Column

浦和麗明(埼玉)「全力と挑戦!物事の明確化で夏初勝利を狙う!」

2019.07.02

一からのスタートを切った浦和麗明野球部


ダッシュをする浦和麗明の選手たち

■学校全体、チームが一丸となって夏の勝利を目指す

 東浦和駅から徒歩5分。JR武蔵野線沿いに位置する浦和麗明グラウンド。校舎は埼玉県さいたま市浦和区にあるため、選手は電車や自転車を使い行き来する。昨年まで女子校だったためにチアダンス&バトン部は全国で金賞を受賞する活躍を見せている。それが共学化に伴い、硬式野球部やサッカー部が創部に至った経緯がある。

 初めての夏を迎える野球部を応援しようと、今まで少人数だった吹奏楽部が40人超が加わるなど、野球部をきっかけに学校全体が賑わいをみせる。

 そんな浦和麗明の監督には、國學院大學野球部出身で東京成徳大深谷叡明にてコーチや部長を歴任した佐藤隼人氏が就任し、春季県大会に出場を果たすことができた。

 1年足らずで県大会へ導いた佐藤監督の脇を固めるのが、矢菅部長と中村俊太コーチ。矢菅部長は、過去に東東京の強豪・成立学園で監督を務めたことがあり人間育成に長けた指導者である。頭で野球を理解させるために選手たちに読書を勧め、知識の引き出しをを増やしている。一方、中村コーチは帝京高校の出身で日本体育大学で野球を学んできた。山崎康明松本剛など、後にプロへ進む選手と共にプレーした経験を発展途上のチームに説いている。

 スタッフも一丸となって、一からチームを作り上げ埼玉の頂点を狙っていく浦和麗明が迎える初めての夏に向けた意気込みなどに迫っていきたい。

■グラウンドのありがたみを感じ日々練習

 現在は2年生40名、そして1年生22名、そしてマネージャー3名の計65名。創部2年目とは思えないほど多くの部員数が在籍している。「この地域は沼地で水はけも悪く雑草も生えたままだったので、以前は空き地同様のグラウンド状態で練習をするには大変でした」と佐藤監督は語る。

 昨年8月には、練習会を開催するために前日から降り続いた雨でグラウンドに溜まった水を、佐藤監督と矢菅隆部長の2人が夜中まで水抜きを行ったこともあった。

 しかし今年6月1日には、待望の人工芝グラウンドが完成。より練習に打ち込める環境が整い、選手たちはグラウンドへの感謝の気持ちで今日も練習に励んでいる。

■簡単に流れが変わる怖さを知った秋

 主将の今井元気選手にチームが結成した当時のことを聞くと、「最初はグラウンドも無く、草むしりから始まったチームです。その時期を考えたら、全力プレーをして少しでも支えてくれている周りの方に恩返ししていかなければならないです」と語り、チームのウリである全力プレーの大事さを熱く語ってくれた。

 そんな今井主将に1期生ならではの苦悩を尋ねると、
 「今までの野球人生は、先輩方が必ず居てくれて良くも悪くも敷かれたレールを歩いている感覚でした。主将を努めている中で、主将として何が正解でどう指示していいのか。不安の毎日でした」と当時のことを語る。

 苦悩の日々を過ごし迎えた昨秋、浦和麗明にとって初めての公式戦は大宮北に4対5で惜敗。公式戦初勝利とはならず、オフシーズンに突入した。この試合を、「ピンチ場面でレフト前にタイムリーを許してしまい、そこから流れが変わり逆転負けを喫してしまいました。簡単に流れが変わる怖さを覚えました」と振り返る。

 公式戦初勝利をつかむために、1月までは実戦練習に重きを置いて練習を行い、ありとあらゆるケースを想定ながら練習に取り組んだ。そしてグラウンド工事の影響で2月から5月まで使えない間は、塁間を手押し車で進むなどのトレーニングを積んできた。

[page_break:挑戦者として夏の1勝を掴むことを目指す!]

挑戦者として夏の1勝を掴むことを目指す!


麻生凛投手

■“挑戦と全力”の気持ちを忘れず

 こうして迎えた春季県大会南部地区予選。初戦の浦和商に16対6で公式戦初勝利をもぎ取ると、続く代表決定戦ではと対戦。試合は終盤までもつれる緊迫した展開だったが、手堅い攻撃のスタイルを貫き、3対2で勝ち切り初の県大会出場を決めた。

 念願の県大会で勝利をつかみたかった浦和麗明だったが、初戦所沢商に0対7で敗れた、県大会初勝利とはならなかった。そして現在の課題を今井主将に挙げてもらうと、
 「強豪校と練習試合を組ませてもらうと、体格の大きさにびっくりしました。また打球の質や伸びが自分たちとは比べ物にならないと思ったので、体を大きくすることを意識しています」と土台作りを課題として挙げてくれた。

 「チームの目標である“夏の大会での1勝”を掴むために、“挑戦と全力”の気持ちを忘れず、挑戦者として1つでも多く勝って次の秋につなげたいです」と意気込みを語った今井主将。佐藤監督は今井主将について、「佐藤中心のチームですので、『佐藤が崩れたら終わり』だと思っています」と絶大の信頼を置く。監督も信頼を寄せる佐藤主将を中心とした浦和麗明の活躍に注目だ。

■夏のキーマン紹介!

 夏の1勝を目指して浦和麗明は練習を続けるが、これからキーマンとなるのが麻生凛澤野想太の左右のWエース。そしてこの2人の成長に欠かせないのが、浦和麗明野球部にて、ピッチングコーチ兼トレーナーを務める丸山隆氏である。

 丸山氏は過去に、社会人野球の強豪・JX-ENEOSや中部学院大、さらには県岐阜商など各世代で指導を行ってきた経歴がある。そんな丸山氏の指導の下、秋に腰を怪我してしまった麻生は冬は股関節や肩回りを基礎的なトレーニングで徹底的に鍛えた。それにより歩幅が広がり球に力が乗るようになった。

 さらに丸山コーチから「床田寛樹(現 広島カープ)や三上朋也(現 DeNAベイスターズ)などは、下半身主導でプレートを上手く使えている」という指導を受け、フォームの改善したことで球持ちや球筋が格段に上がったと効果を実感している。その成果が、県大会を懸けた代表決定戦でのとの一戦で、94球の完投勝利につながった。

 そして、右のエースとして期待が懸かる澤野想太。冬場には、下半身強化のため走り込みを行ってきた。173㎝73㎏と上背は無いが、体つきは目を見張るものがあり、最速は136㎞を記録。「澤野の存在はチームにとって非常に大きいです」と佐藤監督も推す今後に期待が懸かる投手。左の麻生とともに夏のピッチングに注目したい。

[page_break:チームのキーマンが現在の課題と抱負/熱い眼差しを目に焼き付けろ]

チームのキーマンが現在の課題と抱負


左:吉澤晴也 右:飯塚 晴哉

ここからは副主将でセカンドを守る飯塚 晴哉選手とキャッチャーの吉澤 晴也選手2人に話を伺いました。

Q.夏へ向けて見つかった課題を教えてください

飯塚: 相手の勢いを止める力や細かい所の正確性が課題です。
吉澤:捕手として観察力や野球脳をもっと磨くのが課題です。

Q.ここまで振り返って、高校野球で一番の思い出を教えてください

飯塚:県大会出場を決めた戦です。勝利が決まった瞬間は今までで一番うれしかったです。
吉澤:春の地区予選の浦和商で初本塁打を放ったことです。チームとしても、公式戦初勝利だったので貢献出来て良かったです。

Q.応援する方々へ自分のここを見てほしい、というアピールポイントを教えてください!

飯塚:最後までボールを全力で追いかける姿とみんなを盛り上げる声です!
吉澤:流れを変えるフルスイングを見てほしいです!

Q.このチームの好きなところは、または他のチームに負けていないところはどんなところですか?

飯塚:仲の良さ、雰囲気の良さです。
吉澤:元気がある所です!

Q.この夏に向けた熱い意気込みをお願いします!

飯塚:目の前の試合に全員が全力を注ぎ、持ち前の明るさで初めての夏を全力で頑張りたいです。
吉澤:挑戦という気持ちを忘れずに頑張りたいです!

飯塚選手、吉澤選手ありがとうございました!

熱い眼差しを目に焼き付けろ

ここから浦和麗明の佐藤隼人監督に話を伺います。

Q. 今年のチームは結成時から夏に向けてどんなチームを目指しましたか

 「全力と挑戦」というテーマを持ちながら、大きなテーマとして「家族」を掲げてチーム作りに、取り組み始めました。全員が「家族」という意識があれば仲間を傷付けるようなことはないと思っています。

 捕手出身からすると、やはりバッテリーが中心のチームにならないと勝てないと感じています。ですので、麻生と澤野の2枚看板を、捕手の吉澤が引っ張ってもらい夏は戦いたいです。

Q. 最後の夏に燃える3年生や部員たち皆様へのメッセージをお願いします

 ウチは3年生が居なく、1・2年生の非常に若いチームになります。初めての夏、球場の声援や対戦相手に居る3年生の「熱い眼差し」を目に焼き付けてほしいです。そして、来年の自分を想像しながら全力でプレーしよう!!

 佐藤監督、そして浦和麗明野球部の皆さん、ありがとうございました!

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今年も大好評!
【僕らの熱い夏 特設ページ】
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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