Column

藤岡中央高等学校(群馬)

2018.01.24


練習の様子(藤岡中央)

創部13年目で21世紀枠候補に

■前橋育英から勝利を挙げ、初の県4強へ
 群馬県藤岡市にある群馬県立藤岡中央高等学校は、藤岡高と藤岡女子高の閉校に伴い、2005年に新設校として創立。現在、全日制は普通科と理数科が設置されている。野球部は昨秋の群馬大会で県内公式戦33連勝中だった前橋育英を破り、創部以来初の4強入り。少人数ながら工夫した練習で好成績を挙げつつ、文武両道を掲げて学習にも力を入れていることなどが評価され、今春のセンバツ大会における21世紀枠の関東地区候補に選出されている。

■藤岡中央野球部の紹介
 野球部は2年生14名、1年生10名の計24名。「全力疾走。全力発声。そして、ピンチのときこそ笑顔がセールスポイント」と話す下田 匡希主将のもと、新チームは関東大会出場を目標にスタート。打撃では1日1500スイング、守備では内野150捕球、外野100捕球をこなしチームを強化している。


ティーバッティングをこなす(藤岡中央)

■秋季大会を振り返って
 関東大会出場を懸けた群馬大会の準決勝で関東学園大付と対戦。「8回表まで4対0でリードしていたのに、その裏4点を返されて同点。最後は延長でサヨナラ負けと今までにない屈辱的な負け方をしてしまいました。その試合が最も印象に残っています」と、下田主将。しかし、「あと一歩が遠いこと。目標は一歩手前で落とし穴があることを学びました」と敗戦から貴重な教訓を得たようだ。

■新チームを引っ張ってきた選手は?
 秋季大会を通して投げぬき、チームを支えたエースの門馬 亮投手。準決勝の関東学園大付戦で適時三塁打とスクイズで2打点を挙げた高橋 紀史選手。5割を超える打率を残し、イニングの先頭として出塁し多くの得点に結びつけた杉本 丈一郎選手が活躍。今春から夏に向けては永尾 大河選手、鈴木 優典選手らにも期待がかかる。また、高桑 磨央選手は、声でチームの空気を一瞬で明るくすることができるムードメーカーだ。

■この冬の意気込み!
 このオフシーズンは「基礎筋力の向上」「2枚目の投手の向上」「振れるチームになること」をテーマに練習に励んでいる藤岡中央。下田主将は「全体的に基礎的な筋力が足らず、振りが弱かったり、肩が弱かったりとまだまだ個が弱い状況になっています。そこで、この冬の間に全員が〈身長-体重〉の数値を100から95にして基礎能力の向上に努めたいです。そして、バットを振り続けて春と夏はチーム打率が4割を越えるようにしていきたいです」と目標を掲げている。

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[page_break:楽しく野球ができているけど、楽はしない]

楽しく野球ができているけど、楽はしない


打撃練習の様子(藤岡中央)

 ここからは、門馬 亮副主将と鈴木 優典キャプテン職補助役のお二人にお話を伺いました!

Q.秋季大会などを経て、見つけた課題を教えてください

門馬:肩周りの柔軟性と投球数です。
鈴木:守備や攻撃におけるサインプレーの連携。一つのミスが連鎖してしまうところ。打率が低いところです。

Q.このオフシーズンの目標、強化したいことを教えてください

門馬:肩関節と股関節の柔軟性をつける。基礎筋力を向上させる。バランス力の強化。ストーレートのキレと球質を上げることです。
鈴木:打撃面では長打力を上げること。捕手としては握り替えを速くすること。そして、統率力もつけたいです。

Q. 応援する方々へアピールしたいセールスポイントは?

門馬:堂々と投げている姿を見てほしい。
鈴木:野球を楽しんでいるところとピンチのときも笑顔でリードするところです。

Q.チームの好きなところや、他のチームに負けていないところはどこですか?

門馬:楽しく野球ができているところ。でも、楽に楽しもうとはしないところです。
鈴木:試合など野球全体を楽しめるところです。

Q. このオフシーズン、「自分はここまで成長するぞ!」という熱い意気込みをお願いします!

門馬:球速を140キロ後半~150キロに上げ、関東No.1投手になります!
鈴木:4番打者になり、群馬県NO.1捕手を目指します!

門馬選手、鈴木選手、ありがとうございました!

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[page_break:人の成長なくして技術の成長はない]

人の成長なくして技術の成長はない


投球練習の様子(藤岡中央)

 古平 一貴監督にお話を伺いました!

Q. 新チームが始まってから、どのようなテーマをもってチーム作りをされて来たのでしょうか?

 新チームには1年の夏から投げている投手の門馬がおり、ある程度の信頼感があったので、チームの課題は打撃だと考えました。
 そのため、新チーム始動時から野手陣は一日1500スイングという選手にとってはたいへん辛いノルマを設定。また、打撃がチームの課題なのでそれ以外の練習は「余分な練習」とし、その余分な練習の中に課題があるのならノルマを達成した後に「必要不可欠な練習」として位置づけて行う事としました。それは何故かというと、野球は打守走と多岐にわたり、やろうと思えばすべてに時間を割かなければなりません。しかし、秋の大会まで1ヶ月半しかないなか、チームが勝利を手にするためには今求められるもの(打撃)に照準を絞ろうと考えたからです。その結果、ノルマを達成した選手は「『これだけやった』という事実が自信になって大会でも打席に立てた」と言っていましたし、それまで「余分な練習」だったものが「必要不可欠な練習」へと考えが変わったことで、より真剣にノルマ後の練習に取り組むようになりました。
 また、練習試合に関しては「『間抜け』にならないこと」と「先取点を奪うこと」をテーマとしていました。最初のテーマは高崎商の富岡先生から教わったことで、野球独特の「間」を「魔」にせず詰めていくことで、自分たちのスピードで野球をすることを徹底しました。先制点に関しては、勝ち上がった経験がないチームなので、試合を少しでも優位に進めるために必要な事だと考えました。また、テーマに位置づけることで、先制点を取ったとき、チーム全体に勢いが付くことも狙いでした。

Q. 昨秋の大会を振り返り、冬の強化ポイントを教えてください。

 秋の大会を振り返ると本当に一戦一戦、一歩ずつと言う表現が正しかったと思います。勝ち慣れていないチームなので、先を見ずに目の前の試合に全力を注ぐだけ。そのなかで、勝ちながら自信をつけて自分たちの野球を少しずつ地道に作っていけたように感じました。ただ、準決勝の関東学園大付戦で4対0とリードを広げた時、チームの目標である「関東大会」を指導者も含めて見てしまい、そこに落とし穴がありました。ただ、あの試合に負けた後のほうがチームの吸収率は上がった気がします。そして今後も、春や夏の大会を終えた時に「あの敗戦は、必要な敗戦だった」と思えるように、日々を過ごしていきたいと思います。
 この冬は、心と体の面で「4つの柱の徹底」(1.挨拶、2.全力疾走、3.考えて行動する、4.人の嫌がることを率先して行う)、技の面では「1点へのこだわり」がテーマです。人の成長なくして技術の成長はないので、まずはしっかりと一人ひとりを磨いていくこと。さらに、技術面では攻撃も守りも1点にこだわるためにまずは基礎技術の徹底と強化を行い、自分たちが確実にできることを増やしていこうと考えています。これらは選手間ミーティングで選手自らが決めたことなので徹底して行っていこうと考えています。一回りも二回りも成長して春を迎えたいと思っています。

Q. 厳しい冬の練習に挑んでいる選手たちにメッセージをお願いします!

 まずはセンバツ大会の21世紀枠で関東地区から推薦されたのですから、何事にも責任をもって行動すること。そして、毎日野球ができることに感謝し、関わってくれている方々に感謝して、「有り難う」の気持ちで辛い思いを乗り越えていこう!


今年も大好評!
【冬が僕らを強くする 特設ページ】
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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