Column

最速151キロ!侍ジャパンで活躍する盟友の姿を胸に四国で躍動する石井大智

2019.05.18

 2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し13年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。

 第46回では現在、四国アイランドリーグplusで「今季NO1」といわれる秋田高専卒2年目の最速151キロ右腕・石井 大智投手(高知ファイティングドッグス)について、昨年に侍ジャパントップチームを経験した小中学校時代の盟友を交えて取り上げていきます。

「秋田高専卒」2年目右腕・石井 大智(高知ファイティングドッグス)急成長中

最速151キロ!侍ジャパンで活躍する盟友の姿を胸に四国で躍動する石井大智 | 高校野球ドットコム
最速151キロ右腕・石井大智

 もう早いもので令和元年5月も中旬。3月31日(日)に当初から1日遅れで開幕した四国アイランドリーグplus2019前期シーズンも各球団残り10試合程度となり、いよいよ佳境に入ってきました。

 現在のリーグ戦状況は投打に充実した戦力を備えて一昨年前期以来のVを目指す徳島インディゴソックスが首位を走り、高知ファイティングドッグスが激しく猛追するマッチレースの図式。まだ4試合残っている両者の直接対決が、栄冠獲得への大きなカギとなりそうです。

 両チームのキーマンをあげれば、徳島インディゴソックスでは昨年ドラフト指名漏れのリベンジに燃え、早くも5勝をマークしている最速151キロ右腕・竹内 裕太(鶴見大卒2年目)。一方、実に2009年後期以来となる優勝を期す高知ファイティングドッグスの命運を握るのは今季5試合登板で3勝無敗・防御率1.13で(5月18日現在)一躍リーグNo1右腕の座に急成長したこの人です。

 秋田高専卒2年目の石井 大智投手。リーグデータでは175センチ83キロと決して身体に恵まれているわけではありませんが、昨年最速145キロだったストレートの球速は6キロ増の151キロへ。かつその質も「身体のラインを使ったフォームのメリハリを吉田 豊彦コーチに言われて、感覚をつきとめた」ことにより「いい回転のボールが出ているので空振りが取れるキレがあるし、本物だと思っている」と現役時代NPB通算2006安打の駒田 徳広監督も賞賛するほどになっています。

 また、今季からは110キロ台のカーブ、120キロ台のスライダーに加え、130キロを超える高速シンカーもカウントを奪える変化球としてマスター。さらに「僕は大学4年と同じ年だし、同世代にはいい投手がいるのでそこを含めて評価されないといけない」と本人が自らの立場を認識している点も急成長の要因と言えるでしょう。

[page_break:「成田 翔」を超えるため、必ずNPB入りを]

「成田 翔」を超えるため、必ずNPB入りを

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ライバル・成田翔の背中を追いかける

 では、秋田高専時代には無名とも言える彼がなぜ、NPBを目指す場所に今いるのか。そのモチベーションの多くを占めているのは小中学校時代の盟友・成田 翔秋田商~千葉ロッテマリーンズ)の存在です。石井投手はその理由をこう話してくれました。

 「実は秋田市立秋田東中の2年までは僕がエースだったんです。でも、3年になって成田にエースの座を奪われて僕は内野手に。高校は『いいところに就職しよう』と思って秋田高専に進んだんですが、成田がプロに入って活躍するのを見て『同じ舞台で戦いたい』と思ったんです」

 秋田高専では環境都市や道路について学び、好条件での就職が約束されていたにもかかわらず、それらを投げうってまで四国アイランドリーグplusでの勝負にかけたのも「昨年は侍ジャパンでの投球を見てボールもよくなっている」成田投手への強いライバル心があるからです。

 40イニングで53奪三振・平均奪三振率11.93と傑出した数字を残し、上昇一途の現在でも「決め球のストレートはいいけど、もっと変化球の精度を上げないと」とあくなき向上心を見せる石井投手。「ドラフト候補選手」として再び話を聴く機会が訪れるであろう秋までに、さらに凄みを見せてほしいと思います。

(文・寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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