斬新に歴史重ねた「第11回少年硬式野球四国選手権」で輝いたネクスト球児たち
2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し13年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。
第41回では今年も4月5日(金)から3日間、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムを中心に開催された「第11回少年硬式野球四国選手権」を紹介。これまでNPB選手も輩出した大会の歴史を振り返りつつ、今大会で輝いた選手たちも写真も交えて取り上げていきます。
「あの剛腕」も甲子園スターも輩出した少年硬式野球四国選手権
選手宣誓する川之江ボーイズ・合田慶太朗主将
毎年4月第1週の金・土・日。愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアム周辺はカラフルなユニフォームを身にまとった中学生球児たちが集います。その大会名は「少年硬式野球四国選手権」。
「NPO法人・松球会」理事長を現在務める野口 克幸氏らが中心となって音頭を取り、リーグ間の垣根を超え中国硬式野球四国NO1を決める当時としては画期的な試みとして2009年に発足。2016年からは「全日本中学野球選手権大会(ジャイアンツカップ)四国地区予選」の称号も加えられ、今年で11回目を数えます。
過去の主な大会参加選手をざっと紹介すると……。第1回準優勝・えひめ西リトルシニアの絶対的エースだったのは大阪桐蔭(大阪)~立教大と進み、今ではオリックス・バファローズ勝利の方程式の一角を担う澤田 圭祐投手。2011年の第3回大会で松山坊っちゃんボーイズのエースだった安樂 智大投手は済美(愛媛)から1位指名で東北楽天ゴールデンイーグルスへ。今季はローテーション入りのチャンスをつかむべく奮闘中です。
また、福岡ソフトバンクホークスの大本 将吾外野手も西条リトルシニア2年時の第4回大会では注目選手の1人として活躍しました。
また、澤田・安樂両投手を含む甲子園スターも多くがここから巣立っています。近年では昨夏甲子園準決勝で対戦した済美のキャプテン・池内 優一(駒澤大1年)は今治中央ボーイズ出身。2015年の第7回大会では大阪桐蔭で三塁ベースコーチャーを務めていた俵藤 夏冴(天理大1年)らと共に中心選手としてチームを準優勝に導きました。
さらにセンバツでも華麗な遊撃守備で沸かせた侍ジャパンU‐18代表一次候補・武岡 龍世(八戸学院光星3年)はヤング徳島ホークスの顔として2016年・第8回大会でMVP。当時から誇っていた圧倒的なスピードは第1回から欠かさず取材している私の目から見ても「大会史上最高」と断言できます。
そして今大会も彼らに続くスター候補生たちが躍動してくれました。
[page_break:四国地区の「2019ネクスト球児」たち]四国地区の「2019ネクスト球児」たち
2年連続4度目の少年硬式野球四国選手権Vを決めマウンド上で喜ぶ松山中央ボーイズ
投手での筆頭格は徳島藍住リトルシニアの左腕・赤澤 颯哉(3年)。178センチ83キロのがっちりした体型から繰り出す最速130キロのストレートとスローカーブは、「まっすぐで押しながらカーブを使っていく」思考を支える体幹が磨かれればさらにキレのあるものとなるでしょう。
その他、野手兼任ながら西条ボーイズの髙橋 賢臣(3年)や徳島東リトルシニアの幸坂 征太郎(3年)などは右腕から重いストレートを投げ込んでおり、高校での動向が注目されます。
野手では50メートル走6秒0の目黒 矢晃(高松リトルシニア3年・右翼手)、一塁駆け抜け4秒を切る尾形 宗汰朗(徳島藍住リトルシニア3年・中堅手)らのスピードが目を引きました。また、西条リトルシニアの遊撃手・河村 僚也(3年)の基本に忠実かつ柔軟な守備は一見の価値ありです。
そして2年連続4度目の優勝と2度目のジャイアンツカップ出場を決めた松山中央ボーイズはMVPを獲得した山内 欣也(3年・遊撃手)を筆頭に「勝負どころ」をよく知る選手がそろいます。
中でも捕手の渡部 航大(3年)は要所での盗塁阻止と投球回制限によって必然的に強いられる複数投手のリードでも「コースに構えずにどこにでもなげてもらう気持ちで」秀でたところを見せました。
この他にも多くの「ネクスト球児たち」の頑張りが光った今大会、中学球児たちがこの「第11回少年硬式野球四国選手権」をきっかけにして、さらなる成長を遂げることを大いに期待したいと思います。
なお、大会の模様とここには記さなかった「ネクスト球児」のインタビューは、近日中に映像と「ネクスト球児」でお届けします。4月27日(土)12:55~13:50に南海放送テレビで放送される大会ダイジェストと共にぜひお楽しみください!
(文・寺下 友徳)