刈谷工業高等学校(愛知)
刈谷工野球部
ポジティブフィードバックで日々、前進!
■日本史上初のヤンキースとマイナー契約を結んだ野球人を輩出!
愛知県刈谷市に所在する県立刈谷工高等学校。高い就職率を誇り、卒業生の多くは東海圏内の企業へ就職している。OBには、日本人の外野手としては初めてニューヨーク・ヤンキースと契約し、現在は俳優として活動している伊藤 裕正さんがいる。
■刈谷工野球部の紹介
現在、1年生19名、2年生20名の計39名で活動している刈谷工。グラウンドは他部活と共用で、平日は週2日しか野球部優先で使えない環境の下、毎日を過ごしている。そんな刈谷工のウリは、以下の3つだ。
・走る姿
・お互いを褒め合う雰囲気作り(ポジティブフィードバック)
・野球ノート(今日の練習を振り返り、翌日の練習の質を高める)
特にポジティブフィードバックは、些細なことでも、チームメイトを誉めあい、雰囲気をよくする。この方針に則り、試合中では負けている状況でも雰囲気が落ちないように意識をしている。
■秋で印象に残った試合は?
そんな刈谷工の昨秋の戦績を振り還ると、県大会ベスト16に進出。3回戦で中京大中京にコールド負けを喫した。南主将は「自分たちがテーマにしている5項目の『走・攻・守・姿・体』がすべて上でした」と自分たちと強豪校との差を実感した。
だが選手たちは県大会後に行われる中日旗争奪 全三河高校野球大会で成長した姿を見せる。初戦の渥美農戦と対戦し、1対3で敗れていたが、逆転勝利。南 拓斗主将は、「ベンチは最後までポジティブフィードバックを繰り返し続けた結果、9回表に2点取り同点に追いつくことができました。そして延長10回に勝ち越して逆転勝ちできたこと。精神的にも鍛えられている渥美農さんに、自分たちの野球で終盤競り勝てたことは自信となりました」と振り返った。
■新チームを引っ張ってきた選手は?
目標は東愛知大会優勝と掲げる刈谷工。その目標を達成するべく、南主将は多くのキーマンを紹介してくれた。
・大畑 慎吾二塁手 渥美農戦で逆転タイムリーを打つ活躍。
・上野 達也投手 エースとして粘り強く抑えてきた左腕。打者として勝負強い打撃を見せる。
・大塚 玲雄選手 盗塁技術が長けた選手。
・三浦 雅弘選手 外野からの声かけ、新チーム公式戦初戦でのホームランやタイムリーを打つ活躍を見せる。
・杉本 和樹選手 1年生ながら攻守で実力あるプレーヤー。
・石川 拓志選手 地区予選の吉良高校戦で、延長11回、代打初球勝ち越しホームランを放った。
さらに南主将は今後の大会へ向けて、内山 龍選手、山下 達也選手、東川内 悠兵選手、村山 哲汰選手にも期待している。その中で最も期待できる選手は?と聞くと、
大塚選手を挙げてくれた。
「大塚はチームトップクラスの俊足です。だけれど攻・守・姿・体すべてにおいてチームのトップクラスになって欲しい。さらに自慢の俊足を生かすために、小技を織り交ぜてチームに貢献してほしい」と期待を込めた。
■この冬の意気込み!
このオフシーズンでは「出力強化」をテーマに取り組んできた。南主将は「指示・指摘・確認など、気づき考えたことをどんどんアウトプットして、雰囲気を高めていくことがテーマです。これまで定期的にメンタルトレーニングを実施し、自分たちの現在地を確認し、東愛知大会を制覇するためのビジョンを明確にしていき、日々の練習を積み重ねきました。
厳しいオフのトレーニングの中で名物練習として挙げてくれたのは、アメリカンティーゲッツー。
これは塁間を左右に振られた打球を捕球し、塁間のやや後方中央にいる選手に向けてステップ・スローをする。これを何本か繰り返し、何セットか行う。
基本は5本連続を10セット行い、球際に強くなるための練習でもあり、一番は、捕球後しっかり投げる方向に対してステップしてスローをする練習となっている。
打者は選手で、ティーで塁間を左右に振るので、打ち分けの打撃練習にもなっている。いよいよ冬が明け、公式戦も近づいてきた。
最後の南主将は「僕たちは試合を意識した冬にしてきました。これからも緊張した状態で練習をやり、公式戦でもしっかり出力して雰囲気を作れるようにして、夏には東愛知大会を制覇して、甲子園に行きたいです!」と力強く宣言。
メンタル改革で、チーム力を高めてきた刈谷工。オフの成果をしっかりと発揮したい。
試合中の雰囲気の良さに注目!!
素振りをしている刈谷工の選手たち
ここからは、刈谷工の副キャプテン・内山 龍三塁手、内野手リーダー・大畑 慎吾二塁手、外野手リーダー・東川内 悠兵外野手、メディカルリーダーの土井 義伸投手にお話を伺いました!
Q.秋の大会や練習試合が終わって見つけた課題を教えてください。
内山:まず打撃はボール球に手を出してしまうケースが多かったので選球眼を養う練習をしていきたいです。守備での送球をもっと安定させたいです。
大畑:ゲッツーの精度の低さや、球際の強さが課題です。あとは、ミスした後の切り替えができないところです。
東川内:秋の大会や練習試合では、ボールの見極めができていなくて、タイムリーが少なかったことと、走塁では塁上でアウトになりチャンスを潰すことがあったので、打撃と走塁が課題ということが分かりました。
土井:一人ひとりの、走攻守のレベルアップ。どんな状況の試合でも一試合戦いきるための練習での集中力が足りないと感じました。
Q.このオフシーズンの目標、強化したいことを教えてください
内山:守備、打撃の精度を高め、安定感を身につけたいです。そして攻守の技術面を強化してきました。
大畑:足腰の強さや、バッティングでのパンチ力です。さらに守備の精度も強化してきました。
東山内:毎日の練習の終わりに「やりきった」と思えるように一日一日を自分の100%でやりきる。走攻守の技術を上げることと、体をもっと大きくすることをテーマに取り組んできました。
土井:身体を大きくすること。さらにコントロールと変化球の精度を高めることです!
Q. 応援する方々へアピールしたいセールスポイントは?
内山:元気の良さを見てください!
大畑:バッティングです!
東山内:走攻守の中で守備が一番得意なので、守備を見て欲しいです。
土井:全力プレーと指示や試合に出ている9人への声かけや応援の声です。
Q.チームの好きなところや、他のチームに負けていないところはどこですか?
内山:仲が良く、試合で負けていても雰囲気を上げることができ、自分たちの空気感を作ることができるところです。
大畑:攻守交代の時だけでなく、凡打でアウトになった後も、ハイタッチでベンチが迎え入れるところです。(走る姿が悪かった場合はハイタッチでの迎え入れはありません)。そしてピンチでもチャンスでもミスした後でも頭の中は常にポジティブなところは負けません。
東山内:このチームの好きなところはちょっとしたことでも褒めてくれるところです。アウトになっても一塁まで全力で走ったらベンチにいる全員がハイタッチで迎えて褒めることで、負けていても自分たちの雰囲気でやれるということが他のチームには負けていないところです。
土井:試合での打撃後の全力ダッシュ、ベンチの雰囲気の良さ、全員が全員を褒め合えるところです!
Q. このオフシーズン、「自分はここまで成長するぞ!」という熱い意気込みをお願いします!
内山:仲間から信頼される絶対的三塁手になることです。
大畑:ワンプレーで流れを変える二塁手になります!
東山内:自分はこの冬、「走攻守」三拍子揃え、仲間に信頼される選手になります。
土井:自分に自信を持ち、信頼されるピッチャーになります!
内山選手、大畑選手、東山内選手、土井選手、ありがとうございました!
[page_break:戦うのは相手ではなく、自分だ]戦うのは相手ではなく、自分だ
障害物を乗り越える刈谷工の選手たち
ここからは中田 雄太監督にお話を伺います!
Q. 今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。
まず練習内容では、いかなる状況、環境においても今日の一生懸命を出し切ることを意識させて取り組ませてきました。試合時には、相手に勝つことをテーマにせず、その日の対戦校さん相手に、自分たちの力が今日何パーセント出せたかをテーマにして試合を戦わせてきました。
我が野球部ではポジティブフィードバックが原則としており、できていることを全員が評価し、全体の雰囲気を上げていく。そのためには、各個人の出力強化もテーマとなります。
そのため野球ノートの活用(提出)しています。気づきや考えたこと、新たに覚えたことなどを毎日野球ノートに書いてもらい、明日の練習へテーマを繋げることを意識しています。野球ノートへのフィードバックで練習の質を高め、量をカバーすること。私自身、野球ノートを読むと、その選手の近未来が想像できます。
秋季大会を通じて全員が技術不足を実感したので、毎年のことですが、冬の練習は技術練習主体で、その中にトレーニング要素を入れ込んでいくスタイルになります。常に野球の動きを絡めた内容を心掛けています。
Q. 厳しい冬の練習に挑んでいる選手たちにメッセージをお願いします!
未来の自分にワクワクする練習を繰り返そう!
中田監督、そして刈谷工高校野球部の皆様ありがとうございました!
今年も大好評!
【冬が僕らを強くする 特設ページ】
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!