第34回 才能だけではない。スラッガー・来田 涼斗(明石商)の活躍を支える徹底とした事前分析2019年08月11日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

 明石商vs花咲徳栄の一戦は4万5000人の大観衆が見守る中で行われた。激戦を制したのは明石商。4対3で勝利し、夏の甲子園初勝利となった。多くの選手の活躍がみられたが、今回は明石商来田 涼斗の精神面の成長を追っていきたい。

事前分析が来田 涼斗の快音を生む



来田 涼斗(明石商) ※写真=共同通信社

 ヒットだけではなく、アウトの内容もよい。良い打者というのはこういうことなのかと来田 涼斗を見て思う。花咲徳栄の先発マウンドに登ったのは左サイド・中津原 隼太。左打者にとっては苦手にしやすいタイプだが、来田は全く関係なかった。第1打席からヒット性の三ゴロ。花咲徳栄の内野守備力だからこそアウトで、普通のチームならばヒットになっていてもおかしくなかった。来田も「第1打席から良い感じで打てました」

 第2打席は凡退したが、第3打席は痛烈な右前安打。そして第4打席は左中間を破る痛烈な二塁打を放ち、4打数2安打2得点の活躍を見せた。センバツでは2本塁打を放った来田だが、本塁打ではなく、一番打者として安打を積み重ねる意識だ。特に凄かったのは、第4打席の二塁打。対戦したのは左オーバーの高森 陽生だった。事前分析では、高森の映像はあまりなかったが、狭間監督の情報網で、高森が投げてくると読んでいた。
「多分、自分に対してはスライダーをどんどん投げてくると思ったので、その読み通りにきました」
 スライダーをはじき返し、左中間を破る長打となった。それにしても来田は全く左投手を苦にしない。本人も「特に苦手意識はないです」と平然と言ってのけるが、それは事前分析が大きく関係している。

 技術面で意識したことは逆方向を打つことを心掛けたこと。そうすることで、左投手の変化球にも無理して引っ張らずに返せるようになったが、イメージ通りに打てるには、しっかりとした分析がなければ打てないだろう。この分析こそが明石商の強さの根幹となっている。

 花咲徳栄との対戦が決まってから埼玉大会4試合の映像を取り寄せ、6日間は練習と映像を見ての分析を行った。映像を見ての分析は4時間行い、試合が近づくにつれて、2時間、1時間と減っていく。この6日間は練習よりも分析にかける時間が多い。そして練習では左投手が投げることを想定しての打撃練習を行った。

 この分析作業は今では慣れたと語る来田だが、最初は練習よりもきついと感じたようだ。しかしその積み重ねで分析して臨むのが当たり前となり、個人で映像を見て自分が感じたことをミーティングで共有する。狭間監督は、本番だけではなく、「試合前の準備」「試合後の反省」と、それぞれの時間も、大事にしている。それを狭間監督は、「一度に、3回試合をする」と表現している。指揮官の考えが浸透しているからこそ、選手自ら分析するのが当たり前となっている。

「左投手については特に苦手意識はない」と来田が言えるのはそれだけの状況を想定しての練習を行い、実践ができる自信があるからだ。 次は宇和島東宇部鴻城の勝者と対戦する。そして対戦が決まった後、ベストパフォーマンスするべく、来田は最大限の準備と分析を行っていく。

(記事・河嶋 宗一

関連記事はこちらから
柳田悠岐2世を襲名し、2020年の高卒ドライチを狙う!来田涼斗(明石商)

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第950回 【準決勝展望】明石商vs履正社 中京学院大中京vs星稜の2試合は終盤まで見逃せない!【大会展望・総括コラム】
第54回 「魔の6回」前線移動中?【101回大会特集】
第52回 関東一伝統の「1番センター」を受け継ぐ大久保翔太。大ファインプレーは師匠の教えがあった【101回大会特集】
明石商vs八戸学院光星【第101回全国高等学校野球選手権大会】
第52回 新星スラッガー・今井秀輔(星稜)が誕生!今井の覚醒はここから始まる【101回大会特集】
第45回 記録にも記憶にも残る奥川恭伸のピッチング。奥川は伝説の投手になった【101回大会特集】
明石商vs宇部鴻城【第101回全国高等学校野球選手権大会】
第1023回 甲子園練習に参加した女子マネージャー首藤桃奈さん 当時の心境と将来の夢 【2019年インタビュー】
第1024回 プロ注目の遊撃手・韮澤雄也(花咲徳栄)が語る春から打撃、守備の意識の変化 【2019年インタビュー】
明石商vs花咲徳栄【第101回全国高等学校野球選手権大会】
第1024回 奥川恭伸(星稜)高校最後の甲子園へ想いを語る 「今までやってきたことを全て出し切る」 【2019年インタビュー】
明石商vs神戸国際大附【兵庫県 2019年夏の大会 第101回選手権兵庫大会】
明石商vs高砂【兵庫県 2019年夏の大会 第101回選手権兵庫大会】
第1006回 人間的な成長を求めて兵庫を飛び出した強打の核弾頭・森口修矢(神村学園)【前編】 【2019年インタビュー】
第949回 「3年間で5回甲子園に出場したい」 目指すは高卒ドラ1でプロ入り! 中森俊介(明石商)【後編】 【2019年インタビュー】
明石商 【高校別データ】

プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム