3年生座談会 安田学園高等学校(東東京)「降雨ノーゲーム、そして悔しい敗戦」【後編】
NPBで2000本安打を達成した阿部慎之助(巨人)を輩出し、2013年にはセンバツ甲子園にも出場した安田学園。今夏は東東京大会の4回戦で敗退となったが、主力として活躍した3年生に昨秋からの1年間を振り返ってもらった。
後編では夏の大会の模様を振り返っていきます。
<メンバー>
牧野 陽太:主将、左翼手
小山 亮裕:副主将、捕手
渡部 賢也:副主将、中堅手
篠塚 勇汰:投手
森 航洋:投手
中川 航太:投手
初戦の相手は強豪・岩倉
座談会の様子
――いよいよ夏の東東京大会についてですが、初戦となった2回戦は強豪の岩倉と対戦しました
渡部:最初に聞いた時はみんな不安になったのですが、すぐに気を取り直して、その後は練習試合に集中して臨むことができました。
牧野:まさか初戦から岩倉のような強いチームと戦うとは思っていなかったのですが、甲子園で優勝経験があるチームと試合ができることは嬉しいことなので、胸を借りるつもりで戦おうと思いました。そして、試合前のミーティングでは「自分たちのやれる事をやって、納得できる試合にしよう」と話したことを覚えています。
――この試合は中川投手と小山捕手のバッテリーがスタメンでした
小山:岩倉はスタメンの7人が左打者だったので、中川のツーシームを多用したのですが、狙い通りショートゴロがとても多かったですね。
中川:5回で足がつってしまい交代したのですが、それまではテンポ良く打たせて取るピッチングができました。
牧野:中川が本当に良いピッチングをしてくれてピンチを招くような場面もなかったので、そのリズムの良さが5回の5点というビッグイニングにつながったのだと思います。
――9回には渡部選手がダメ押しの2ランホームランを放ちました
渡部:チームにはいつひっくり返されるか分からないという雰囲気があったので、点差はありましたが常に緊張した状態でした。ホームランは狙っていた訳ではないのですが、初めて外寄りのボールをレフトスタンドに入れることができたのでアドレナリンが出ていたのかもしれません。ただ、この試合に関してはエラーがなかったことも勝因の一つなので、ノックの成果を出すことができたと思います。
牧野:あと、試合前のシートノックの時からスタンドが全力で校歌を歌ってくれて、とてもリラックスできました。3年生部員のうち4人がベンチ入りできなかったのですが、彼らが悔しい気持ちを隠し、頑張って1、2年生をまとめてくれていたので、そんな応援の力も大きかったと感じています。
降雨ノーゲーム、そして悔しい敗戦
座談会の様子
――続く3回戦の芝戦は森投手と篠塚投手の継投で快勝でした
森(航):前日に先発を言い渡されて自信も不安も緊張もあったのですが、岩倉戦を見て投げたいという気持ちが高まっていましたし、篠塚の負担を減らすためにも一球でも多く投げようと考えていました。ピッチング内容はあまり良くなく、5回途中で交代しましたが悪いなりに投げられました。
篠塚:自分も調子はあまり良くなかったのですが、勝つことが大事なので、しっかり踏ん張れたかなと思います。
――そして、4回戦の東亜学園戦は降雨ノーゲームとなり再試合となった
牧野:4回表に2点を先制して、さらにチャンスという場面だったのですが、雨で試合が流れてしまいました。勝っていた試合が仕切り直しになってしまい、上手く気持ちが切り替えられなかったのかもしれません。
中川:ノーゲームは初めての経験で、再試合も前日と同じように臨んだつもりでしたが初回に先制され、2回には3連打で3点を取られてしまいました。
小山:ノーゲームになった試合ではツーシームや手元で動くストレートを簡単に打ち上げていたのが、翌日はライナー性の打球になっていました。中川が言うように、中川の投球が変わったというよりは、相手の東亜学園の打線が変わったという印象でしたね。
――結局、試合は1対5で敗戦
渡部:先制されたことで焦ってしまい、打線がつながりませんでした。岩倉戦は良かったのに、あとの2試合は成果を出せなかったので悔いが残っています。
牧野:7回に1点を取った後、さらに満塁のチャンスで打席に立ったのですが三振。監督の期待に応えることができず、今も「あの場面で打っていれば」と思うこともあります。でも、自分としては全力を出した結果だったので満足しています。
小山:試合に負けた時は何も考えられない状態でした。でも、応援席の前へ行ったら悔しさと申し訳なさがこみ上げてきました。
篠塚:自分は8回から登板したのですが、負けていたのでなんとか流れを変えようとしたのですが……。もっと上に行けると思っていたので残念です。
安田学園野球部で過ごした2年半を振り返って
「夏まであっという間に時間が過ぎてしまいます。だから、準備を怠ることなく頑張ってもらいたい」
――安田学園野球部で過ごした2年半を振り返って
中川:夏の大会では吐いてしまいそうなくらい緊張しましたが、そんななかで投げられたことは今後の自分にとって大きな自信になると思います。
小山:安田学園で野球をすることで、周囲の人とのつながりが大切だと学びました。自分ひとりでは何もできませんから。
森(航):自分は、森泉監督に「ずっと使うから」と言ってもらえて、その期待に応えたいという思いでやってきました。調子が悪い時も、点を取られた時も頑張れたのは監督のおかげです。
篠塚:安田学園で尊敬できる監督に出会うことができて、みんな「やってやろう」という前向きな気持ちで野球ができたと思います。
渡部:森泉監督からは授業中など「普段の生活態度をおろそかにすると野球も上手くいかない」と、教わりました。野球はもちろんですが、野球だけでなく何事にも一生懸命に取り組む姿勢を学ばせてもらいました。
牧野:森泉監督やコーチの方からは挨拶や掃除など社会に出てから人として必要になることを教えていただきました。そして、今、振り返ってみると良い仲間たちと野球ができたなと感じています。
――最後に牧野主将から後輩へメッセージを
牧野:秋の一次予選が始まったら、夏まであっという間に時間が過ぎてしまいます。だから、準備を怠ることなく頑張ってもらいたいです。
(取材・写真=大平 明)
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