Column

享栄(愛知)耐え抜く冬ではなく、やり切る冬に

2019.02.10

ターニングポイントとなった履正社との練習試合


室内練習場での打撃練習の様子

■「愛知私学4強」の一角として古くから君臨

 愛知県名古屋市瑞穂区にある享栄は、「愛知私学4強」の一角として古くから高校野球ファンに親しまれている。これまでも、甲子園には春夏合わせて19回の出場を果たしており、プロ野球界にも36名の選手を輩出した実績を誇っている。

■享栄野球部の紹介

 現在の享栄高校野球部は2年生27名、1年生23名の計50名で活動している。野球部専用のグラウンドがある他、雨でも練習が出来るように室内練習場も完備されている。
 副主将の佐久間崇太選手(2年)は、チームのセールスポイントとして「苦しい練習でも明るくできるところ、自分たちだけでも真剣に取り組めるところ、厳しい状況でも乗り越えられる粘り強さ」の3つを挙げ、日本一という目標に向かって日々鍛錬を積んでいると話す。

■最も印象に残っている試合は履正社との練習試合

 佐久間副主将が最も印象に残っている試合として挙げたのが、大阪の強豪・履正社との練習試合だ。初回に3点を先制したものの、すぐに追いつかれ、そのままずるずると失点を重ねてしまい、結局享栄は16対3と大敗を喫してしまったのだった。

 佐久間副主将は履正社戦を振り返り、次のように語る。
 「体の大きさ、スイングスピード、打球の速さ、全ての面において負けていました。でも、絶対に夏にやり返してやろうという気持ちも出てきました」

■履正社に大敗の翌日は印象に残る一日に

 履正社との練習試合で大敗した翌日の練習は、チームにとって思い出深い一日となった。チーム全員がいつも以上に気合が入っており、「この雰囲気で今後もやっていけたら甲子園にも行けるな」と感じるほどであった。佐久間副主将は、この日の練習を「印象に残る一日となりました」と振り返る。

■新チームで活躍した選手は?

 新チームがスタートしてから活躍が目立ったのが、河田翔太籾山慎之助三島有貴田中悠登の4人だ。河田は堅実な守備を武器にノーエラーでチームを支え、籾山は4番として長打力のあるバッティングが持ち味だ。また、三島は慣れないポジションでも元気を出して、どんな状況でもチームを明るくするムードメーカーで、田中は秋季大会後から飛躍的に成長して打点を荒稼ぎする選手となった。

■この冬の意気込み!

 この冬のテーマは「体作り」だ。冬を「乗り切る」のではなく、「やり切る」を意識を持って各々が練習に取り組んでいると佐久間副主将は話す。
 「2年生にとっては最後の甲子園のチャンスである夏に向けて、シーズンインからいいスタートが切れるように、いいオフシーズンにしていきたいと思います」

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[page_break:バッテリーが揃って口にする「軸」の意識]

バッテリーが揃って口にする「軸」の意識


打撃練習の様子

ここからは享栄高校のエース・三島安貴投手とキャッチャーの三島有貴選手にお話を伺いました。

Q.秋季大会などを経て、見つけた課題を教えてください

 三島安貴:ストレートの球威の無さと細かいコントロールがなく、空振りが取れないところです。また、落ちる球もないので空振りが取れません。
 三島有貴:打撃も守備も走塁も、すべてにおいて基礎ができていないので、基礎を大切にすることが課題です。

Q.このオフシーズンの目標、強化したいところを教えてください

 三島安貴:この冬は「軸」をテーマに掲げています。何をするにしても「軸」を意識するようにしています。また、走り込みやウエイトで下半身も鍛えています。
 三島有貴:スイングスピードの強化と、どんな球にも崩されない軸を作ることを意識して練習しています。

Q.応援する方々へアピールしたいセールスポイントは?

 三島安貴:気合が入ると、投げている時に声がでます。気合が入ったピッチングを見てほしいです。
 三島有貴:セカンド送球の際の握り替えのスピードと、チームを引っ張る元気の良さです。

Q.チームの好きなところや、他のチームに負けていないところはどこですか?

 三島安貴:グランドでの気持ちです。「走姿顕心(走っている姿にその人の姿が現れること)」をモットーに毎日練習をしています。
 三島有貴:他のチームに負けないところは、[stadium]甲子園[/stadium]へ懸ける気持ちの強さです。

Q.このオフシーズン、「自分はここまで成長するぞ!」という熱い意気込みをお願いします!

 三島安貴:すべての関係者が、安心して見ていられる投手になりたいと思います!
 三島有貴:自分は愛知県でNo.1のキャッチャーになります。そのために肩はもちろん誰よりもピッチャーを思い、ピンチの時に頼りになるキャッチャーになりたいと思います。

三島安貴投手、三島有貴選手、ありがとうございました!

[page_break:本当に「きつい、しんどい」のは夏の大会で負けた時]

本当に「きつい、しんどい」のは夏の大会で負けた時


綱登りの様子

  顧問の杉本力也先生にお話を伺いました!

Q. 今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか?

 長きに渡り享栄高校を率いてきた柴垣監督が夏の大会を最後に勇退され、新たに元中京大中京野球部監督の大藤敏行先生を新監督に迎えて、新チームがスタートしました。
 「結果よりも過程」「挑戦」というテーマの下、新チームは始動しましたが、結成当初は上手くいかないこともありました。それでも選手たちは諦めることなく自分たちで何が足りないのか考え練習に取り組んだ結果、徐々に結果も伴ってきました。

 しかし満を持して臨んだ県大会では、本格派投手を打ち崩すことが出来ずに、3回戦敗退という納得のいかない形で県大会が終了してしましました。敗因は、140キロを超えるスピードボールに振り負けていた、完全なパワー不足でした。そのため敗退直後から、もう一度体を強く、大きくしようとチーム全体で取り組み、この冬も引き続き「体作り」をテーマに取り組んでいます。

Q. 厳しい冬の練習に挑んでいる選手たちにメッセージをお願いします!

 冬の練習はよく「きつい」「しんどい」「苦しい」と言われます。ただ、本当に「きつい、しんどい」のは、夏の大会で負けた時だと思います。
 夏に笑う為に、この冬を有意義にしよう。耐え抜く冬ではなく、やり切る冬にして必ず日本一になりましょう。

 杉本先生、そして享栄高校野球部の皆様ありがとうございました!

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今年も大好評!
【冬が僕らを強くする 特設ページ】
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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