「球数制限導入」目前!星稜・奥川、智弁和歌山・池田らエース起用はどうする?各校の取り組みと日程問題
球数制限問題から見えてくる采配と過密日程
8月13日(火)・第101回全国高等学校野球選手権大会8日目・2回戦4試合。今大会2回目の「満員通知」が出され、阪神甲子園球場を人・人・人、そして熱気が取り囲む中、聖地2試合目を迎えた8校のうち、3校が1回戦とは別の先発投手を立てました。
その3校とは第2試合で立命館宇治(京都)に6対3で競り勝った星稜(石川)と、第3試合で激突した智辯和歌山(和歌山)と明徳義塾(高知)。星稜は侍ジャパンU-18代表候補・1回戦では94球3安打完封した奥川 恭伸(3年)ではなく、2年生右腕・荻原 吟哉 が先発し5回77球を投げ無失点。そして奥川投手は6回途中から3番手登板し2回3分の1・39球を投げ自己最速の154キロをマークする好調ぶりを示しました。
また、智辯和歌山は今大会初登板・初先発の2年生左腕・矢田 真那斗が5回を投げ81球で1失点。一方、1回戦で先発8回・98球1失点の池田 陽佑(3年)は残る4回で53球を投げこれも自己最速の150キロをマークし無失点で勝利に貢献。ダブル右腕エースと言える最速148キロの小林 樹斗(2年)を1回戦の1回9球のみで温存することにも成功したのです。
対して明徳義塾は1回戦は最終回にリリーフ登板し20球を投げた2年生左腕・新地 智也が先発し6回3分の2で121球を投じた一方、1回戦先発の左腕・林田 大成(3年)は登板なしのまま敗戦。ちなみに今大会初戦で登板した投手が2回戦で登板しなかった事例は、3年生左腕の横山 海夏凪が1回戦先発も、2回戦では右腕・後藤 丈海(3年)を先発。右サイド・山田 怜卓(3年)の2試合連続リリーフにつなぎ勝利をつかんだ八戸学院光星(青森)に続く2校目となります。
このように日本高等学校野球連盟が現在「投手の障害予防に関する有識者会議」で答申を精査しており、来年からの全国大会導入が有力視されている「3回戦以降1週間で300~400球の球数制限」を前に、第101回全国高等学校野球選手権大会では早くも取り組みの胎動が各チームから見えています。
ただ、その反面で「そうせざるを得ない」日程上の問題があることも指摘せねばなりません。実はこの第8日の登場校は、たとえ2回戦を勝ったとしても3回戦にかけては日程通り進めば中2日で3回戦を迎え、3回戦を勝ち準々決勝に進んでも第3・第4試合に入るとはいえ2日連続の試合に。ここがベンチにとって大きな悩みの種となっているのは間違いないところでしょう。
まずは2回戦を1回戦同様に最も信頼できる先発投手で戦い、3回戦で投手起用に変化を加えるのか。それとも2回戦で1回戦とは別の投手起用を用い、バリエーションをもって3回戦を迎えるのか。ここは指揮官やチームの方針が如実に表れる部分となるはずです。
そして第9日に登場する6校はさらなる厳しい日程が待っています。日程通り進めば勝てば中1日で3回戦を、3回戦後は2日連続で準々決勝へ突入すことが決まっている中、ここまで徳島大会を含む計6試合を左腕・西野 知輝(3年)1人が計857球を投げて賄ってきた鳴門(徳島)含め、各校の指揮官がどのような投手起用を振るってくのか。様々な観点から引き続き見ていきたいと思います。