糖質の重要性を考えよう!
前回は、「ビタミン(D)の重要性」について説明をしました。今回は糖質!その中でも私が特に重要視しているのは、ご飯のあり方!今回は、日本人の主食「ごはん」について解説していきます。
そもそも糖質とは?
糖質とは砂糖をはじめとした“甘いもの”だけでなく、ごはん、いも類に含まれるデンプンも糖質の仲間です。糖質は体の主要なエネルギー源です。消化・吸収されて血液といっしょに全身をめぐり、体の中で1gあたり4kcalのエネルギーになります。
特に脳では血液中の糖質(ブドウ糖)が主なエネルギー源なので、極端に糖質が不足すると意識障害などがおこることがあります。車でいうガソリンの役割をしてくれます。
また糖質は、同じエネルギー源でも脂質やたんぱく質と比べると、すばやく使えるという特長があり、フルマラソンやトライアスロンなど長時間の運動には主に脂質が使われますが、短時間の運動や瞬発系には糖質からのエネルギーが使われます。
糖質の体内での存在量は意外に少なく、血液中のブドウ糖のほか、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして少量を貯蔵しているだけです。すぐ使う量以上に食べた糖質は、体の中で脂肪となって蓄積されてしまいます。
なぜ、糖質「ご飯」が重要なのか?
ご飯は体づくりに欠かせない
運動時に体内でエネルギーとして使われているのが炭水化物(糖質)です。運動強度が高くなればなるほど、体内で使われる炭水化物(糖質)の比率は上がります。筋肉をたくましくしたり、体作りをする上で、材料として欠かせないタンパク質もバランスよく摂ることで、より運動やトレーニングの効果を期待できます。
筋肉の合成の助けをしてくれる?
トレーニングに必要なエネルギーを炭水化物(糖質)から摂取することで、体内のタンパク質の分解抑制を期待できます。炭水化物(糖質)が不足している状態だと、体内のタンパク質を分解することでエネルギーが作り出されます。
本来、タンパク質は筋肉を作るための材料として使われるので、筋肉が合成されにくくなってしまいます。運動時に必要なパワーを発揮するためにはエネルギー源が十分に満たされていることが必要です。
炭水化物(糖質)は筋肉や肝臓でグリコーゲンになってエネルギー源として貯蔵され、必要に応じて消費されます。また脳・神経系は炭水化物(糖質)を唯一のエネルギー源としているため、十分に摂取して行うと集中力を保ち、高強度のトレーニングにも良い効果をもたらしてくれるでしょう。
運動の約3時間前に糖質を含んだ十分な食事を摂ると、運動に必要なエネルギー源となる筋グリコーゲンの量を高めておくことが期待できます。長い練習時間でもスタミナが持続しやすく、運動強度が高いトレーニングもこなしやすくなります。(グリコローディングという方法もあります。)
また、筋グリコーゲンが運動の強度に対して不足している状態だと、筋肉を増強するためのエネルギーが備わっていないため、本来適した強度まで追い込むことができず、筋肉を大きくすることが難しくなります。
空腹感があるまま運動を始めることは避け、もし食事が取れなかった場合でもドリンクやゼリー飲料などを活用し、炭水化物(糖質)を摂るよう意識しましょう。
運動で、枯渇した筋肉中のエネルギー源の回復は運動後約1時間付近がピークといわれます。筋肉を作るためのタンパク質とともに、エネルギー回復のための炭水化物(糖質)を合わせて摂りましょう。運動の終了後速やかに糖質を摂取することは、筋グリコーゲンの回復を促し、筋タンパク質の分解を抑制します。
すぐに食事がとれない場合は、直後に補食としておにぎりやバナナなどを活用し体タンパク質がエネルギーに変わることを抑制し、2時間以内にしっかりとした食事を摂ることが理想的です。
どれぐらいの量が必要?運動量・及び種目によって、使われる筋肉の特性が違うため必要な量も異なります。筋力・瞬発系の無酸素運動目の場合は6g×体重(kg)、持久系の有酸素運動の場合は7~10g×体重(kg)を目安に摂取することが推奨されています。
しかし、アスリートにとって“ただの糖質”を摂取することは、非常にもったいなことだと思っています。日本人が多く食している「ご飯」もその1つです。精製された白米は、栄養価としては低いです。主食を白米としてしまうと、おかずを何品も揃えなければアスリートの食事には、物足りなくなってしまいます。そこで、私は、雑穀米や玄米の摂取を進めています。
玄米だと、消化に悪いので試合期やシーズンには向きません。雑穀だとビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で胃腸の調子も整えてくれ、コンディションの向上が望めます。
和食は、特別な日にいただく「ごちそう食」だけでなく、ごはんと汁物を中心とした「日常食」を組み合わせることが日本型食生活であり、和食文化の原点です。この和食は、すでに世界一健康な食事であると国際的にも評価を得ています。疾病などの改善だけでなく、生活習慣病の予防にもたいへん効果的だといわれています。
生命力の高い、中身のつまった食材をていねいに選ぶこと。季節の移ろいを感じながら、旬の味覚を味わうこと。生産者の想いがこもった、産地の食材を手に取ること。このように、日本という豊かな国に生きる私たちは、誰でも日々の食事が楽しくなる工夫をすることができます。
雑穀もその1つです。良いものを選びパフォーマンスを上げ、怪我も防ぐ。その為には、必ず必要なことだと思います。
文=久保 翔平 (カラダツクル株式会社代表取締役)