甲子園は奥川、鈴木、前ら目玉投手だけではなく、様々な長所を持った好投手たちに注目!
第101回全国高等学校野球選手権は8月6日から開幕する。厳しい地方大会を勝ち抜いて勝ち上がった49校にはどんな好投手たちがいるのか。
大会を熱くする7人の目玉投手たち
注目右腕・奥川恭伸(星稜) ※写真=共同通信社
2019年の甲子園を熱くする目玉投手は、奥川恭伸(星稜)、前 佑囲斗(津田学園)、鈴木寛人(霞ヶ浦)、飯塚 脩人(習志野)、清水大成(履正社)、西舘勇陽(花巻東)、池田陽佑(智辯和歌山)の7人だろう。
この7人をドラフト候補としてしっかり注目していただきたい。その中で奥川、前、鈴木の3人は突出している。
奥川はこの夏、最速158キロを計測するなど春から大きくパワーアップ。決勝戦の小松大谷戦では、9回裏に最速153キロを計測するなど底力を発揮。石川大会では24回を投げて40奪三振、5失点と圧巻の投球内容。
前 佑囲斗(津田学園)は、まるで大人の投手が投げているようなストレートの伸びがあり、スライダー、カーブ、チェンジアップを使い分け、強弱をつけた投球術は大会屈指のものがある。
鈴木は霞ヶ浦の投手メソッドにより才能を開花させた大型右腕。縦回転で投げられる投球フォームから繰り出す140キロ後半の速球は絶品で、フォークの落差も鋭い。茨城大会では28回を投げ29奪三振、3失点の好投を見せたが、藤代、石岡一、水城、常磐大高など強豪校を抑えての数字である。自分の実力を信じて、甲子園では自分のピッチングを発揮することを期待したい。
飯塚はこの夏、最速150キロを計測。23イニングで、8失点とやや多い失点だが、その中身を見ると、140キロ中盤の速球、スライダーをうまく投げ分け粘り強く抑え、2試合連続完投勝利を挙げるなど、春よりも進化している姿がみられる。センバツで快投を見せ、一気に評価を挙げた剛腕はこの選手権でも快投を見せられるか。
清水はこの夏、140キロ中盤を計測するまでに回復。32.2回を投げ、42奪三振の快投を見せた。スライダー、カットボール、カーブの精度も高く、今大会屈指の左腕として注目したい。
西舘は最速150キロに迫るストレートは威力抜群。普段は140キロ前半だが、ここぞという場面で一気に左足に全体重を乗せて、躍動感のあるフォームから投げ込む140キロ後半の速球に注目。また130キロ近いフォークの精度も高く、岩手大会では23.1回を投げて25奪三振の好投を見せた。
智辯和歌山のエース・池田陽佑も最速149キロの速球を武器に、13回を投げ、15奪三振、1失点。春の近畿大会の時点で146キロを連発していたので、甲子園では140キロ後半の速球、切れの良い変化球を丁寧に投げ分け、実績を作れば、183センチ84キロと体格も恵まれているので、一気にスカウトの評価を挙げる可能性を持っているだろう。
[page_break:林、西舘と甲子園に集結した好投手たち]林、西舘と甲子園に集結した好投手たち
この世代屈指の技巧派左腕・林優樹(近江)
また、プロ注目以外でも好投手が多いのが特徴。旭川大高は能登嵩都、スリークォーターから140キロ台の直球を投げ込む桃枝丈、140キロを超える速球を投げ込む鈴木千寿(仙台育英)、前橋育英のエース・梶塚 彪雅も、130キロ中盤の速球を内外角へ投げ分け、群馬大会では無四球。1.05秒台を計測し、なおかつ制球を乱さない高速クイック、素早い牽制、軽快なフィールディングと投手としての技術が高く、まさにお手本のような右腕だ。
3年ぶり甲子園出場の関東一は制球力の高さが光る140キロ右腕・土屋大和、147キロ右腕・谷幸之助は「力8分」の意識で、制球力重視の投球。それでも回転数の高い130キロ後半のストレートを武器にしぶとい都立小山台打線を完封。都立小山台の大応援団にも全く応じず、投げ切ったメンタル面にも注目だ。
東海地区では中京学院大中京の投手力の高さに注目。完成度の高さを誇る技巧派左腕・不後 祐将、193センチ101キロの恵まれた体格から145キロ前後の速球を投げ込む大型右腕・赤塚健利とタイプが異なる投手がいるのは大きな強み。
今年の高校生を代表する技巧派左腕・林優樹(近江)は26イニングを投げて、無失点、30奪三振。速球、スライダー、チェンジアップの使い分けが絶妙で、ピンチでも慌てない。正捕手・有馬諒とのコンビネーションが絶妙だ。
甲子園でベンチ入りした宮口大輝(明石商)の奮起にも期待したい。昨秋は中森俊介の二枚看板として活躍。しかし選抜から思うような投球ができずに苦しんだ。センバツ期間中、狭間監督も「練習では切れの良い速球をガンガン投げて、変化球も切れてすごい投球を見せるんです。だけど実戦ではその投球ができない」とメンタル面が課題となっていた。兵庫大会ではベンチを外れたが、果たして、大会で躍動することができるか。
四国地区では鳴門のエース・西野 知輝は徳島大会で全試合を投げ切った。昨年の甲子園では花咲徳栄相手に好投を見せた技巧派左腕は粘り強い投球を見せ、甲子園で勝利を目指す。
九州地区では145キロ右腕の西舘昂汰(筑陽学園)に注目。この夏はカットボールを習得し、主力投手として43.1回を投げ50奪三振、8失点の好投。選抜よりも成長した姿を見せることはできるか。
関連記事はこちらから
◆【BIG5特集】奥川恭伸(星稜)高校生レベルを超越したテクニシャンピッチャー
◆頭脳+148キロを加えた高次元のピッチングで甲子園に導く! 鈴木寛人(霞ヶ浦)【後編】
◆叩き上げの習志野っ子・飯塚脩人(習志野)!習志野のエースに相応しい実力を身に付ける!
◆快速球が復活した145キロ左腕・清水大成(履正社) 大阪大会45Kの実力を甲子園でも
◆この夏、完全覚醒へ。自己分析できる大器・西舘勇陽(花巻東)
◆驚異的な球速アップの要因は「右手の小指」。たどり着いた剛速球右腕への道 池田陽佑(智辯和歌山)【後編】
文=河嶋 宗一