2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し13年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。
第60回では2年連続秋季四国大会に出場した川島(徳島)の話。選手11人・部員15人から強豪校を次々と破った理由を紹介しつつ、これから全国各地で大きなテーマとなるであろう「少人数校が勝ち上がる方法」を考えていきます。
少人数でも2年連続秋季四国大会出場の川島(徳島)

部員15人(選手11人・マネージャー4人)で2年連続秋季四国大会出場を果たした川島
またも久々の「四国発」ですが、まずはこれを言わないと。「侍ジャパントップチーム第2回WBSCプレミア12優勝、おめでとうございます!」2020東京五輪へ向けてばかりでなく、野球界に勇気を与える頂点獲得。同じ11月17日(日)明徳義塾が明治神宮大会2回戦で敗れ2019年の公式戦がほぼ幕を閉じた四国地区の私たちも、彼らの勇敢さを見習って、2020年へと進んでいきたいと思います。
ただその半面、四国における野球人口、それ以前の人口減少は「野球部員減少」という現実となって表れています。しかも最近ではこんな現象も起こっています。
「徳島県では『特色選抜』(中学校でのスポーツや文化活動の実績を評価する入試)という形で各校に一定の推薦枠があるんですが、最近では中学野球の有望選手がラグビーやレスリングなどの特色選抜を利用するケースが出ているんです。徳島県では中学校でラグビーやレスリングの部活がないからなんですけど、正直野球部にとっては痛いですね」
こう話すのは川島(徳島)・山根 浩明監督。2010年センバツには21世紀枠初出場で前年・明治神宮大会王者の大垣日大(岐阜)に延長戦までもつれ込む好勝負を演じ、その後も県内強豪の地位をキープ。秋については昨年県大会初優勝、今年も準優勝を遂げ、2年連続で四国大会出場を果たしている指揮官です。
だが、そんな川島ですら昨秋の四国大会は選手15人。そして今年は選手わずか11人(2年生4人・1年生7人)。4名(2年生のマネージャーを加えても15人。逆に言えばこの少人数で四国の舞台まで進んでいる事実は高く評価されるべきでしょう。
では、なぜ15人は少人数校のハンデを……いや、主将の三木 希海(2年・遊撃手)はこう言い切ります。
「先輩たちから15人でもできることを教えてもらいましたし、少人数だと気持ちをもってできます」。
聞けばその手法も実に明確化されていました。