甲子園で光った逸材投手たち 来年は野手だけではなく、投手もスター揃いだ!
今の2年生である2020年世代は野手が注目されている。近江のショート・土田龍空、明石商のスラッガー・来田涼斗、東海大相模の鵜沼魁斗、山村崇嘉、西川僚祐のスラッガートリオが注目されていた。ただこの甲子園で投手のレベルも高いことが分かった。全国放送され、多い時では4万人以上も詰めかける甲子園の舞台は、全国に潜む逸材を見出す素晴らしい大会だと思う。今回、甲子園でキラリと光った投手たちを紹介したい。
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第101回全国高等学校野球選手権大会
ナンバーワン右腕はどちらだ!中森俊介と小林樹斗のハイレベルな争い
中森俊介(明石商) 写真=共同通信社
明石商の中森俊介が注目されるが、ストレートという点に関しては小林樹斗(智辯和歌山)がナンバーワンだ。米子東戦の9回表にマウンドに登った小林は最速148キロを計測。ボリューム感たっぷりのストレートは今年のドラフト候補に挙がる高校生投手と比較してもひけをとらないものがあり、150キロを計測した池田陽佑が球威型ならば、小林は伸びで勝負する投手。
まだ1年秋は常時130キロ台だったのが、この1年で常時140キロ中盤まで計測するのだから成長速度は恐ろしいものがある。1年間はドラフト候補として注目すべき投手だろう。
中森は花咲徳栄戦では最速147キロをマークするも、その後は130キロ後半~140キロ前半にとどまり、ピンチの場面でも145キロ前後の速球は見られなかった。花咲徳栄の打者も「初回の韮澤に投げたストレートは本当に速かったけど、その後は打てると思った」と語るように、花咲徳栄打線も対応し、本塁打を打たれる苦しい投球内容だったが、それでも最少失点で切り抜けたマウンドさばきは見事だった。
笠島尚樹(敦賀気比)は最速144キロを計測するストレートは伸びがあり、切れのあるスライダーを投げ分ける完成度の高い投球は高レベルだった。さらに笠島と同じ2年生・松村力も180センチの長身から最速142キロのストレートは角度があり、120キロ後半のスライダーも素晴らしい切れがあった。
初戦敗退を喫したが、飯山の常田 唯斗も素晴らしい素材だった。181センチから真上から振り下ろす140キロ前半の速球は伸びがあり、縦スライダーの精度を悪くない。今の球質のまま140キロ後半まで速くなり、三振を取れる絶対的な決め球を習得すれば、さらに評価される投手になりそうだ。
初戦敗退の花咲徳栄の左腕・高森 陽生はしなやかな腕の振りから繰り出す130キロ後半の速球は切れがあった。打たれてしまったが、素材は近年の花咲徳栄の左腕では一番のものがあり、しっかりと体づくりしていけば、高橋昂也(広島東洋)とはタイプが違う速球派左腕へ育つことを期待したい。
履正社・岩崎、中京学院大中京・元など魅力的な逸材が甲子園デビュー
荻原吟哉(星稜)
さらに、宇和島東の141キロ右腕・和田真虎、130キロ後半の速球を投げ込む舩田 清志と1人1人の能力は高い。中京学院大中京の元謙太も、130キロ後半の速球に加え、強打も魅力。
星稜の荻原吟哉は下半身主導のフォームから繰り出す140キロ前後の速球とスプリットを丁寧に投げ分ける右腕。1年後には常時140キロ中盤を投げ込む右腕へ成長していそうだ。また、昨夏の甲子園で143キロをマークした寺西成騎は思うような投球ができず、悔しいピッチング。素質的には奥川恭伸以上のものを持っているのだが、この1年で化けられるか注目したい。
日本文理の長谷川優也は投打ともにセンス抜群。投げては最速141キロの速球と切れのある変化球を投げ分け、打者としてもパンチ力ある打撃と軽快な三塁守備が光る。
霞ヶ浦の左腕・18900も速球への対応力も高い打撃に加え、投手としてもコンパクトなテークバックから常時135キロ前後の速球、スライダーを低めに集める。霞ヶ浦の投手育成力の高さを考えると、来年には140キロ台に達していてもおかしくない。
履正社の2年生右腕・岩崎 峻典は常時140キロ前半の速球、切れのあるスライダーを投げ込む右腕で、ボールの威力自体はエース・清水大成と変わらないものがあり、来年は大阪府を代表する右腕として注目を浴びそうだ。
2年生の逸材も多い今大会。ぜひ全国デビューを果たした2年生投手はこの経験を糧にして、さらにパワーアップすることを期待したい。
(記事=河嶋 宗一)
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