Column

都立国立(東京)「3Dをテーマに掲げ、大きな飛躍を誓う冬」

2019.02.28

3Wを掲げた新チーム、3Dをテーマにした冬


ティーバッティングに打ち込む選手たち

■都立高初の甲子園出場校・都立国立!

 東京都国立市にある都立国立は来年で創立80年を迎える学校である。実は都立国立は都立初の快挙を成し遂げている。それは甲子園出場だ。1980年、エース・市川武史投手の力投で、激戦区の西東京を勝ち抜き、甲子園初戦では前年に公立校として史上初の甲子園春夏連覇を果たした箕島と対戦している。また報道ステーションのメインキャスターの富川悠太アナウンサーは同校の野球部出身だ。
 都立国立では、後援会の協力によるサポートティーチャーと呼ばれるものがあり、大学や大学院に通う卒業生が後輩たちに定期試験前に勉強を教えたり、進路のアドバイスを送ったりする活動が行われている。
 また東大や京大への見学ツアーなどが催されており、勉学と部活両方に力を入れている学校である。

■国立野球部を紹介!

 現在は1年生6名、2年生14名の計20名で活動する都立国立。校庭を他の部活動と併用しながら使っているが、福谷真一監督は「ダイヤモンドは毎日使えるので、他の学校を見れば恵まれていると思います。それより時間の制限です。
 6時に完全下校なので、5時半ぐらいには片づけをやらないといけないです。」と場所よりも時間の制限と日々戦っている。

■今年のウリ

 今年のチームは、
・選手20人ながら6人が投手を務められる投手層の厚さ
・毎日自分たちで練習メニューを考える
・我が強い人が多い
の3つが武器である。
 「どんな練習をやればレベルアップするのか。月曜日がオフなので、朝か昼に集まって前の週の反省や出来を踏まえて今週どうするのか話し合いで決めます。その後メニュー係がまとめて、監督に毎日出しています。」と長谷川太一主将は自分たちで考えメニューを組むことについて詳しく話してくれた。

 福谷監督はこの取り組みについて、「前の監督さんもずっとやっていますが、良し悪しがあります。この代は甲子園という目標のために何が必要なのか。この現状から見て何やるのか、ゴールだけで過程が決まっていなかったので、その辺りでテコを入れました。」と、甲子園を目標にしている選手たちへアドバイスを出しつつメニューを決めさせている。


バッティング練習の様子

■チームが始まって最も印象に残っている試合は?

 新チーム発足時は、3W(ウエイト、ダブルポジション、3weeks)をテーマにスタート。
 「複数ポジションはチームとして勝ちに近づく選択を広げるためですね。そして3weeksは早く決めるのも良くないだろうと、1つ区切りをつけるのが3週間です」という福谷監督の考えで掲げられた。

 3Wをテーマに取り組み続けた都立国立は6年ぶりに秋季都大会出場を果たす。その中でもブロック予選決勝攻玉社戦が特に印象深いと長谷川主将は語る。
 「序盤はリードをしていましたが、バッテリーミスやエラーで追いつかれてしまった。しかし、延長で鈴木太陽がサヨナラのホームランを打ってくれました。あの瞬間はホームに戻るまで実感がありませんでしたが、ホームを踏んだ後に実感が湧いて、とても嬉しかったです」と話す。

 この試合を長谷川主将に振り返ってもらうと、「重苦しい雰囲気にならなったことと、先発は延安航大と阿部哲也がピンチで踏ん張ってくれたおかげでした」と語った。

■新チームが始まって活躍してきた選手

 そんな長谷川選手は新チームスタート時、攻玉社戦でホームランを放つなど4番として力強い長打力を持つ鈴木選手。投打でチームを支える、クセ球が持ち味の右サイドハンドの阿部投手。さらには、夏はエースでオールマイティーが持ち味で、1番打者として高い出塁率を残した徳田健吾選手。そして得点圏打率が5割を誇った長谷川主将自身が活躍したと語る。

 そして春以降は秋はエースとしてチームを引っ張った左のオーバースローの延安投手。そしてチームNo.1の努力家で今後が楽しみだと福谷監督も称賛する榎本悠人選手に期待している。

■春先への意気込み!

 オフシーズンは河川敷で15キロ走るマラソン大会に、引退した3年生と共に挑むのが名物練習の都立国立。今年は3D(貪欲に、泥臭く、どんどんやる)をテーマに掲げる。
 長谷川主将は、「このチームは甲子園に行けるチームだと思っています。そのためには時間や環境は限られますが、他の高校よりも練習しなければなりません。
 長いオフシーズンで見失いがちな目標を明確に持って1日1日を無駄なく過ごして、日々成長して、秋よりも一回りも二回りも大きくなって、最後の春、夏に挑んでいきます。
 また本番では自分の実力を出せるように練習で自信をつけて、自信をもってプレーをやっていきたいです。」と力強い意気込みを残してくれた。

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[page_break:主将と4番が語る課題]

主将と4番が語る課題


長谷川太一主将と鈴木太陽投手

 ここからは福谷監督から能力があると期待される都立国立長谷川太一主将と、サード兼ピッチャーで1年生ながら4番に座る鈴木太陽投手にお話を伺いました。

Q.秋の大会や練習試合が終わって見つけた課題を教えてください。

長谷川:重心が後ろに残っているので、打球があまり速くないですし飛んでいないので、体重移動が課題です
鈴木:どうしても後ろ足が動いてしまう癖があって、動くこと自体は悪いことではないと感じますが、前に体が突っ込んでしまうような動き方でした。普段の練習で素振りをしている時から動いているので、突っ込まないようにしたいと思いました。

Q.このオフシーズンの目標、個人的に強化したいことを教えてください。

長谷川:体重移動がしっかりできたスイングを身に付けることと筋力アップです!
鈴木:下半身の強化です。

Q.応援する方々へ自分のここを見てほしいというのを教えてください!

長谷川:50メートルを6.4秒で走る足を活かした積極的なプレーと周りへの声掛けです!
鈴木:打順も4番を打たせてもらっているので、自分で最大の仕事でもある打撃です!

Q.このチームの好きなところは、または他のチームに負けていないところはどんなところ ですか?

長谷川:劣勢の場面でも気持ちが強い、勝利への気持ちを持って集中できていることです。
鈴木:相手チームに追い上げられても耐え抜いたり、負けている時でも追いあげようとする粘り強さです!

Q.このオフシーズン、『自分はここまで成長するぞ!』と、いうこの冬の熱い宣言を最後 にお願いします!

長谷川:5割打者を目指します!
鈴木:今はMAX132~133キロぐらいなので、140キロを出したいです!そして公式戦でホームランを2本は打ちたいです!

 長谷川主将、鈴木選手ありがとうございました!

[page_break:やったことは自分に返ってくる]

やったことは自分に返ってくる


練習を見つめる福谷真一監督

  福谷真一監督に伺いました。

Q. 今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。秋の大会の振り返りならびに、冬でのテーマも教えていただけたら幸いです。

 1年生が6名(うちマネージャーが1名)のため、チームの底上げ、勝利に近づくための選択肢を増やすためにも2つのポジションをこなせるための練習をしました。ですがなかなか難しいところもあり、この冬は「数」をテーマにしました。

 2月の中旬までは平日であれば400スイング。土日なら1000スイング。ノックなら200球捕るようにしました。これで「数」をこなしつつ、下半身のトレーニングもしっかり積ませました。
 その期間で培ったものを今は実践で使えるように、実践を想定した練習を中心にやって大会に備えて、春はベスト16に入れるようにしたいです。

Q. 最後に、これから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。

 自分でやったことは必ず自分に返ってきます。今日より明日は必ずよくなる。3D!

 福谷監督、そして都立国立高校野球部の皆様、ありがとうございました!

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今年も大好評!
【冬が僕らを強くする 特設ページ】
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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