Column

むつ工業高等学校(青森)

2018.02.08


トレーニングの様子(むつ工)

名将の下でレベルアップ。8強の壁は越えられるか

■青森・下北半島から魅せる全員野球
 青森県の北東部、下北半島にあるむつ工業高等学校。同半島で唯一の工業高校であるこの学校は、北国の冬という環境で、どのように心技体を磨き上げているのだろうか。

 むつ工の野球部は、現在2年生14名、1年生10名のチーム構成。3年生が引退し、新チームがスタートした時に掲げた命題は、「執念、徹底、泥臭く」。そして、「地区大会を第一代表で突破し、県大会出場」を目標とし、鍛錬を積んだ。
結果として、彼らはこの目標を突破する。秋季青森県大会の地区予選を無敗で勝ち抜き、当初の目標通り、第一代表として県大会に駒を進めたのだ。ここでの第一代表決定戦となる大湊との一戦は、選手たちにとって印象に残る試合となった。伊勢田 和磨主将は語る。

 「序盤からリードを許し、追いかける苦しい展開だったのですが、終盤に逆転して勝利することができました。苦戦する中でも、ベンチの雰囲気も良く、途中出場の選手が活躍したり、チームのスローガンである『全員野球』を体現できたことが良い収穫でした」


伊勢田和磨主将(むつ工)

■主将が期待を寄せる選手
 県大会では強豪・八戸学院光星の前に屈し、初戦敗退となり悔しい思いもしたが、掲げた目標を達成し、狙う自分たちの野球を実現できたことは、一つ成功体験として残った。
伊勢田主将が、この秋の戦いで活躍したと評価をするのは布施 雄大投手(1年)。「試合の終盤で投げる場面が多く、苦しい場面でよく抑えてくれました。打撃でもチャンスの場面で打ってくれ、投打で大きく貢献しました」という。
主将が期待を寄せるのは川口 龍聖選手。ぽっちゃりした体型から、鋭いスイングを見せる彼は、チームトップのスイングスピードを誇る。伊勢田主将は、「ホームランやチームを勝利に導くチャンスでの1本を期待したいですね。また、引き締まった体になることも期待したいです」と語る。


ストレッチ(むつ工)

■「克己」の心と強い体
 夏にはさらに上、甲子園の舞台を狙うため、「スイングスピードの強化・筋力アップ」を課題とし、この冬徹底的にトレーニングを重ねているむつ工。雨天練習場設備は所有しておらず、この時期は近隣にある「克雪ドーム」を借り、そうでないときは、学校の校舎内などを工夫して活用する。

 学校の校舎を活用したメニューでは、廊下での「ロングダッシュ」がその一つとして挙げられる。というのも、この廊下は直線距離で150m以上あるきわめて長いもので、一本走るだけでも負担は大きい。これを往復55秒以内に全力ダッシュすること10本。体力だけではなく精神力の勝負にもなってくる。名物練習ともいうべきこの厳しいメニューで、心と体を地道に鍛えているのだ。

 北国の冬という、極めてハードかつ環境が限られる中で、工夫しながら心身を静かに磨くむつ工。伊勢田主将は「秋以上の成績を残すため、自分を追い込んで、厳しい冬にする」とその意気込みを語った。

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[page_break:選手に聞く今後の課題]

選手に聞く今後の課題


倉内康伸(むつ工)

ここからは、2年生のお二人、倉内 康伸(くらうち・こうしん)外野手と、ランナーコーチを務める舘 甲汰(たて・かぶと)外野手にお話を伺いました!

Q.秋の大会や練習試合が終わって見つけた課題を教えてください。

倉内:全般的に打撃力がなくチャンスで打てないことから、今年の冬は筋力や体幹を鍛え、打撃力を向上させたいと思います。
舘:コーチャーとして、判断力を身に付けないとランナーのスタートが遅れてしまうことがあります。チームメイト一人ひとりをしっかりと見て、どのような選手なのかを理解していくことを課題にしています。

Q.このオフシーズンの目標、個人的に強化したいことを教えてください。

倉内:打撃力をつけること、肩を強くすること、体を大きくすることの3つです。打撃ではスイングスピードをさらに早くしていきたいと思います。
舘:個人として、しっかりと筋力アップをしていこうと思います。


舘甲汰(むつ工)

Q. 応援する方々へ自分のここを見てほしいというのを教えてください!

倉内:負傷を恐れず、体を張ったプレーをするところです。
舘:判断力です。

Q.このチームの好きなところは、または他のチームに負けていないところはどんなところですか?

倉内:無邪気に野球を楽しみながらできているところです。また、メリハリを持って練習に取り組むことができているところもいいところだと思います。
舘:一人ひとり元気があり、練習中や試合中も声を出すところです。

Q. このオフシーズンで『自分はここまで成長するぞ!』と、いうこの冬の熱い宣言を最後にお願いします!

倉内:個人的に強化させたい部分を向上させ、チームを引っ張っていける選手まで成長する!!
舘:コーチャーとしてだけでなく、選手として試合に出たいので、体を大きくするだけでなく技術も身に付けていきます!!

倉内選手、舘選手、ありがとうございました!

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[page_break:監督が語るビジョンとメッセージ]

監督が語るビジョンとメッセージ

 佐々木 直輝監督にお話を伺いました。


ストレッチ(むつ工)

Q. 今年のチームは、新チームが始まってからどんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。

 スピードです。走塁はもちろんですが、守備におけるスピードを大事にしています。加えて、当たり前かも知れませんが、攻守交代の全力疾走などもそうです。
 冬は、筋力アップとスピードアップのためにウエイトトレーニングやダッシュなどだけでなく、関節などの可動域の拡大などにも取り組んでいき、全ての面においてレベルを上げていかないと通用しないと考えています。

Q. 最後に、これから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。

 冬の地味な練習が、未来の自分をつくる。

佐々木監督、むつ工野球部の皆様、ありがとうございました!


今年も大好評!
【冬が僕らを強くする 特設ページ】
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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