Column

「チャンスは四国にある」セカンドステージへの挑戦

2018.11.03

 2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えてしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。

 第20回では10月25日(木)に開催された「2018年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で鎌田 光津希(徳島インディゴソックス・千葉ロッテマリーンズ育成1位)1名の指名のみに終わった四国アイランドリーグplusの課題と来季以降の取り組みについて紹介。さらに私的提言も加えていきます。

「育成指名1名のみ」四国アイランドリーグplus14年目の現実

「チャンスは四国にある」セカンドステージへの挑戦 | 高校野球ドットコム
千葉ロッテマリーンズから育成指名1位を受けた徳島インディゴソックス・鎌田 光津希投手(左)

 「この結果に対し、もどかしさと悔しさでいっぱいです」。10月31日(水)午後、愛媛県松山市の松山全日空ホテル。14年目のシーズンを終えた四国アイランドリーグplusの表彰式・総決算行事となる「四国アイランドリーグplusAWARD2018」冒頭であいさつに立った坂口 裕昭理事長は、過去最高レベルの危機感を口にしました。

 「この結果」とは10月25日(木)に開催された「2018年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で鎌田 光津希(徳島インディゴソックス・千葉ロッテマリーンズ育成1位)1名の指名のみに終わったことについてです。徳島インディゴソックスから9891(埼玉西武ライオンズ3位指名・投手)、大藏 彰人(中日ドラゴンズ育成1位指名・投手)の2名のみに終わった昨年を下回り、2005年のリーグ創設当初(育成枠2名指名)にもなかった厳しい現実。世間一般的な見方をすれば、昨年に続き今年も6名(うち育成枠4名)がドラフト指名を受けたルートインBCリーグに「独立リーグの代表格は移った」と評されても弁解はできません。

 ただ、四国アイランドリーグplusは当然、次の施策を考えています。あいさつ全文は四国アイランドリーグplusのHPからご覧いただくとして、その具体策と考えのベースを、会を終えた坂口理事長に聴きました。

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メソッドを確立・共有した真の育成リーグへ

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「四国アイランドリーグplusAWARD2018」で来季のリーグ展望を語る坂口 裕昭理事長

 「やれることはやってこれていない。そこについては来季の開幕前までに絶対に埋めます」と坂口理事。その一例としては2015・2016年の北米遠征以降、球団によって使い方にばらつきが生まれていた前後期中断期間・約2ヶ月の使い方。来期以降は中断期間の短縮化、長期トレーニング強化期間の設定含め、様々なアプローチを考えています。

 また、今季本格導入された「一球速報」も選手個々の修正点・強みと傾向を照らし合わせ、技術指導に反映させていくことも視野に入れています。

 「ウチはルートインBCリーグと数で勝負しようとは思っていません。数で勝負することに意味はない。ウチはトレーニングや人材育成のメソッドを作り、質で勝負しようと思っていますし、メソッドをリーグで共有化することが大事です」

 「今は胸を張って育成リーグとは言えない」現状認識に立った上での大改革に取り組もうとしている坂口理事長。そこには不退転の決意がうかがえました。

[page_break: 未来・近未来構築と同時に「有望選手確保」への緊急な施策を]

未来・近未来構築と同時に「有望選手確保」への緊急な施策を

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未来・近未来構築と同時に「有望選手確保」への緊急な施策を

 これまでの文章で四国アイランドリーグplusが今後何を志していくかはある程度、ご理解頂けたかと思います。

 ただ、明日、もっと言えば数秒後に状況が一変する現代社会では、未来・近未来の構築と同時に迅速、かつ即効性のある施策を打たなければ、崇高な夢も絵に描いた餅になってしまいます。まず取り組まなければいけないのは「よりNPBドラフト指名に近い有望選手の確保」。これで間違いありません。

 その目標を達成するにはリーグ側が「待ち」の姿勢ではダメです。NPBを目指す選手たちが心を動かすわけはありません。選手たちはシビアにこの2年間のNPB選手指名の実績を四国アイランドリーグplusとルートインBCリーグで比較します。

 その一方で徳島インディゴソックスは9891鎌田 光津希に代表されるように、独自のルートで選手情報のネットワークを確立しています。よって同球団が6年連続NPB指名選手を輩出しているのは決して偶然ではない。必然なのです。

 各球団での独自行動が難しいのであれば、リーグとして「調査部・スカウトグループ」を設置し、少人数で動くのも一案でしょう。選手採用時もリーグ黎明期のように選手たちを一定数はリーグ一括採用して、各球団の指導者に合うタイプを見極め分配していくのもアリでしょう。

 「チャンスは四国にある」。この言葉を継続・存続していくのではなく、セカンドステージとして創生していく。来季節目の15年目を迎え、新たな元号を越えていく四国アイランドリーグplusの挑戦に対し、筆者もできる部分で力添えできればと思います。

(文・寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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