第39回 富岡西で描かれる「キセキ」の道2019年03月22日

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【目次】
[1]「野球のまち・阿南」にスペシャルな野球人たちが
[2] 地域の結束で「キセキ」を築く

 2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し13年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。

 第39回ではセンバツ大会4日目・第3試合で名門・東邦(愛知)と対戦することが決まった21世紀枠・富岡西(徳島)の直前レポートをお届け。様々な縁でつながる「キセキ」の道を追います。

「野球のまち・阿南」にスペシャルな野球人たちが



殖栗 正登トレーナーと共にシャドーピッチングに取り組む富岡西の投手陣

 高校野球の様々な場面で書かれる「奇跡」という言葉。私はあまり好きではありません。物事の結果には間違いなく原因があり、原因には過程が必ず存在する。「偶然」だけを強調する二文字で片付けては、次への発展性が生まれない。そう思います。

 でも、あえて言いましょう。現時点で世間はきっとこう思っているはずです。「センバツで富岡西東邦に勝ったら『奇跡』だよな」と。

 昨秋四国大会ベスト4とはいえ、21世紀枠・甲子園初出場の富岡西(徳島)。対して今大会で2年連続30回目の出場、うち優勝4回。高校野球界で知らないものはいない名門・東邦(愛知)。ちなみに昨秋チーム打率.386・1試合平均得点9.47は出場32チーム中トップ。平均得点7.29・チーム打率.310の富岡西も健闘はしているとはいえ、実力差は明らかです。

 それでも実力差を埋め、超える要素を富岡西の選手たちは持っています。事実、センバツ直前の3月に入っても彼らは全くブレず、淡々と自分たちの課題と向き合い、克服していこうとしていました。

 そんな彼らに頼もしいサポーターも次々と現れました。「野球のまち・阿南」らしい、スペシャルな野球人たちが集ってくれたのです。

 まずは徳島県北島町にある「インディゴコンディショニングハウス」代表の殖栗 正登トレーナー。「四国発」第25回でも紹介した「健康・スポーツ講座」選択授業がきっかけとなり、年明けから週1回ペースで投手陣を中心に野球部のトレーニングを指導。エース・4番の浮橋 幸太(3年)は「殖栗さんが来てくれたおかげで、体重移動がスムーズにできるようになりました」と効果を認めます。

 2人目はなんと国立・鹿児島大を3年途中で休学し、富岡西外部コーチを3月から務めている奥 将臣さん。「彼らの理解度は高いので、センバツの経験を経て夏につなげてほしい」と夏の徳島大会初制覇も見据えた中長期的な視点で選手たちに携わっています。

 では、高校も伊集院(鹿児島)出身の奥コーチがなぜ、これまで縁のなかった徳島県阿南市にやってきたのか?それは、鹿児島大野球部を指導していたこの「知将」を慕ったからなのです。

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プロフィール

寺下友徳
寺下 友徳
  • 生年月日:1971年12月17日
  • 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
  • ■ 経歴
    國學院大學久我山高→亜細亜大。
    幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。
  • ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
  • ■ 執筆実績
    web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。

    さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。
  • ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
    ■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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