2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し13年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。
第49回では7月13日(土)から13日間、東京ドームで開催される「第90回都市対抗野球大会」に四国地区代表として3年連続12回目の出場を果たすJR四国(高松市)に現れた「高卒ゴールデンルーキー」を紹介します。
埼玉西武ライオンズ・髙橋 光成にも振り負けず

都市対抗四国予選決勝戦で打席に立つ水野達稀(JR四国・遊撃手)
「なかなかやるなあ」。
2月26日・埼玉西武ライオンズB班(二軍)キャンプが行われていた高知県立春野運動公園野球場。最初は別選手の動向視察が目的だった私の目は次第に遊撃手を務めるJR四国の背番号「0」に引き込まれていきました。
その男の名は高卒ルーキーの水野 達稀(右投左打・170センチ71キロ)。この名前を聞いて「お!」とつぶやいた方はかなりの「高校野球ドットコム」ヘビーユーザーでしょう。
香川県立丸亀城西高時代は50メートル走6秒0俊足の武器に強肩強打攻守の遊撃手として鳴らし、高校通算本塁打も27本。昨年は超攻撃的リードオフマンとして丸亀城西の13年ぶり夏甲子園出場に大きく貢献しました。(当時のインタビューはこちら)
このように高卒プロ入りも十分可能な実力を有しながら、夏前の早い時期にJR四国入りへ進路を定めた水野選手。「最終目標はプロ入り」と当時から語っていたように、志の高さがこの日もプレーの随所に現れていました。
まずは6回表に代打で途中出場するといまや5勝をあげ埼玉西武ライオンズローテーションの軸を担う髙橋 光成投手に対し「思ったより振り負けなかった」強いスイングを披露。強い当たりが災いしてこの打席は遊ゴロ併殺に倒れたものの、次の打席では今季一軍でここまで2試合に登板した國場 翼投手から見事に右前打。守備でも6回裏に難しいフライを処理するなどまるで社会人で数年プレーしているかのような動きを示したのです。
「これはひょっとして、社会人1年目から出場機会を得られるかも」。そんな私の予想を3か月後、坊っちゃんスタジアムで水野選手はいい意味で裏切ってくれました。