼ね備えたショートストップ・井上槙士、東海大相模戦で勝ち越し適時打を放った小田康一郎は強烈なヘッドスピードで打球を打ち返すスーパー1年生で、その勝負強さ、堂々とした立ち居振る舞いは上級生も一目を置く。
9番打者ながら4打数3安打3打点を記録した二村洸生は打撃のメカニズムがとても9番打者とは思えず、下半身主導で鋭いヘッドスピードで広角に鋭い打球を飛ばす。
東海地区では選手たちのポテンシャルの高さは評判が高かったが、全国でもその実力を遺憾なく発揮し、甲子園に集まった高校野球ファンを驚かせている。
次は作新学院戦。橋本監督は「大逆転した選手たちはたたえたいと思います。しかし今日はサインミス、ボーンヘッドが多くありました。勝って兜の緒を締めよといいますが、大変なゲームになりますので、しっかりと修正していきたいと思います」
先制攻撃を仕掛け、機動力がたけた作新学院は非常に手ごわい相手だと警戒しているからこそ、橋本監督は厳しく振り返る。
果たして中京学院大中京は準々決勝でも大暴れを見せるのか。
(記事=河嶋 宗一)
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