四国選抜 海外遠征を経由して全国・世界で通用する選手・チーム輩出へ!
2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。
第35回では昨年12月末に5戦全勝を収めた四国選抜チームオーストラリア遠征の「その後」について、様々な視点から取り上げていきます。
オーストラリア遠征で彼らが見つけた「向上策」
最終戦終了後の集合写真「写真提供:四国高等学校野球連盟」
「壮行試合では2連敗。最初はどうなるかと思いましたが『さすが四国代表』という戦いを見せてくれました」
2月15日(金)に香川県丸亀市の[stadium]レムザムボールパーク丸亀[/stadium]会議室で行われた「平成31年度春季四国地区高等学校野球香川県大会組み合わせ抽選会」。冒頭のあいさつに立った四国地区高等学校野球連盟会長を兼ねる佐藤 良二会長は、このような表現で四国選抜チームの20選手が果たした5連勝を称賛しました。
確かに12月16日(土)に行われた高松商・尽誠学園戦は佐藤会長のあいさつ通り内容は今ひとつ。しかし、彼らはそれから1週間足らずで見事な修正を施してきました。
キーワードは「学習」。三本松のエース・キャプテンの上杉 綸聖(2年)はこう話します。「同じチームメイトから学ぶ部分が多かったです。僕の場合はフィールディングのレベルの高さを感じましたし、常に平常心でいなければいけないことを感じました」
また、四国選抜チームでは渉外・記録担当としてチームに同行した須崎 一幸・徳島県高等学校野球連盟理事長はこんな内幕も明かしてくれました。
「浮橋 幸太(富岡西2年・投手・チームキャプテン)は高松商の香川 卓摩(2年・投手)からかなり技術的な部分を吸収したようですし、勉強法も同じ進学校である土佐の横田 啓悟(2年)から学ぶ部分があったようです」
選手間の交流を張り巡らせ、やがてチーム力アップへつなげる。これこそが彼らがオーストラリアで真に成し遂げた成果と言えるのかもしれません。
[page_break:四国選抜チームは今後も「継続、発展」]四国選抜チームは今後も「継続、発展」
四国選抜オーストラリア遠征での学びを話してくれた三本松・上杉綸聖(2年)
ただ、彼らの戦いはこれで終わったわけではありません。春、夏までの個人能力向上はもちろんですが、持ち帰った経験をチームに持ち込み、伝えることも大事な仕事。
「大雑把な部分もあるが、全員が野球を楽しんでいた」と対戦相手の感想を述べた大手前高松主将・井上 治樹(2年・三塁手)や、「外国人選手は打撃面で効率的なフォームをしていた」と細かい点に着目し打撃練習種目の変更や自らのフォーム改造に取り組んだ川島・森本 迅(2年主将・遊撃手)など、彼らはそれぞれの方法でアプローチをしています。
さらに、こういった四国選抜の選手たちによる言動は各所属チームにも大きな化学変化をもたらしているようです。
たとえば徳島商主将の西村 奨真(2年・三塁手)は「練習での姿勢や取り組みがチームを引っ張っていく姿勢になっています」と村田 龍哉(2年・投手)について語り、英明の主将・仁木 大翔(2年・内野手)からも「チームに対する言葉が増えて、全体で上がっていく雰囲気が生まれています」と黒河 竜司(2年・投手)の人間的成長を認める言葉が。
この化学変化が春季大会にどのような形で現れるか。今から楽しみでなりません。
なお、複数関係者の話によれば今後も四国選抜チームは数年周期で結成され、12月に海外遠征をおこなう見込みとのこと。
四国から始まり、海外遠征経験を経て全国・世界で通用する選手・チーム輩出へ。切磋琢磨の先にある「四国的選手育成サイクル」を確立するための「継続・発展」作業は、ここから本格化の時を迎えていきます。
(文・寺下 友徳)