Column

2019年「四国発」で飛躍期す大本 将吾(福岡ソフトバンクホークス)

2019.01.09

 2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。

 第29回では昨年末、愛媛県宇和島市出身の元MLB選手・岩村 明憲さん(現:ルートインBCリーグ・福島ホープス監督兼代表取締役社長)が会長を務める一般社団法人プロ野球愛媛県人会の主催で行われた「第5回西日本豪雨災害復興チャリティー・プロ野球愛媛県人会野球教室」から、帝京第五卒3年目の2019年に飛躍を期す福岡ソフトバンクホークス育成外野手・大本 将吾選手を取り上げます。

子どもたちに夢を持たせる「超ド級」

2019年「四国発」で飛躍期す大本 将吾(福岡ソフトバンクホークス) | 高校野球ドットコム
子どもたちの前でロングティーを実演した大本 将吾(福岡ソフトバンクホークス)

 「うぉぉ!スゲーー!!」。2018年12月28日、いまだ山肌などに半年前の西日本豪雨災害の爪あとが残る[stadium]西予市立宇和球場[/stadium]に10チーム160人の歓声が響きました。そして子どもたちの視線は金属バットで軟式ボールを打っているにもかかわらず寒空を突き破り100メートル以上先のライトフェンスを軽々と超えていった打球へ。続いて左打席で豪快なスイングを続ける彼に注がれました。

 その彼とは愛媛県西条市出身・福岡ソフトバンクホークスの高卒3年目育成外野手・大本 将吾(1998年4月22日生・186センチ94キロ・右投左打)です。「高校時代(帝京第五)にお世話になった南予のみなさんに恩返ししたい」と昨年に続き参加した第5回西日本豪雨災害復興チャリティー・プロ野球愛媛県人会野球教室での「超ド級」は、MLBタンパベイ・レイズでもレギュラー二塁手として活躍した岩村 明憲会長が提唱している「愛媛の子どもたちに夢を与える」存在として十二分に説得力を持つもの。

 中学時代から大本選手のプレーを見てきた私にとっても「昨年、吉本(亮・三軍打撃コーチ)さんに教えて頂いて、トップからインパクトまでの距離を出すようになってからボールが飛ぶようになった」彼の「これぞプロ」という打球は「まずは2軍の試合に近づき二軍のレギュラーを目指す」という、高校時代と同じく謙虚な2019年目標設定を軽々と超えていく予感を感じさせるものでした。

[page_break: 「四国発」から憧れの存在に迫る男へ]

「四国発」から憧れの存在に迫る男へ

2019年「四国発」で飛躍期す大本 将吾(福岡ソフトバンクホークス) | 高校野球ドットコム
「第5回西日本豪雨災害復興チャリティー・プロ野球愛媛県人会野球教室」宇和会場でティーを投げる大本 将吾(福岡ソフトバンクホークス)

 実はその大本選手、成績的にも明らかな成長が見えています。三軍の成績を見ても4月22日の四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックス戦でデビューした2017年が45試合出場で打率.205・本塁打1・打点11に留まったのに対し、ほぼ中軸を張った2018年は72試合出場・202打数53安打・3本塁打・41打点で打率.262と大きくジャンプアップ。さらにウエスタンリーグ選抜に抜擢され参加した「2018アジアウィンターリーグ(台湾開催)」でも15試合に出場し34打数8安打5打点。「フェニックスリーグでもNPB投手の変化球に対応できるようになったし、秋季キャンプでも始動のタイミングについて取り組んで、ウィンターリーグでも終盤になって打撃の感覚がつかめてきた」成果を西浦 颯大(オリックス・バファローズ・明徳義塾高卒2年目)ら、一軍経験を持つ選手たちの中でも残しました。

 「ホークスは千賀(滉大)さんや甲斐(拓也)さん、牧原(大成)さんのように育成選手から主力になっている方もおられるので、可能性を示して頂いた。昨年は内川(聖一)さんや長谷川(勇也)さんとかと一緒に練習する機会もありましたが、一流でベテランであっても、すごく練習されていた。そういったところも見習って頑張りたいと思いました」。本人にとっても2018年は濃密な時間だったようです。

 指名あいさつ時から高い評価を与えていた宮田 善久スカウトも「スイングはよくなっている。あとは2軍の試合に出て経験を積むだけ」と太鼓判を与える大本。プロ入り後も「140キロを超える投手もいっぱいた」四国アイランドリーグplusとの定期交流戦含め、レベルアップする機会を与えてもらった四国の地を巣立ち、高校通算11本塁打から「僕でも活躍できる」姿をヤフオクドームで見せる瞬間、「憧れの存在」柳田 悠岐と同じスコアボードに名を連ねる瞬間は確実に迫っています。

(文・寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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