目次

【目次】
[1]アップデートする智辯和歌山野球
[2]「大多数」対「1」を補う野球ノート
[3]野球ノートとともに成長を続ける


 智辯和歌山の敗退は今大会、これまで最大のサプライズだったといえる。 勝った近江は強かった。優勝候補をくだすだけのチーム力があった。 一方で涙を呑んだ智辯和歌山。3年生にとっての夏は終わったが、新チームが持つ潜在的な力は、今チームをしのぐかもしれない。

 2017年から智辯和歌山のコーチに就任したOB中谷仁(元阪神タイガースほか)が、1年次から指導する選手たちが3年目を迎えるのだ。この秋からは監督に就任した中谷仁がコーチ就任時から取り組み始めたものはいくつもあるが、そのうちのひとつに「野球ノート」がある。 球児たちの「グラウンド以外の努力」が表れている、と話題を呼んでいる『野球ノートに書いた甲子園FINAL』より、智辯和歌山の取り組みについて紹介する

アップデートする智辯和歌山野球



選手へノックを打つ、中谷仁コーチ

 智辯和歌山の「野球ノート」は、取り組み始めてまだ1年半。中谷仁がコーチに就任して以降始まった。当時の1年生だった現在の2年生は全員義務付けられ、現在の3年生はふたりをのぞいて自由参加だ。他校にあるような「やり方」もなければ「フォーマット」もない。練習が始まる前に中谷に提出し、練習後に返される、それだけ。

 中谷は、選手がアップなどをしている間に目を通し、コメントしていく。中谷が言う。「野球ノートにかんしてはやったほうがいいよ、ということを言って僕がやらせてもらっているものです」。監督の高嶋は言った。
 「あれは中谷に任せてます」

 かつての師弟関係は、ともに「教える側」と変化したが、そこにある「信頼関係」は変わらない。中谷自身「高嶋野球を選手たちにかみ砕いて教えていく役目」と言うとおり、長い時間をかけて築いてきた智辯和歌山野球をつねに守りながら、時代に合わせてアップデートしていく、その一環に「野球ノート」はあるのだろう。

 特徴的なのは選手からの質問が多いことだ。一般的に「野球ノート」と言えば、問いかけや檄といったアクションが指導者側からなされることが多い。しかし、智辯和歌山の場合は違う。アクションの主体が、選手側にあるのだ。