高速モーション投法で勝負!岩本 真之介(市立和歌山)の2年生らしからぬ投球術
第91回選抜高等学校野球大会が開幕。開幕戦は市立和歌山が延長11回裏にサヨナラ勝ちを収め初戦突破を決めた。今回は延長11回を投げ切り完投勝利を収めた。岩本 真之介のピッチングに迫る。
スピードでは語り切れない岩本の魅力
岩本 真之介(市立和歌山) ※秋季近畿大会で撮影
市立和歌山の2年生左腕・岩本 真之介。この冬は体重アップ、球速アップをテーマに取り組んできた。体重アップのために取り組んできたこととして、間食を増やした。自らおにぎりを作り、1日5,6回も食べる習慣をつけた。その結果、一冬超えて3、4キロほど増量に成功。ピッチングの調子もよく、解禁明けの練習試合では15イニングで無失点に抑えてきた。
「スピードはわからないですけど、秋の時点では全力だったストレートは8割程度で投げられるようになっています」
と手ごたえを感じていた岩本。甲子園での投球を心待ちにした2年生左腕が快投を披露する。
「かなり緊張しました」と語るが、それを微塵と感じさせないピッチング。ストライク先行のピッチングで組み立て、試合を作る。
岩本のピッチングで特徴的なのは、いわゆるモーションが速い投球フォーム。ノーワインドアップから始動し、右足を勢いよく挙げてから、テークバックを取り、トップからリリースに入るまでの流れが非常に速い。この投球フォームの意図について、
「モーションが速い方がタイミングがとりづらいと思うので」と説明する。
ストレートのスピードは常時120キロ後半~130キロ前半(最速134キロ)だが、手元でピュッと伸びていて、さらにモーションも速いということもあり、球速表示以上に速さを感じる。さらに110キロ後半、120キロ前半と2種類の縦スライダー、100キロ台のカーブを投げる。縦スライダーは力の入れどころを変えて球速差をつけており、指先の器用さを感じさせる。速いモーションで緩急をつけられたら簡単に対応ができるものではない。
7回表二死まで無安打ピッチングを続けた。しかし適時打を打たれ、1点差に。
「少し意識し始めた」と話す通り、意識した途端にノーヒットは途切れ、さらに9回表にはセーフティスクイズで同点に追いつかれた。しかし延長になって岩本はもう一度、気合を入れた。
「もう打たれてたまるかと思って投げました」
10回、11回を無失点に抑え、11回裏にサヨナラ打。見事に勝利を決めた。岩本は試合後、「今日は80点ですね。緊張でボールにばらつきがあったので修正していきたいです」と意気込みを述べた。
決して突出したスピードがあるわけではない。だが高速モーションを生かした投球術は高校2年生らしからぬ熟練度がある。今後が楽しみな存在だ。
取材=河嶋宗一