Column

「成長の種」グラウンド内のみにあらず 敏腕トレーナー・殖栗 正登氏が富岡西に降臨

2018.12.13

 2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えてしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。

 第25回では11月28日(水)に徳島県立富岡西高等学校で行われた選択授業「健康・スポーツ講座」の一風景から、グラウンド外でも取得できる「成長の種」について話を進めていきます。

敏腕トレーナー・殖栗 正登氏、「授業」に降臨

「成長の種」グラウンド内のみにあらず 敏腕トレーナー・殖栗 正登氏が富岡西に降臨 | 高校野球ドットコム
身振り手振りを交え富岡西の生徒たちに説明を加える殖栗 正登インディゴコンディショニングハウス代表

 11月28日(水)15時過ぎ、徳島県阿南市にある県南屈指の進学校・徳島県立富岡西高等学校の体育館では一風変わった授業が始まろうとしていました。ジャージ姿でやってきた普通科2年生・30名の生徒たちを待ち受けてたのは、体育の先生ではなく……ビルドアップされた肉体がジャージ越しでも解る男。インディゴコンディショニングハウス代表の殖栗 正登氏だったのです。

 殖栗氏の経歴については数多く「高校野球ドットコム」に登場していますので、ここでは少しだけ。過去には来季MLB入りを志す左腕・菊池 雄星(埼玉西武ライオンズ)のトレーナーや四国アイランドリーグplus高知ファイティングドッグスや徳島インディゴソックス、伊予銀行ソフトボール部のストレングス&コンディショニングトレーナーを歴任。2015年11月には徳島県板野郡藍住町に「インディゴスポーツ鍼灸整骨院」を開業し、2017年7月には北島町に移転。同時にトレーニング機能を備えた「インディゴコンディショニングハウス」)として規模を拡大し、現在では野球のみならずアスリートのサポートを行っている敏腕トレーナーです。

 こういった徳島県との深い縁もあり、今回は選択授業「健康・スポーツ講座」の特別講師として招かれた殖栗氏。50分の授業中では「この前、王 貞治さんや長嶋 茂雄さんの現役時代に巨人でトレーニングコーチをしていた方から話を聴いたんですが、当時は下敷きを頭の上にのせて落ちないように歩く練習をしたそうです」など、惜しげもなく高校生たちに興味ある話も与えながら、呼吸・姿勢・コアモーターコントロール(体幹トレーニング)について実技指導を施しました。

 かくして、まず風船を膨らませることで呼吸法のタイミングを習得し、その呼吸法を姿勢やコアモーターコントロールの基盤にできることを身体を動かしながら学んだ富岡西の生徒たち。よく見るとその中には11月の秋季四国大会でベスト4入りを果たした野球部たちの姿もちらほら見かけます。

[page_break: オフ期間だからこそ「成長の種」を探しに行こう]

オフ期間だからこそ「成長の種」を探しに行こう

「成長の種」グラウンド内のみにあらず 敏腕トレーナー・殖栗 正登氏が富岡西に降臨 | 高校野球ドットコム
体幹トレーニングを実演する殖栗 正登インディゴコンディショニングハウス代表

 ということで授業後にはこの2人に話を聴きました。まずは投げては最速140キロをマークし、打っても高校通算15本塁打を放っている4番・エースの浮橋 幸太(2年)。

 「いろいろな意識について、これまで自分がやってきたこととは違っていたので、これをやっていけば自分のパフォーマンスも上がると思います」。このように手ごたえを語れば殖栗氏から呼吸法を絶賛された谷 勇輝(2年)も「体幹トレーニングの映像はよく見ていたんですが、腹圧を高めてトレーニングする理論はこれまでの自分にはなかったので、これからワンランク上のトレーニングができると思います」と笑顔を見せてくれました。

 彼らのみならず、概して吸収意欲が旺盛だった富岡西の生徒たち。この日、殖栗氏の授業を受けたことで、生徒たちのパフォーマンスは必ず上昇カーブを描いてくれることでしょう。

 「成長の種」はグラウンド内にだけ落ちている訳ではありません。このような授業の中や街の中、ひょっとしたら自分の部屋に落ちているかもしれない。すべてのことを野球に例えれば、今までとは違った視点が見えてくることでしょう。

 ちなみに私の場合はこれまでのスポーツ取材経験を踏まえ、野球をサッカー的に俯瞰して分析してみることや、その他のスポーツや世間の話題になぞらえて。タイムリーな話題で言えばフィギュアスケートのジャンプ時に生まれる回転速度や身体の動かし方は、投球やスイングに活かせないことはないのかな?などということを日々考えています。

 実際に活かす活かさないはともかく、まずは全て受け入れてみて「一部を使い、残りは捨てる」これでもいいと思います。公式戦・練習試合のないオフシーズンだからこそできることを、皆さんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

(文・寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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