193センチの剛腕・赤塚 健利(中京学院大中京)の大化けのきっかけは「トルネード投法」
193センチ105キロと今大会一のスケール感を持つ赤塚 健利(中京学院大中京)が北照戦で全国デビューを果たした。真上から振り下ろすフォームから繰り出すストレートは常時140キロ台・最速148キロを計測し、さらに角度もある。
そして、武器である直球一本でほぼ勝負する。今の高校野球界はプロ野球の影響を受け、カットボール、スラッター、ツーシーム、チェンジアップなどを投げる投手が多くなっているが、赤塚はどこを吹く風。変化球は、緩いスライダーのみで後はほぼストレートで押し通す。そんな赤塚にロマンを感じる方もいるのではないだろうか。
148キロのきっかけはフォーム改造
試合後の取材では、赤塚に取材が集中した。中学1年生時には180センチ台だったこと、背が大きすぎて服のサイズがなかったこと、背の大きさと身体能力の高さにサッカー部、バスケ部から勧誘を受けたことなど長身エピソードは赤塚の場合、事欠かさない。
今回はこれほどスケール感のある赤塚がいかにわくわくする投手に育ったか。入学当初から192センチ台だった赤塚。球速は120キロ台。そこから少しずつトレーニングを行い、球速は130キロ後半まで速くなったが、制球力もまとまらなかった。そこで取り組んだのは、フォーム改造だ。2年秋、コーチからトルネード気味に投げることを勧められ、半年間行った。すると横振りだった投球フォームが縦振りになった。
縦振りで投げるためには、軸足にしっかりと体重を乗せてから、投げることが大事になるが、以前の赤塚はそれができなかったこと。その使い方を覚えるためにトルネード投法に取り組んだのだ。
赤塚のポテンシャルを開花させた「縦振り」の考え方は中京学院大中京の中では共通している。エース・不後祐将も体重移動がうまく、縦振りで投げられる投手だが、これも中京学院大中京の指導があってこそだ。
ただ赤塚だけ徹底させているのは変化球はあまり投げさせず、ストレート一本のみで磨かせていること。北照戦で投じた37球のうち変化球2球だけだった。変化球を習得しようと思ったが、うまく投げられず、指導者からもストレートをしっかりと磨けと諭された。それが148キロにつながった。
中京学院大中京のスタッフは、赤塚が本格化するのは、高校を卒業してからと見ている。センスが優れたエースの不後とは違い、体重103キロの赤塚が1つの動きを習得するのに時間がかかる。動きを調整する能力、表現する能力などを卒業後に身につけてほしい考えのようだ。
次は東海大相模戦。赤塚は言う。
「まっすぐ1本しかないので、それがどれだけ通用するか試したいです」
今の時代、ストレートだけで勝負する投手も珍しい。ピークは高校ではない。大成するまで時間をかけてみていきたい。そう思わせるだけのロマンが赤塚にはある。
(記事・河嶋 宗一)