Column

週刊せり高校野球『浦和学院の野球は心の足並みを揃えた全員野球だ!』

2017.05.28

 皆さん、こんにちは!『バトルスタディーズ』×高校野球ドットコム「強い者にはワケがあるキャンペーン」公式レポーターの芹 玲那です。

 春季関東地区大会浦和学院の2年ぶり6度目の優勝で幕を閉じましたね!
決勝は浦和学院vs東海大相模という全国屈指の名門校同士の対決となりましたが、3対2と一点を争う好ゲーム。
試合レポートからも両校がこの関東大会で成長を遂げたことが伝わってきて、ますます夏の大会が楽しみになりました!
残念ながら決勝を観ることはできなかったのですが、私は大会第2日目と第3日目の[stadium]水戸市民球場[/stadium]で行われた試合を観戦することが出来ました。
今週の週刊せり高校野球は、春季関東大会レポート前編をお届けします!

私が浦和学院を注目した理由

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優勝した浦和学院

[stadium]水戸市民球場[/stadium]と[stadium]ひたちなか市民球場[/stadium]、2つの会場で行われた春季関東大会
2日間観戦予定だったので当初それぞれの球場に行く予定でしたが、予定を変更して2日とも[stadium]水戸市民球場[/stadium]へ行くことにしました。
それは何故かって?
同じチームを観戦し続けることでいろいろなものが見えてくると思ったんです。
試合を重ねるごとにチームとして強く、個々としても成長していく選手たち。
前の試合で「悔しい」と語ったことを翌日どう修正してくるのか――。
監督からの期待の言葉にどう応えるのか――。
夏に向けてさらに熾烈になっていくレギュラー争いの中で、選手たちとってこの大会にかける思いはとても強いものがあると思います。

そして、私が注目したチームは―――
優勝した浦和学院です!

浦和学院といえば埼玉屈指の強豪校で、甲子園出場回数は春夏通算22回と県内最多。

2013年春のセンバツ
では、小島 和哉投手を擁し見事初優勝!
悲願の優勝に喜ぶ選手たちの姿は皆さんの記憶にも残っているのではないでしょうか。
この春、春季埼玉県大会5連覇という偉業を成し遂げて、関東大会出場への切符を勝ち取りました。
学校はさいたま市にあり、1978年野球部創部。
現監督である森士監督(上尾―東洋大)は、1991年27歳という若さで浦和学院の監督に就任。
浦和学院を全国屈指の強豪校へと育て上げ、2009年にはAAAアジア選手権の日本代表(関東センバツ)監督も務められました。
現在のストライプのユニフォームは、森監督が日本代表を率いた記念で作られ、練習試合で着用されていましたが、監督就任20年目を機に2010年秋季関東大会から正式ユニフォームに採用されました!

[page_break:今年の浦和学院は試合を重ねるごとに成長する]

今年の浦和学院は試合を重ねるごとに成長する

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近野佑樹(浦和学院)

この春季関東大会で“絶対に浦和学院の試合は観たい”と思ったのは、春季埼玉県大会を観戦したことに加え、監督と選手の試合後の言葉がとても気になっていたからです。
埼玉県大会2回戦で早くも激突した聖望学園戦では、5対4で逆転勝利しましたが、森監督は試合後の取材で「完全な負けゲーム。運だけで勝てた。神様がもうちょっと試合しろということだったと思う」と語ったそうです。
そして勝ち上がり、準決勝では昨夏敗戦した市立川越との因縁の試合。
この試合を観に行けなかったことをすごく悔やみました…。
この大事な試合の先発を任せたのは、近野 佑樹投手(2年)。なんと初先発!
見事6回無失点に抑え、監督の期待に応えました!
森監督も「近野は初先発でしたがよく投げてくれた」と、野手陣に対しても「試合までにいい準備をし、打撃陣は試合途中に修正能力を見せてくれた」と笑顔で話したそうです。
この記事をみて私は、
試合を重ねるごとに成長している選手たちのプレーを見たいと思いました。
そして、“成長する浦和学院“の選手たちが試合前にどんな準備をしているのか、近野選手や佐野 涼弥選手ら2年生の活躍も光る浦和学院のチーム作りのポイントを知りたいと思いました。

以前、塩澤 太規選手(佐久長聖・現エース)へのインタビューで「下級生として唯一出場した甲子園でプレッシャーはありませんでしたか?」と伺うと、
「プレッシャーはありましたが、先輩が“頼ってくれていいぞ”という環境を作って下さった。」と投球に集中できたことを語って下さったんです(関連記事)。
この時のお話を聞いてから私は、“強いチームの秘訣”に下級生も伸び伸びとプレーできるような環境作り、先輩から代々受け継がれているチーム作りがあるのでは、と考え、試合観戦の中でもその秘密を探すようになりました。
後輩に声をかけ引っ張る上級生、期待に応えようと奮闘する下級生――。
試合観戦を重ねていくと、チームの雰囲気がどんどん良くなっていくのを感じるようになり、プレーとはまた違うところで球児たちの野球への向き合い方を見つけられる。
そこでまた新たな高校野球の魅力を私は感じるようになりました!

この春、浦和学院の試合を観戦出来たのは3試合。
埼玉県大会決勝のvs花咲徳栄戦、関東大会2回戦のvs横浜戦、準々決勝前橋育英戦。

まず最初に目を惹いたのは、チームの徹底された無駄のない動き!
“全員野球”をモットーとしている浦和学院
全員で行うストレッチや息の揃ったランニング。これは多くの学校で行われていますが、浦和学院は練習や試合中の礼から始まり、全ての所作がビシッと決まります。
例えば、シートノック前の整列。
ホームベース横から綺麗に列に並び、「気をつけ!礼!」の号令で着帽、深く一礼してから「お願いします!」と全員で声を出しグラウンドに駆け出します。
私が観た3試合全て、寸分の狂いもない整列でした。
スタンドにいる部員たちもシートノック前からしっかり声出しの準備をして、グラウンドの選手たちと同じように声を出しています。
終了後も全員がしっかり整列したのを確認して「ありがとうございました」!
試合中も監督の言葉ひとつに、大きな声で「はい!」と声を揃えて返事をします。

[page_break:浦和学院の“全員野球”に注目!]

浦和学院の“全員野球”に注目!

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浦和学院ベンチの様子

それから応援席の部員たちは必ず観衆、保護者の方々、吹奏楽部など応援に駆け付けたそれぞれの方に挨拶をします。
スタンドは必ず大きな拍手に包まれるんです!
グラウンドの選手たちと同じように一生懸命闘った応援団の感謝の言葉。
毎回「こちらこそありがとう」と言葉を返したくなります!
“心の足並みを揃えた全員野球”を大切にしている浦和学院だからこそ、ひとつひとつ細かい所作のところまで徹底しているんだなと思いました。
そして、それは選手だけでもしっかり行われていますし、浦和学院はグラウンド整備中などよく選手同士で話し合っているのを目にします。
この時に、森監督の「試合前にいい準備を出来ていた」という言葉を思い出し、監督と選手間に信頼関係が築き上げられているんだなと私は感じました。

2回戦横浜戦では、またしても初先発となる2年生・渡邉 勇太朗選手に先発マウンドを任せ、佐野選手と共に見事横浜打線を完封リレー!2対0で勝利。
準々決勝前橋育英戦では、埼玉県大会準決勝、決勝の先発マウンドに上がった近野選手が先発。
この日もリリーフ登板した佐野選手と再び完封リレーでベスト4入りが決まりました!
私が球場で観戦できたのはここまででしたが、準決勝の日大三戦も渡邉選手、中上選手、近野選手、佐野選手の投手リレーで日大三打線を4点に抑え、打線も奮起。6対4で決勝の舞台へ。
そして、東海大相模を3対2で破り、見事優勝を飾ったのです!
決勝の舞台でも近野選手、渡邉選手、佐野選手の2年生投手陣が東海大相模打線を2点に抑える見事な活躍。
全国屈指の強豪校が集まったこの関東大会という大舞台で臆することなく力を発揮し、監督の期待に応えた投手陣の成長、経験は夏に向けてかなり大きな収穫になったのではないでしょうか!

また野手陣も埼玉県大会よりさらに守備での好プレーも多く見られて、投手を盛り立てます。
何度も思わず「おお!」と声を上げてしまいました。
前橋育英戦の試合後のインタビューで森監督は「まだまだ」と言いながらも、投手陣は昨日の試合より良かったと2年生投手陣の頑張りを評価し、守備も上がった部分が多いと語られ、選手の成長を感じられている様子でした。
そして、印象的だったのは森監督が「いい勉強になった」とよく口にされていたんです。
これから夏の闘いに向けて色々試されている森監督の選手たちへの厳しい言葉は、選手への期待なんだと私は感じ、100%でなくても、着実に監督の言葉に応え、成長していったからこそこの優勝に繋がったのではと思いました!
試合を重ねるごとに成長していく浦和学院の夏。
本当に楽しみです!

夏は、是非浦和学院の初戦から観ていきたいと、またこの週刊せり高校野球でレポートしたいと思います。
皆さんも是非球場で浦和学院の“全員野球”を感じてみて下さい!

それでは次週、春季関東大会レポート後編でまたお会いしましょう。
今週もご拝読ありがとうございました!

(文=芹玲那

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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