Column

四国勢 「2018実りの秋」から「2019開花の春」へ

2018.11.23

 2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えてしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。

 第22回では高校・大学・社会人の秋の全国大会で成果を残した「四国発」チーム・選手を紹介。かつて甲子園を沸かせ、2019年ドラフトの目玉選手になろうとしている左腕投手も取り上げます。

高校「銅」・大学「銀」

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走攻守に明治神宮大会でも力を発揮した高松商の1番中堅手・飛倉 爽汰(2年主将)

 この秋の全国大会で「四国発」のチーム・選手たちは大活躍してくれました。まず明治神宮大会・高校の部で高松商は五輪なら「銅」のベスト4入り。特に打線は2回戦で立岩 知樹(2年・一塁手・175センチ85キロ・さぬき市立志度中出身)が、準決勝で新居 龍聖(2年・捕手・170センチ67キロ・右投左打・丸亀市立飯山中出身)が3ランを放ち、1番の飛倉 爽汰(2年主将・中堅手・167センチ61キロ・高松市立龍雲中出身)も10打数4安打2打点1盗塁と四国大会までと同じく安定した成績を残しました。

 あとは11月17日の県高野連招待試合・報徳学園戦でも明確となったディフェンス力を改善できれば、3年ぶり27度目の出場が濃厚なセンバツでの飛躍も期待できます。

 明治神宮大会・大学の部では中四国3連盟代表の環太平洋大が初の決勝進出を果たし、五輪では「銀」にあたる準優勝。中でも並みいる上級生をなで斬りにした左腕・仲尾 元貴(1年・左投左打・175センチ65キロ・生光学園<徳島>高卒)の活躍は特筆に値するものだったと言えるでしょう。

 また、立正大9年ぶり2度目の優勝マウンドに立っていた糸川 亮太(2年・右投右打・170センチ71キロ・川之江<愛媛>高卒)だったことや、ベスト4・関西国際大で尾崎 亨四郎(4年・三塁手・右投右打・愛媛三島<愛媛>高卒)、西川 雄大(4年・一塁手・右投右打・丸亀城西<香川>高卒・新日鐵住金広畑内定)が主軸を張ったことも四国的には誇らしい出来事でした。

 環太平洋大硬式野球部は11月19日に野村 昭彦監督が退任。元西武ライオンズ内野手の安藤 真二コーチが新監督に就任し新たなスタートを切ることになりましたが、中四国の他大学含め、2019年こそは明治神宮大会では2003・2004年の東亜大連覇以来、全日本大学野球選手権に至ってはいまだ決勝進出のない「頂点獲得」へ向けてチャレンジしてもらいたいと思います。

 そして社会人。日本選手権ではJR四国、三菱重工広島は残念ながら初戦敗退に終わりましたが、中国地区第1代表のJFE西日本は優勝した2004年以来2度目の決勝進出。そして中1日で決勝戦のマウンドに立ったのは大会2試合連続完封の鳴門<徳島>高卒2年目・河野 竜生(かわの・りゅうせい)でした。

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JFE西日本・河野 竜生「四国発・中国経由」で2019ドラフトへ

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社会人日本選手権決勝でのJFE西日本・河野 竜生投手(鳴門高卒2年目)

 174センチ75キロの背番号17は自己最速に2キロと迫る最速144キロのストレートを両アウトサイド低めに突き刺し、フォークのように沈む130キロ前半のツーシーム、「高校時代は封印していた」(鳴門高校・森脇 稔監督)90キロ台のスローカーブ。120キロ台のスライダー、チェンジアップもよく決まり、9回142球を投げ4安打2四球5奪三振1失点。チームは延長13回に力尽き三菱重工名古屋に初優勝を譲りましたが、「強気ややんちゃを制御できるようになった」(山下 敬之監督)結果、大会3試合で27回を投げ防御率0.33。文句なしの敢闘賞受賞となりました。

 試合後は「ピンチでも自分のボールが投げられた」と一定の満足感をのぞかせつつ、「入社する時に『3年でプロに行く』目標を立てたので、そこに到達できるように、そしてなるべく上位で指名されるようにがんばりたい」とドラフト解禁年となる3年目への意気込みを述べた河野投手。「このまま育ってくれれば3位までには指名されますよ」と某NPB球団スカウトも語った評価をさらに高め、ぜひ「ドラフト1位」と「社会人2大大会制覇」を目指して突き進んでほしいと思います。

 なお、河野 竜生投手は「JABA選抜」の一員として11月24日(土)~12月16日(日)に台湾で行われる「2018アジアウインターベースボールリーグ」にも参加予定。皆さんもぜひ「四国発、中国経由」で2019ドラフトを目指す彼の動向に注目してみてください。

(文・寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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